原発をめぐる動き(1)2020年10月「関西電力の原子力発電所は、11月のはじめに全て止まる見込み。 原発運転0(ゼロ)を続けさせよう!」
全国で今動いている原発は玄海4号機と大飯4号機だけ
東電福島原発事故後、新規制基準に合格したとして原子力規制委員会が認可した原発は、すでに16基(九州電力の玄海3・4号と川内1・2号、四国電力の伊方3号、関西電力の美浜3号、高浜1・2・3・4号、大飯3・4号、日本原電の東海第二原発、東京電力の柏崎刈羽6・7号、東北電力の女川原発)あります。
そのうち、これまでに再稼働を強行したのは9基(九州電力の4基、伊方3号、大飯3・4号、高浜3・4号)です。しかし、2020年10月8日現在、九州電力川内原発1・2号機は特定重大施設(テロ等対策施設)の工事が終了するまで停止。玄海4号は稼働中ですが12月には定期点検に入ります。3号機は定期点検中、伊方3号は広島高裁仮処分決定で停止しています。
上の表でも明らかですが、関西電力の原発は傷だらけでボロボロです。
新規制基準に適合し、運転してきた高浜3・4号機の蒸気発生細管(SG管)には複数個所の損傷が見つかっており、異物による損傷だと言われていますが、原因物質は特定されていません。SG管の損傷については、原子力規制委員会で何回か検討されています。また、滋賀県の原子力防災担当や福井や関西の市民団体から、徹底した原因究明の要望も出ています。しかし、直近の原子力規制委員会の会合では、異物の特定・原因究明を求めるのではなく、靴にカバーをつけるなど運転時の対策が話し合われ、原因不明のまま再稼働を許可するのではないかと危ぶまれます。「異物を確認し、原因究明できなければ再稼働するな」の声をあげていきましょう。
大飯3号機は加圧器につながる一次系の配管に傷が見つかっています。あと1クール(13か月)運転すれば傷は安全基準より深くなるという計算結果が出ています。関電はこのまま運転を続けたいと規制委員会に求めていますが、市民から危険な運転はやめるよう規制委員会に要望書が提出されるなどして、審議は続行しています。また、定期点検や老朽原発延命工事で人身事故が相次ぎ、関電の労働環境の安全性も問われています。
危険な老朽原発(美浜3号、高浜1・2号)
40年越え老朽原発は、美浜3号、高浜1号が9月に工事を完了し、再稼働の準備に入っています。高浜町は関電原発マネー不正事件で、関電の信頼が失墜し、再稼働の地元同意が難しくなっており、関電が真っ先に再稼働を進めようとしているのが美浜3号機です。美浜町には関電の営業所があり、美浜町への地域貢献も熱心です。しかし、10年間も稼働していなかった40年超老朽原発美浜3号機を再稼働することは、美浜町民だけでなく、福井県民、関西圏住民を危険にさらすことになります。
- 老朽原発は機器等が劣化、その劣化の状況は十分に把握されていない。 高温高圧の環境で放射線に晒される原子炉の回りには電気ケーブルや冷却水等の配管が張りめぐらされています。老朽化対策工事で劣化したケーブルや配管をすべて取り替えることはできません。原子炉容器も長年中性子の照射を受け、衝撃に弱くなっています。
- 「原子炉等規制法」は「原発の運転は40年が原則」と明記しています。
福島原発事故後に原子炉等規制法が改訂され、その43条の3の32で「原発の運転期間は40年を原則とする」としています。福島第一原発も40年近い老朽原発でした。20年の運転延長は、あくまで例外です。電気が十分に足りている今、危険な運転延長は許されません。
- 福島原発事故の原因究明は未だ道半ば。
事故の原因は未だ究明されていません。津波による電源喪失はわかっていますが、地震によって何が壊れ、何が起こったのかなど未解明です。