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映像制作ZOOMY VIDEO

誰にでも「語るべきストーリー」がある

2016.07.30 13:04

初めまして、ビデオグラファーの吉栖です。
ZOOMY(ズーミー)という名前でブログを書いています。


ビデオグラファーって何?ズーミーって誰?
とお思いかもしれませんので、自己紹介をさせていただきます。


ビデオグラファーとは「映像作家」という意味です。
僕は今、一人の映像作家として、ZOOMY VIDEOという会社を経営しています。
会社では「個人向けドキュメンタリー制作」という事業を行っています。


こうなるまでは紆余曲折がありました。
僕はもともと、監督を目指して、テレビドラマの助監督になりました。
その後、音楽ドキュメンタリー番組のディレクターとして、
200本以上の作品を制作しました。


しかし、ある時から僕は、テレビ業界に限界を感じたのです。


マスメディアが流す映像は「大量消費型」の映像です。
そのためテレビマンは、万人に好まれる映像を作らなければなりません。
つまるところそれは、当たり障りのない映像を作るということでもあります。
ほとんどのテレビ番組は、日夜大量に消費され、人々からすぐに忘れ去られる運命です。


けれども、自分が本当に作りたい映像は、そういった類のものではありません。
僕が作りたいのは、もっとパーソナルな手触りのする映像なのです。


僕は、これまでにいろいろなドキュメンタリーの取材を通じて、
「人間とは何か」を気づかせてくれるストーリーにたくさん出会ってきました。
それらは必ずしも万人受けするストーリーではありませんでした。
その人だけの秘密という場合もあったし、
誰かを傷つけてしまうようなストーリーのときもありました。
マスメディアの性質上、当然それらは放送することができません。
しかし、僕が本当に映像作品にしたいのは、そういうストーリーだったのです。


誤解を恐れずに言えば、僕が作る映像で喜んでくれるのは、
たったひとりだけでもいいと思っています。
誰かひとりだけのために、その人が一生の宝物にしてくれるような映像を作りたいのです。


誰にでも「語るべきストーリー」があります。
僕にも、あなたにも。


僕は、市井の人々が胸に秘める「語るべきストーリー」を
ドキュメンタリー映像として形にすることこそが、自分の使命だと考えたのです。
その映像で誰か一人だけでも心の底から喜んでくれるなら、僕はとても嬉しいです。


こんな理想は、テレビでは叶えようがありませんでした。
映画でも難しいと思います。
そこで僕は、自分ひとりで起業する道を選んだのです。


僕が起業したもうひとつの理由は、家族のためです。
テレビスタッフ時代は、徹夜の連続で、家族との時間を全く持てませんでした。
映像業界全体の落ち込みで、状況はますますひどくなるように見えました。
僕はそれに耐えられなかったのです。


僕には、もうすぐ2歳になる息子がいます。
僕は、子どもにたくさん思い出を作ってあげたいと思っています。
親からたくさん愛情をもらったという記憶は、
子どもの人生にとてもいい影響を与えるそうです。
そこで僕は、ライフワークとして、自分の家族を撮ることにしました。
家族のイベントを撮影して、毎回YouTubeにアップしています。
家族のLINEグループにURLを投稿すると、関西の両親からすぐに反応があります。


こうして映像を残すのは、自戒の意味もあります。
僕は子どもの頃、両親からとても愛されて育ったはずです。
しかし、いつしかそのことを忘れ、
行き当たりばったりな人生を送ってしまいました。
子どもとはそういうものかもしれません。
うちの子にもいつか反抗期がくると思います。
でも、そんな時に、自分にもこんな時代があったと思い出して欲しいのです。


家族の映像を撮影するもうひとつの理由は、地震です。
東京には、遅かれ早かれ「必ず」地震が来ます。
明日、地震が起きて、僕の命はなくなるかも知れません。
それに地震以外でも、人生はいつ何が起こるかわかりません。
僕は、そんな時のためにも家族を撮っているのです。


映像があれば、もし僕がいなくなっても、
家族は前を向いていけると思うからです。


こういう僕の考えに、だんだん共感してくれる人が増えてきました。
今、僕は、いろいろなご家族のドキュメンタリーを撮影させてもらっています。
家族を大切に思う気持ちは、みんな同じです。
撮影に行くたびに、僕はいつも温かい気持ちにさせられます。


また、映像教育の現場にもたずさわるようになりました。
早稲田大学の恩師に呼ばれ、年に数回、撮影や編集のワークショップを行っています。


映像教育はとても大事です。
それは、テレビ業界の未来につながることだと思うからです。


現在、一番の問題であるテレビ離れや視聴率低下の本質的な原因は、
視聴者のテレビに対する信用がなくなったことだと思います。


信頼残高という言葉をご存知でしょうか?
信頼残高とは、信頼の貯金のことです。
僕たちは、信頼を毎日コツコツと積み重ねることで、
周りとの関係を築いています。
信頼残高が多ければ多いほど、
相手はこちらのことを好きになったり、
こちらのために何か行動を起こしてくれます。


けれども、昨今のテレビ業界はどうでしょうか。
視聴者との信頼残高は、限りなくゼロに近いと思います。
もしかしたら、マイナスになっているかも知れません。


テレビマンは、
あまりに自分たちに都合いいことばかりを放送していないでしょうか。
いつもスポンサーのことばかり考えていないでしょうか。
視聴者から信頼を得る努力をしてきたでしょうか。
視聴者を裏切ったことはないと、胸を張って言えるでしょうか。
テレビなんて見てもらえなくなって当然だと、僕は思います。


では、視聴者の信頼を取り戻すためにはどうしたらいいのでしょう。


そのひとつの方法が映像教育です。
僕は、撮影や編集の面白さを、たくさんの人に知ってもらいたいのです。
そうやって映像が身近になれば、
テレビに対する信頼残高も上昇すると思います。
それは、テレビ離れや視聴率低下の改善につながるはずです。


とても回り道に見えるかも知れません。
でも、「映像」を好きになってもらうことでしか、
テレビ業界の現状は変えられないと思うのです。


もうひとつ、視聴者の信頼を取り戻す方法をお話しさせてください。
それは、「個人ドキュメンタリー制作」を世に広めていくことです。


あなたは、
自分がドキュメンタリーカメラマンだと考えたことはありますか?
映像制作はもはや、テレビマンやフィルムメーカーだけの特権ではありません。
スマホや携帯電話の動画機能が発達し、
日本人全員がビデオカメラを持つ時代になりました。
あなたも、日々の生活の中で一度くらいは撮影したことがあると思います。
それは、僕たち映像制作者からみると、
「ドキュメンタリーを撮っている」という行為に他なりません。
子供、恋人、親、友人に関する、あなたにしか撮れないドキュメンタリーです。


僕は、あなたや周りの人々にも
ドキュメンタリー制作の喜びを共有して欲しいと願っています。


映像には人を幸せにする力があります。


嘘だと思うなら、試しに、
誰かを適当に撮影し、編集ソフトで音楽をつけ、
YouTubeにアップしてみてください。
きっと大感激されるはずです。
いまや、これらがすべて無料でできる時代なのです。


ドキュメンタリーの力で、
自分や、周りを幸せにできる人をひとりでも増やすことが、
僕に与えられた使命だと思うのです。


ここまでお読みいただきありがとうございました。
ZOOMYこと吉栖でした。