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chippi&tetu

「安寿と厨子王」

2016.07.30 22:56


「安寿恋しやホゥヤレホー、厨子王恋しやホゥヤレホー」


夕な夕な、絵本片手に母が耳元で謡ってくれた。


うらぶれた浜辺で老いた瞽女(ごぜ)が唄をうたい、その唄を聞いて生き別れた母と知った厨子王が駆け寄りすがりつく、溢れ出る涙で盲いていた母の眼が開く。




随分あとになって見聞きした。


「安寿と厨子王」は説経節「さんせう太夫」がもとで、説経節は、日本中世の仏教因果応報説教を唱導する民衆芸能だった。

森鴎外の「山椒太夫」は、「さんせう太夫」の安寿の残酷な拷問殺戮と山椒大夫の苛烈な報復処刑死の因果応報描写を回避していた。



人は生まれでた土地由来の「物語」を連綿と語り継ぐ。

その土地由来の「物語」は、かの地の「物語」と溶けあうことはない。




「安寿恋しやホゥヤレホー、厨子王恋しやホゥヤレホー」