命を繋ぐ
https://ameblo.jp/wadoumaki/entry-11557679555.html 【食は人の天なり】 より
「みをつくし料理帖」の中で、医者の源斎が澪に「食は、人の天なり。よく味はひを調へ知れる人、大きなる徳とすべし」と告げる場面があります。
吉田兼好の徒然草に書かれている言葉です。
「食は天の如く重要なものだ。美味しい料理を作る人は、大きな徳を持っていると言わなければならない。」という意味。
源斎は続いて「もとになったのは、海の向こうの「帝範」という古い書で、食はひとびとの
命を繋ぐ最も大切なもの、という意味です。古来より、食が如何に大切か、国や場所を問わず、伝承され続けているのです。・・・・」と言ってます。
「帝範」とは648年に成立した中国の政治書だそうです。
「今の食べ物は食物ではなくて「食品」が多い。食品とは工場で作られている工業製品のこと。そのような製品が人の身体を作り命を繋げていくものとは言い難い。」
「手をかけることは気を込めること。手を抜くことは気が抜けること。気が抜けたものは気が枯れる、と言って汚れること。」教えてくださったのは吉川先生でした。
今が旬の梅
「梅仕事」で手を抜いたり気を抜くとカビます。
梅の熟し加減を計って、それぞれの梅料理へと変身させるべく手をかけていく。その結果が美味しい梅ジュース、梅サワー、梅酒梅味噌、梅干等になるのです。
梅干は一旦仕込んだら7月の土用干しまで気が抜けない。
その間の緊張感や重圧感が干し上がった時の達成感にも繋がり梅を活かしきれた充実感にもなります。
手をかけた命を繋げるモノが身のまわりにたくさんあることはその人の日々の
暮らしの豊かさにも繋がるように思います。
https://tsurezuregusa.com/122dan/ 【徒然草 第百二十二段】 より
現代語訳
人の能力は、多くの書物を吸収し儒教の教えを熟知するのが第一である。次は書道で、プロを目指すわけでなくとも習っておいた方が良い。いずれ勉強の役に立つ。その次は医療だ。自身の健康管理だけでなく、人命を救い、人に尽くすのは、医療の他にない。その次は、武士の六つの心得にもある射的と乗馬だ。この三つの分野は、何が何でも習得しておく必要がある。学問と武道、そして医療は三つ巴であり、どれ一つとして欠落してはならない。この道を究める人を「意味のないことをする人だ」と馬鹿にする者は、馬鹿でしかない。その次に料理があるが、生命にとって太陽と同じくらい重要である。料理が上手な人は、偉大な才能を授けられたと思って良い。次に日曜大工があるが、いざという時に役立つ。
この他にも様々な能力があるが、何でもこなす超人というのは恥ずべき存在でしかない。素晴らしき詩の世界や、音楽の超絶技巧などを知識人達がシリアスに考えがちだが、今どきアートの力で世界征服をするのは不可能に近い。純金はピカピカと光るだけで、鉄の利用価値に及ばないのと一緒である。
原文
人の才能は、文ふみ明らかにして、聖ひじりの教を知れるを第一とす。次には、手書く事、むねとする事はなくとも、これを習ふべし。学問に便たよりあらんためなり。次に、医術を習ふべし。身を養ひ、人を助け、忠孝の務も、医にあらずはあるべからず。次に、弓射ゆみい、馬に乗る事、六芸りくげいに出だせり。必ずこれをうかゞふべし。文・武・医の道、まことに、欠けてはあるべからず。これを学ばんをば、いたづらなる人といふ道、まことに、欠けてはあるべからず。これを学ばんをば、いたづらなる人といふべからず。次に、食は、人の天なり。よく味あぢはひを調ととのへ知れる人、大きなる徳とすべし。次に細工さいく、万よろづに要えう多し。
この外の事ども、多能は君子の恥づる処なり。詩歌しいかに巧みに、糸竹しちくに妙たへなるは幽玄いうげんの道、君臣これを重くすといへども、今の世には、これをもちて世を治むる事、漸くおろかになるに似たり。金こがねはすぐれたれども、鉄くろがねの益やく多きに及かざるが如し。
注釈
六芸
士が必須とした六つの技術。礼儀作法、音楽、射的、乗馬、習字、算数。
人の天なり
「夫そレ、食ハ人ノ天タリ。農ハ政ノ本タリ」と『帝範』にある
多能は君子の恥づる処なり
「吾、少わかキ賤シ。故ニ、鄙事ひじニ多能ナリ。君子、多たナランヤ。多ナラザルナリ」と『論語』にある。
https://moviche.com/contents/news/160212/ 【松本穂香「食は人の天なり」愛おしい思いを料理に込める!『みをつくし料理帖』特報映像】 より
累計400万部を超える髙田郁による時代小説を、数々の名作を世に送り出してきた角川春樹が生涯最後の監督作として、松本穂香主演で映画化する『みをつくし料理帖』が、10月16日より公開される。このほど、本作の特報映像がお披露目となった。
本作は、幾度となく訪れる艱難辛苦を乗り越えながら、料理に真摯に向き合い、運命を切り開いていく女料理人の成長、そして彼女と8歳の時に生き別れた少女との不変の友情を描いた爽快な物語。
特報映像には、「食は人の天なり」という澪(松本穂香)の言葉とともに、料理に向き合う澪の姿が映し出される。桜の花びらが、上からではなく、下から上に向けて上昇していく花の舞として使用されているのは、本作ならではのこだわりの一つだ。運命に翻弄されながらも懸命に生き抜く澪と、幼馴染・野江(奈緒)との美しくも力強い姿に胸が熱くなる。