就業率と調理食品
■専業主婦は絶滅危惧種?
「専業主婦」という言葉も、将来は該当者が減っていくかもしれない。女性の就業率は、60代を含めたどの年代でも微増で高まっているのだ。
雇用機会均等法の成果と見れば、働きたい女性の受け入れ態勢が整ってきていると解釈できる。しかしそれよりも、一家の稼ぎ手の所得が伸びないから、あるいは減額の危機があるからだと考えると、これは深刻な問題だ。
■仕事に出る=調理の時間や精神的な余裕が減少=調理品の活用
グラフは、女性の就業率と調理食品(コンビニエンスストアやスーパーで売られている弁当から惣菜などの副菜まで含む)への支出の推移を表している。グラフの軌跡は非常に近い動きとなっている。

これが意味するところは、家庭での調理率の減少、ひいては生の野菜や肉や魚の売れ行きの低下である。すると調理器具への支出にも響く。さらに「手料理よりも調理品」が家庭料理は当然だと子供が理解してしまうと、自分たちが家庭をもったときに同じ選択をする。
■この傾向から読み取れる対応ポイント
コストの面から家庭で調理した方が安く上がるのを承知していても、仕事や家事で手一杯になれば、調理食品の採用は避けられないことにる。その流れを嘆いても仕方がない。どうプラス材料として取り込めるかだ。
①ソリューションテーマという切り口
ひとつ言えることは、こういう状況下で「なにを所有したいですか?」とたずねても、消費者の心には響かないということだ。
「なにを解決したいですか?」という聞き方になる。つまりソリューションだ。ソリューションというとサービス業が思い浮かぶが、メーカーもその製品を使用することで、家庭の問題点が解決されるという視点がますます必要ということ。
②チャネルの多様化、ポートフォリオの重要性
そしてもうひとつ、このトレンドから大きなマイナスをこうむるのは農家や畜産業、漁業などの一次産品生産者だ。例えば販売チャネルを多様化させるなどが求められる。「産地→小売り」ではなく、「産地→調理会社/外食企業」などのルートである。「産地→消費者」はひとつのチャネルであるが、消費者が調理しなくなるようでは、小売りチャネルが期待できないのと同じだ(注:産地→”食材にうるさい消費者”などは少数派として残る。そういう考え方を啓蒙して拡大する施策は必要である)。
③新しいビジネス機会創造の種まき
三つ目は、この傾向を将来に向かいプラス効果に活かすこと。調理品により、新しい発見が消費者にあることが望ましい。その料理を「自分でも作ってみたい」と思ってもらえるかどうか。珍しいもの、身近ではなかった食品などが該当する。日常のソリューションとしての常食の提供だけではなく、一部に発展性・新規性のあるものを仕掛けることで、将来への手がかりが得られるだろう。カレーやスパゲティも、時代を遡れば、レストランで一部の人が味わえていただけだったはず。そういう新しい食品を見つけること。