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イヌやネコのCOVID19への感受性、拡散能力は?

2020.10.11 06:48

PNASに報告がありましたので、概要を紹介します。結論としては、ネコは感受性が高くて、ウイルスを媒介する能力を持ちますが、イヌでは感染しても、症状も軽く、ウイルスを拡散する可能性は低いということです。ただし、イヌやネコがこのウイルスを格段に拡散することはなさそうですので、あまり神経質になる必要はないようですね。


SARS-CoV-2 は、世界中の人々の健康と福祉に壊滅的な結果をもたらした新しい病原体です。人獣共通感染性のウイルスですが、動物個体群への影響はあまり多くは知られていません。今回、猫と犬を対象に、感染に対する感受性を評価した研究について紹介します。この研究ではどちらの動物も臨床的な症状がほとんど呈しませんでしたが、猫は最大5日間もの間ウイルスを排出し続けること、感染した猫からの直接接触によって別の猫に感染が広がることが確認されました。一方、犬は感染したとしても、ウイルスを排出していませんでした。SARS-CoV-2に一度感染し、再びウイルスに接触した猫では、効果的な免疫反応が確認され、再感染は認められませんでした。これらの研究は犬と猫のCOVID19に対する知見として重要な意味を持ち、また猫がワクチン開発の良いモデルケースとなる可能性を示しています。

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によるパンデミックは、驚異的な人から人への伝播力をもち、世界中のほぼすべての国で感染が確認されている。このウイルスの最も可能性の高い感染源は、動物が本来持っているウイルスからのヒトへの伝染と、その後のヒトへの遺伝的変異による適応と考えられており、2019年冬、中国の武漢省での感染が報告された。2000年初頭に拡散したSARSウイルス(SARS-CoV-1)と遺伝子的に類似していることから、この新規ウイルスはおなじような宿主への感染と、その感染を成立させる受容体特異性を持っている可能性が高い。本論文では、人とペットの感染が懸念されることから、猫と犬の感染感受性と、感染した猫が未感染の猫に感染を拡大する可能性を調査した。その結果、猫は感染しやすく、臨床症状を伴わないものの、口腔内と鼻腔内からのウイルス放出期間が長く、他の猫への直接接触感染が可能であった。このことより、猫は生産性の高い SARS-CoV-2 感染には感受性があるが、臨床的な疾患を発症する可能性は低いことが確認された。さらに、我々は、猫が2回目のウイルス暴露後の再感染を防ぐに十分な強固な中和抗体反応を保有したことを見出した。逆に、犬は感染後にウイルスを排出しないが、血清試験において、抗ウイルス中和抗体反応を起こすことを発見した。現在のところ、猫や犬がヒトへの感染に重要な役割を果たしているという証拠はないものの、SARS-CoV-2に感染した飼い主が急性感染時に、自分のペットに大量のウイルスを曝露すれば、ヒトから動物への感染の可能性がある。ネコが再感染に対する抵抗性を獲得したことは、ワクチン戦略が猫やヒトに有益であり、感染の拡大を防御する可能性を示している。