犬の本能「うれション」について
飼い主さんの顔を見て嬉しそうに駆け寄ってきた犬が、ぶんぶんと振り回すしっぽの辺りからおしっこを漏らしているのを見たことはありませんか?
この行動は“うれション”と呼ばれ、犬としての本能の一つです。飼い主さんへの愛情を感じられて嬉しい反面、おしっこで喜びを示されるのは、できるかぎり止めてほしいものですよね。
今回は、うれションの対処法についてお話していきます。
うれションとは
うれションは、主に子犬が嬉しくて興奮したとき、膀胱の筋肉をコントロールできずに出てしまうおしっこのことです。飼い主さんが帰宅したときや大好きな人に可愛がってもらったとき、また、遊びすぎて興奮したときなどに多く見られ、おしっこが溜まっていなくても出てしまうのが特徴です。
うれしょんをする理由
犬はもともと群れの中で、むやみに争いを起こさないために上下関係を築きながら暮らしていました。その上下関係を築く方法の一つに“うれション”があり、他の犬の前でおしっこを漏らすことで、自分の順位が下であるというアピールになっていました。子犬の頃は自分以外のほとんどの犬が上の立場のため、大人になるにつれてあまり見られなくなりますが、まれに、大人になってもやめられない子もいます。
うれションしやすい子
子犬の場合はうれションすることが多いですが、興奮しやすい子、精神的に弱い子、飼い主さんに依存しやすい子などは、大人になってもうれションをやめられないことが多いです。また、いつまでたっても心が大人になれず、臆病な子にも多いようです。
対処法
大人になるにつれて自然にやめられる場合が多いですが、いくつになってもうれションをしてしまうようであれば、できるだけ早くから次のことを試してみましょう。
興奮させない
もっとも大切なことは、興奮を静めるということです。たとえば、帰宅してもすぐに犬の元へ駆けつけるのではなく、どれだけ尻尾を振って鳴いていたりしても、しばらくは知らんふりをします。そして、静かになり興奮が収まったところで、静かに近づいて「ただいま」と声をかけ、トイレに誘導しておしっこを促します。
また、日頃からクレートの中が落ち着ける場所であることを教え、来客がある時はクレート内で待機させる、といったトレーニングを行うのも一つの方法です。
おしっこの体勢をやめさせる
日頃から「まて・おすわり・ふせ」をどんな状況でもできるように教えます。そして、うれションをしそうな状況になったら、すばやくこれらの動作を命令します。犬はふせの状態で、おしっこをすることができません。また、飼い主さんからの命令を聞くという行為に、興奮した犬を冷静にさせる効果があります。
「うれション=楽しいことが終わる」
たとえば、おもらしをしたらすぐに犬の見えないところで大きな音(缶のなかに小銭を入れた音など)を出してびっくりさせます。また、抱き上げるとうれションをしてしまう子の場合、おしっこをしたら地面に降ろします。うれションをすると、嬉しいこと、楽しいことが終わってしまうということを何度か繰り返すことによって、うれションが収まっていきます。
やめさせる上でしてはいけいないこと
やめさせる上で、飼い主さんが怒ってはいけません。うれションは、もともと飼い主さんへの服従心による本能的な行為のため、怒るとますます悪化してしまいます。もし、おしっこで床や服が汚されてしまっても、決して怒らずにすぐに片付けて臭いをしっかりと拭き取るようにしましょう。
怒るよりもうれションしそうなときに、トイレでおしっこが成功できたらたくさん褒めてあげる方が効果的です。そのほうが、お互いにとって良い関係を築けるのではないでしょうか。
たくさん褒めることで、人と生活をするルールをひとつずつ犬に教えていけたらいいですよね。