「小鳥来る」~癒しの俳句100~
https://note.com/kusabue/n/n64e1435a25ad 【「小鳥来る」~癒しの俳句100~】 より
この記事は「癒やしの俳句100」として気分よくお読みいただける俳句作品を集めました
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「BGM」
BGMの動画です音楽を聞きながら俳句を楽しんでいってください「小鳥来る」
◇ 春の集 ◇
春ひとつはこばれてくる紅茶かな つばき餅この世の春が手のひらに
ラジオより生まれたてなる春の歌 誰しもがいっぺんの雲のどかなり
コンビニがうつくしい夜ぼたん雪 家族写真とおいむかしの春のまま
じんせいにときおりよい日梅の花 凧の空この村はまだだいじょうぶ
草もちのよくのびてこそひとり旅 ひなかざりこの家の春えいえんに
鳩の空いのち見あげるあたたかさ 寝てもゆめ覚めてもゆめの蝶の昼
目つぶって蛙もきっとうららかよ 花のうえに塔をうかべて東寺かな
つかのまのへいわながらも花の宴 どの人も花とふぶいていることよ
家建ててそれからながい春のゆめ ひとり聞くからだのなかの春怒濤
さいごまで暮れのこったか空の凧 春満月そうつぶやいてしまうほど
◇ 夏の集 ◇
くちぶえに風のあつまる夏野かな 木のぼりの子らに新緑きらきらす
子どもらのまんなかに母涼しさよ 青葉してふるさとの山十重二十重
町じゅうをいやさんとして大き虹 そばに居るひとをあいして虹一重
なんという空のひろさよ田植あと 星のさいげつ人のさいげつ蛍とぶ
こころごと押しひらくまど風薫る わらう子が世のまんなかにかき氷
ひとが来て喜ぶ金魚くるりくるり からだぢゆう光りまみれよ夏の川
やわらかに日焼を洗いながす手よ いちまいの写真のなかの夏やすみ
一人立てば風のあつまる浴衣かな せんねんがきこえくる寺蝉しぐれ
吹いてくる風も客なりふうりん屋 奈良風鈴はるかな音のすることよ
あおぎみるだれもが虹の国のひと 富士見えるけしきもろとも夏料理
ふるさとがつんとかおるよ新生姜 なつかしむおおゆうやけの空の奥
遠くからながめる富士の涼しさよ わらうこえ富士へひびくよ夕涼み
おおぞらをとおくきよめる風鈴よ 昼休み金魚とともにゆらりゆらり
空よりもとおくをみつめソーダ水 そのなかに揺れるみらいよ香水瓶
むぎわら帽子珊瑚の島を愛しけり わらいつつ逃げまわる児の洗い髪
目つむれば好きな人びと風鈴聴く 手にとりてかぜのかるさの京団扇
人類のまつえい一人キャンプの火
◇ 秋の集 ◇
スカイツリー空新涼ということぞ 目つむって天上を聴くひぐらしよ
ひとり立つ大きな秋のまんなかに かがやいて地球ひとつぶつゆの玉
野菊摘む天地のことば摘むように 大ぞらのどこからとなく小鳥来る
どのひとも九月になってゆく風か ひとりだけてんてこ舞いよ阿波踊
あかるくてこの世あの世の大花火 それぞれの目にゆらめくか大文字
平和という良きねがいごと七夕竹 海もまた露のひかりのまぶしさよ
壁にならぶ画家たちのゆめ美術展 もの思う秋をはるばるとんびとぶ
子らのせた旅客機に秋たかくあれ どんぐりのこのひと粒の大いなる
グラタンの中から秋がごろごろと 今年酒酔えばこんなにあたたかな
たかだかとこころがのぼる名月よ 望の月逢いたいひとは逢えるひと
ぬくめ酒酔ってひかりの世界へと にわにすむこおろぎも子々孫々と
あおぎみる誰もが月へみちびかれ ほんとうはしずかな地球虫のこえ
たましいがはるばると清む秋晴よ 柿噛んで平和しみじみあまいこと
こころへと落ちてくるなり桐一葉 きつつきにこころが遠くなるよ山
ひとり行く花野いつしか夢のなか 草原に日のあるかぎりばったとぶ
鳥わたるちいさな国のおおぞらを 秋神輿ゆくときこの世かがやかぞ
台どころまかせたある日檸檬の香
◇ 冬の集 ◇
わらうひとばかりの日なた七五三 ふるさとをひとりめぐりて日短か
母というひかりがそこに日向ぼこ マフラーに顔をうずめて眠る子よ
仰ぎみてせかいしずまる聖樹かな 灯をけして冬の銀河のただなかに
辻楽士かなでつづけよクリスマス ひとひらのふたひらのゆめ風花よ
あおぎみるひとりひとりが雪の花 忘年会いっぽん締めのひびきけり
照らされてそれぞれの顔初日の出 このためのさんぽだったか福寿草
子どもらの口からも湯気おでん鍋 胸の奥あかるんでくるこたつかな