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梨の日

映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』

2020.10.16 00:01

映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』


監督:ジョー・タルボット

出演:ジミー・フェイルズ/ジョナサン・メジャース/

ティシーナ・アーノルド/ロブ・モーガン/

マイク・エップス/

フィン・ウィットロング/

ダニー・グローバー/ソーラ・バーチ




A24×プランB製作。


A24らしいといえばらしいし、メジャーで一見だけで「あぁっ楽しかった!」とは中々感想に出にくいタイプ。

に個人的には勝手に思ったり。


オバマ監督が2019年のベスト映画として選出した作品、と予告編にある。


唯一の敵役として出てくる不動産屋さんのお兄さん、どこかで観た気がするなぁと思ったら『ジュディ虹の彼方へ』のジュディの彼氏役だった!

わぁお。笑)




映画は観賞後に、じわじわきた。

あの瞬間もあのシーンも蘇る。


土地がお高いサンフランシスコ。

住民でもなければ映画の中でしか知らない私だけど、たくさんの映画のロケ地として使われているので以前から憧れていた場所。


主人公は、お金持ちが住む土地に今は追いやられた、“都会の難民”として生活する10代の黒人。

名前がジミー・フェイルズと、実は本人の体験談だった。


マイノリティでありながら、おじいちゃんが建てたという家を取り戻そうと奮闘するのがストーリー。


でも、何かが派手ではない。

全体として緩やかな印象。

それは、奮闘の“闘”が、主人公にはなかったから。


映画だし、やっぱり人ががむしゃらに動いたり人とのぶつかり合いが熱く描かれたり涙したら、観てる側の心も分かりやすく大きく出るよねぇ。

でも、闘わない。


事実を知り、感情をぶつけるのは主人公が居候させてもらってる親友。

親友だからこそ、自分自身じゃないからこそ、想いを伝えたく膨れ上がる。

こんな時に使ったのが、普段からしたためていた脚本、そして芝居。

芝居といっても1人、完全なフィクションではなく演説?にも近い感じのもので、観客を大いに巻き込む。

個人的に前々から思ってて言ってることだけど、やはりこういう、思いのアウトプット先に脚本が手段として在るのは羨ましい。やっぱり羨ましい、し、いいなぁ。


どれだけ激しく親友が辛いこととして現実を伝えるも、本人の反応といえば、まぁなんと冷静なこと。

映画の観客である私たちも、ある種“期待はずれ”なリアクション。

その後にケンカするでもない。

だって主人公は“闘わない”から。



自分を迫害した街、歴史、罵倒した人達にも腹を立てるそぶりはしない。

闘っているのは、自分自身と、昔の理想なのだ。

…昔の理想というのは言い方が難しいな…「サンフランシスコに家自分で家を建てた、俺のおじいちゃん」が強いか。

俺の血筋、俺の家系、かな。

お父さんは出てくるけど、仲はあまりよろしくない感じ。

頑固おやじのように描かれていたけど、いやきっとお父さんの方が一般的な感情の持ち主だったんだと今思い返す。笑)

ただ、父にとっても、“おじいちゃん”、自分の父の存在は大きかったんだ。



主人公は、誰のせいにするでもなく、真実を知りながら、居場所は自分で作る(得る)もの、そういった感覚の持ち主。


あぁそうか、悟り世代だ。爆)


今時の若い子は、映画の主人公になると今作のように映るのか、なんて妙に納得したり。

故に彼ら以上の年齢層が観ると物足りなかったり、淡々とした印象になるのかも。

逆に今の若者なら、何か府に落ちたりして。想像しかないけど。



ただ、共感までいくにはもう1つ。

自分が、いわゆる都会にいるか、いないか。

私は少なくとも、唯一ソレが似ている要素だから ふいに歩みが近づいた気がする。加えて若い彼の姿勢に関心を持てた。

主人公の彼の育ちの場所は描かれていないから分からないけど、映画の中はあくまで“今”、都会に居続けてる。

環境汚染された、はじっこでも。



気付けば都会にいた。

憧れて自分の力で居たわけじゃない。

富裕層しか住めないけれど、自分は貧困層。

住みやすい場所とは言い難い街。



それでも、それでもね、

街は憎くないし、むしろ好きだ。

物語では悪者にされがちの都会ですが、好きなんだよね、その場所が。



私も1人じゃ当然住めないけど、完全に離れることはしたくないもんなぁ。

だからね、それでも自ら掴みに行く主人公の彼の精神の凄さ、穏やかさが、映画的だったな、と思うの。


また、都会生まれ都会育ちのコンプレックスとして、「帰る田舎がある人物」とか「都会に疲れた、染まってしまった(と悪く土地のせいにする)」といった、“若者主体の物語あるある”にいい加減 疲弊してる私。

帰るご実家があっていいですね、

街のせいにしないでおくれと毎度思っちゃうのよ←

こればっかりは無い物ねだりですけど。共感も得た試しがないですし。


そういった描写とも違ったのが、

そういうこっちゃない描写が、

私の中で好感度が上がったのかも。



円盤化したらモザイクがかかるシーンもそのまま観れるのが劇場公開のいいところ。

余談すぎるけどうちの地元にもいたなぁ。笑)






最近は寝落ちしたくなくて、映画行く時にはメガシャキ、眠眠打破を投入するガチ具合に自分で笑う。笑)

でも今作はウッカリ眠気があると寝ちゃいそうな作風。正直)

しっかり寝睡眠時間を取った上でどうぞ。笑)


気持ちが穏やかな時、街を感じたい時、男の友情物語をしみじみ味わいたい時等に行くのが特にオススメ。


んーんん、素敵な映画だったなぁ。