ジョン・ボンジョヴィ #2 / ツアーキャンセル & Livin' On A Prayer のキー
新作が遂にリリースされ、あちこちでインタビューを受けまくっているジョン・ボンジョヴィ。
そんな中から、カナダの番組での発言を和訳をお届けしているシリーズ、後編です!
今回は「希望を持ち続けること」「ツアーを延期ではなくキャンセルした理由」「Livin' On A Prayer の大ラスについて」です。
I: インタビュアー
J: ジョン
いかなる暗闇の中でも希望を
8:20
I: あなたが世間の無関心や冷めた考えと戦っているのは興味深いな、と感じるのですが、何があなたにそういった希望をもたらしているのでしょう?
J: 僕はどんな困難な時でも希望を見出そうとするんだ。でも、いつもそれが上手く行ってるわけじゃない。
時にはそう信じるために専門家や人々と話さなきゃいけないし、時にはそれは読書かもしれない。
心がオープンになって率直な話し合いが出来るようになるために、そういったことで自分の警戒心を解いていくんだ。
この数か月の間、実際僕は希望を見出したんだ、次の世代にね。
こんなことを言って年寄り臭く振る舞うつもりはないけれど、この2020年に卒業を迎えた学生たち、彼らは9.11 が起きた年に生まれたんだ。
そして、このパンデミックのさ中に卒業して社会に出る。
彼らはきっと素晴らしいイノベイターや発明家になるだろう。肌の色や性別・宗教、そういったものを超えて物事を見れる人間にね。
僕は確信してるんだ、彼らこそが「すべてを無茶苦茶にした白人の爺さん達よ、あんたらにはうんざりだ。今こそオレ達がより良い世界を実現する時だ」って宣告する世代だと。
うちの二人目の息子は今年高校を卒業したんだけど、彼や彼の友人を見ているとそう感じるんだ。
彼らの優先事項は僕らが学生だった頃とは当然違う、異なる時代に生まれてきたわけだからね。
彼らにとっては(タイミング的に)損をしたように感じやすいだろうけれど、彼らが将来僕らを救う世代になると、僕は思うよ。
I: あなたが彼の年齢だった頃の生活と、今彼が送っている生活、全く異なりますもんね。
J: 全くその通りだ。
僕はこの話を何度もしてるんだけど、僕はジョン・ケネディが大統領だった頃に生まれた。彼は「僕らは月に行くんだ!」と訴えた。
僕が高校を卒業する時には、ロナルド・レーガンという映画でカウボーイを演じてた男が大統領になった。人々は熱狂してたよ。
あの頃の「アメリカ熱狂時代」は、今の若者たちが生まれてきた社会とは全く異なるんだ。
ツアー興行というビジネスモデル
11:10
I: 今は実質全てのミュージシャンがツアーを休止している状態です。
それはアーティストだけでなく、照明やステージディレクター、ツアーバスのドライバー等、業界全体の経済活動が封鎖されてしまってるわけですが、クラブやアリーナではなく、スタジアムクラスで興行を行うアーティストとして、現状をどう見ていますか?
J: これはある種のリセットボタンだよ。
僕はこのエンターテイメントが動かしている経済をしっかりと認識している。ミュージシャンに始まり、会場の案内スタッフ、駐車場の係員に至るまで。
でも、もしかするとこの経済モデルの在り方は変えられてしまったかもしれない、永遠にね。
(コロナの影響が出始めてから)僕らはツアーを延期ではなく、キャンセル(&返金)することに力を尽くした。
僕にはプロモーターの連中にファンのお金を一年半もキープさせておく意思はない。だって、僕らのファンは、クレジットカードや家賃の支払いにそのお金が必要かもしれないんだ。
僕はコロナが表面化した初日からこのことを考えていたし、いつ再びツアーに戻れるかもわからなかったしね。
一度返金し、一年半後に再設定するコンサートのチケットの売れ行きのことは心配しなかったよ。
今から一年半後のチケットをファンが買いたくないと思うのであれば、それは彼らが(金銭的に余裕が無くて)買うに買えないからだ。
だから、僕は一度彼らにお金を返しておきたかったんだ。
きっと、僕らはこの深刻さの全貌をまだ見えていないと思う。世界全体がまだ麻酔にかかっている最中だから。
新たな経済の形はまだ姿を現していなくて、シフトの最中だと思う。
Livin' On A Prayer の後悔
18:00
I: ここで一つあなたに訊いておきたかった質問をさせてください。
“Living On A Prayer” のラストでキーが上がる箇所についてです。
私はディスコやハウスパーティーで曲が流れている時に、ああいったキーチェンジが人々の感情をさらに盛り上げるのを見てきましたが、“Living On A Prayer” のものほど効果的なものは聴いたことがありません。
あなたがライブで歌っている最中に、あなたも同じように感じているんでしょうか?
J: 僕のステージに毎回憑いてまわる疑問を訊いてくれてありがとう(笑)
あんなキーを上げるアレンジ、やらなきゃ良かったといつも思うよ。
I: 爆笑
J: そりゃあ25歳の時にはそれほど苦しくもなかったさ、自分の喉やパフォーマンスが最高潮にあったわけだから。
でも今や58歳になり、Gtソロ前の一番高い箇所は High C(ド)で、キーが上がった後はさらに高い音だ。これを毎ステージだよ?
信じてくれ、これは簡単なことじゃない。
I: でも気持ちは良いもんでしょ?
J: それがもたらす効果はわかっていたけど、あれは僕のアイデアじゃなかったんだ。
あの曲は僕とリッチー、デズモンド・チャイルドの3人で作ったんだけど、僕らは何もアイデアが無い状態で作曲に入り、少しずつ組み立てていった。
やっていく中であのキーチェンジのアイデアが出たんだけど、確かにあの高音は出せたよ、一か所一か所、止めて歌って止めて歌ってというやり方であればね(笑)
あの曲が世に出て以降、多分僕はもう4000回は歌ってきたと思うけど、あれは楽なことじゃないんだよ(笑)
I: あの曲を歌わなかったら歌わなかったで、観客は怒りますしね!
終/