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#深田萌絵 #G11 - 中国脱却の鍵 #インド #韓国

2020.10.14 10:37

『 Business Journal  -「 facebook friend - 深田萌絵」』様より

シェア、掲載。

ありがとうございます。

感謝です。 


中国の世界支配ビジネス、脱却のカギはインドと韓国?

トランプ大統領はなぜ台湾を外したのか  2020.07.28


深田萌絵(ふかだもえ)

ITビジネスアナリスト

早稲田大学政治経済学部卒 学生時代に株アイドルの傍らファンドでインターン、リサーチハウスでジュニア・アナリストとして調査の仕事に従事。外資系証券会社を経て、現在IT企業を経営。


 新型コロナウイルスの流行により、先進国サプライチェーンの“中国離れ”が始まっている。


背景として、もともと人件費が高騰しつつあったところに、政府命令で工場や物流が停滞するだけでなく、マスクなどの必需品を中国政府に横取りされるなど、経済成長で先進国を装っていた中国のカントリーリスクの高さが露呈してしまったためだ。


 そんななか、ドナルド・トランプ米大統領が経済繁栄ネットワーク(EPN)構想を立ち上げ、G7は時代遅れだとしてG11を提唱し、ロシア、オーストラリア、インド、韓国の参加も求めるなどの考えを示している。


 これは、中国が44億人という「巨大経済圏」を餌に各国の大企業を中国の“子分”にし、大企業が自国政府に圧力を掛けて中国に擦り寄らせるという構造を打ち砕くためである。


中国の“世界支配ビジネスモデル”の恐ろしさは、世界各国の政治家が“脱中国”を目指そうとも、経団連のような各国の大企業連合が自国の政治家に強烈に圧力を掛けて逆らえなくしている部分だ。


 これを打ち破るには、米国が新ビジネスモデルで、大企業が米国側に媚びる仕掛けをつくらなければならない。


その新ビジネスモデルは、一帯一路経済圏に引けを取らない新経済圏をつくり上げることだが、そこで重要なポジションにあるのが、インドと韓国だ。


中国支配脱却にはインド市場が鍵


 一帯一路経済圏の弱点は、人口は44億人と経済圏としては世界の63%に上るが、GDPベースでは20兆ドルと、世界の29%しか抑えきれていないのだ。


EPNで協力を求める韓国、インド、日本、オーストラリアと米国では28兆ドルとなり、経済規模では一帯一路を超えられる。


何よりも、要はインドだ。


 中国に対抗できる人口を持つ国はインドしかない。


ポイントは、中国は人口動態からして若年層よりも高齢者のほうが多く、今後は人口が減少していくのに対して、インドは若年層が厚く35年には人口で中国を超えることだ。


何よりも、29年にはインドのGDPは世界3位、10兆ドル規模となり、今の時点から組んでおけばインドの成長と共に拡大する需要にビジネスチャンスがある。


 現在、インドと中国が国境地帯の紛争で関係が悪化しているところに、しっかりと楔を打って米印で良好な関係を築き上げれば、中国一辺倒になっている大企業も「インドという市場を逃してはならない」と考え直して、企業が自国政府に「中国に忖度しろ」と圧力をかけていたのが、「アメリカも忖度しないとインド市場を逃す」と自制することが期待されている。


台湾ではなく韓国が選ばれた理由


 米中冷戦の中心は、半導体である。米中半導体戦争の鍵は、最先端半導体工場を持つ台湾TSMCと韓国サムスンの2社で、この2社を米陣営に入れる必要がある。


この2社は「ファウンドリ(半導体製造受託工場)」として他社製品の製造を受託しているのがポイントだ。


 世界の半導体の半分以上が台湾で生産されており、米国が規制するファーウェイ製品の半導体チップを生産しているのも台湾TSMCである。


米中半導体戦争の要は、間違いなく台湾である。


香港国家安全維持法施行で完全に香港を取り込み、インドのように中国との対立が深まったかのようにみえる台湾はEPNの候補には上がらなかった。


 親日で知られている台湾は日本人からも親しみやすいイメージがあり、経済協力を行うのならば台湾という声も出ているなかで、トランプ大統領が韓国にアプローチしたのは、気まぐれではない。


 台湾の政界・経済界の上層部は大陸系で占められており、TSMCの創業者モリス・チャンも、創業時からファーウェイを技術面で支え続けてきている。


ファーウェイのコアパートナーはTSMCだけでなく、パナソニック半導体買収を画策するウィンボンド、シャープを買収した鴻海精密工業と台湾系に支えられており、中国半導体企業だと認識されているSMICも台湾人が創業し現在もウィンボンド創業者が実質支配している。


しかも、これら企業の創業者たちは、ファーウェイ副総裁孟晩舟の祖父と3代前から家族ぐるみでの付き合いで支え合っており、実質的にはファーウェイを中心とした複合企業(コングロマリット)のようなもので、切っても切れない関係だ。


 TSMCは、米国から最先端の半導体製造装置を輸入できなくなれば、本業にも支障をきたすので、渋々ファーウェイとの取引制限を受け入れたが、米当局からの信用は完全には得られていない。


米国側も、この台中コングロマリットが簡単に同胞を裏切らないということを理解し始めている。


 そのためトランプ政権は、いつまでも中国の抜け穴であり続ける台湾を説得するよりも韓国を経済協力の仲間に入れようと考えた。


韓国「与党圧勝」のウソ


 文在寅大統領は親中なので、韓国がEPNに参加するか否かは不透明だが、トランプの狙いは韓国をG11に招き入れるという餌で韓国を米陣営に取り込みたいところだろう。


 サムスンは、文大統領から「親日の遺物」として忌み嫌われ、叩かれまくっている。


“漢江の奇跡”が教科書から消えるくらいなので、朴正煕が日本と協力して韓国を成長させた過去をなかったことにしたいのだ。


韓国政府がサムスンを虐め、メーカーとしての力を落としたり、中国に擦り寄ったりすれば、ファーウェイにとって好機となるので、トランプ大統領はそれを潰したい。


実は、文政権によって経営が不利になった企業はサムスンだけでなく、工場を持つメーカー全体がブルーカラー労働者賃金引き上げで競争力を落としている。


それに加えて、文大統領による反日姿勢があまりにも酷いために、韓国半導体企業に「日本と仲良くしたいと考えているが、親中文大統領が邪魔である」という雰囲気が流れているので、企業側は米国のアプローチを歓迎する可能性は高い。


報道されないが韓国の世論の半分は、中国依存を嫌い、日米との関係改善を望んでいる様子が前回の選挙で浮上している。


 今年4月の韓国総選挙で、与党の「共に民主党」が圧勝したかのように報道されているが、当日投票で見ると与党と野党の比率は平均的に52%対48%と僅差であった。


ところが、郵送投票では、すべての地域で63%対36%と、当日投票との差に大きな乖離があり、開票システムに間違いがなかったか確認を求めたが、票の原本が消えて確認が不可能だったことに批判が上がっていた。


 郵送投票に用いられた某社の開票システムには、ファーウェイ製5G通信で繋ぐと任意の結果が出せる製品があり、不正選挙が指摘されたケニア、イラク、ボリビアなども同じシステムが使われているために、野党の未来統合党が「不正選挙だ」と騒いだ。


 そういった背景から、韓国の世論は与党と野党でほぼ半々くらいになっているので、EPNで韓国産業界にメリットを与えて米国寄りに抱き込み、韓国からファーウェイを排除させれば正常な選挙結果を出せるので、未来統合党が勝利するチャンスはまだある。


そうすれば、日米韓関係の正常化が可能だとトランプ政権は読んでいる節がある。


外交はあくまでビジネス


 日本企業を中国依存経済から脱却させない限り、大企業からの「中国に忖度せよ」という圧力に政治家は屈することになる。


その構造から脱却するには、トランプ大統領が打ち出したEPNを利用し、かつインドに協力して良好な経済関係を構築することが戦略として必要となる。


 その外交は、「どこの国が自分を好きだから」という情緒的な視点でなく、「自国企業に経済的メリットを与え、政治的にバランスを取れる」という視点から考えなければならない。


 イギリスは欧州と米国の間に位置しており、欧州経済圏や米国という市場に取り込まれ兼ねないため、時代時代で欧州に寄ったり米国に寄ったりとバランスを維持している。


そこで一番重要なのが「強い通貨」であり、イギリスは「ユーロに加盟するフリ」で20年近くEUをたぶらかし、最終的には離脱でポンドの利点を維持している。


日本はスーパーシティ構想でデジタル人民元を受け入れれば、一瞬で地方経済が中国に取り込まれてしまうリスクがあることを見落としている。


それだけ、日本という国家は政治にビジネスを理解している人間を取り込んでこなかったという弱点を露呈していることがわかる。


 米中冷戦で、日本は中国とアメリカに振り回されるようになったが、自主性を重んじるのであれば、アメリカの外圧を利用して過度の中国依存から脱却し、インドとも強調してバランスを取っていく必要がある。


(文=深田萌絵/ITビジネスアナリスト)


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