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松浦信孝の読書帳

キンモクセイ

2020.10.11 00:02

恥ずかしながら、金木犀の香りを知らずにこれまで生きてきた。


初めに金木犀に興味を持ったのは小学生の頃、同級生の女の子が貸してくれたさくらももこのエッセイの中だったと思う。


金木犀の香りに幸せとノスタルジーを感じるその文章に影響され、自分も嗅いでみたいと思った。ただ何分どこに咲いているのかがわからない。きっと北海道には咲いていないのだと思った。



思えば金木犀というワードは、心地よく温かい、ノスタルジックな感情とともに人生の端々に現れてきた。


あたしンちのオープニング「さらば」を歌ったアーティストのキンモクセイ。





最近高校生の間で流行った(と、思われる)オレンジスパイニクラブの楽曲、キンモクセイ




二曲とも、友達の家の帰りにふと見上げる綺麗な夕焼けのような、優しい郷愁感に包まれる。



そんな金木犀、何度かGoogle検索で画像を見ているはずなのだが、今一つ頭に入らない。



ところが先日、やっと咲いているのを見かけた。これか!となった。


今度嗅いでみよう。そう思っているうちにここ数日の台風で僕が見つけたとっておきの金木犀スポットは見事にみんな散ってしまった。


金木犀の香りを嗅ぐのは、来年に持ち越されようとしている。


憧れの人の香りに例えられるくらいなんだから、さぞかしいい匂いに違いない。


そんな決心を握りしめ、また今年も秋が始まる。