国際課税勉強会4(消費税の国外役務提供)
村井先生の国際税務判例研究会「一角塾」にオンライン参加しました。
今日は平成22年10月13日東京地裁判決で、アメリカで行われるカーレースに関する消費税の内外判定の話です。原告である法人が、カーレースの段取りとか、広告とかのためにスポンサーからもらった契約金について、それは国外取引だから消費税を課税されないと考えて申告しなかったところ、税務署は国内取引だと言って課税処分をしたため、原告がその処分取消を求めて訴訟を起こした事案です。
基礎知識として、消費税はまず、取引を国内と国外に分け、国内取引だけを課税対象とします。つまり国外取引の場合は課税されないということになります。これは輸出免税とは別の話で、輸出免税というのは国外取引でなく、国内取引だけど、例外的にゼロ税率を適用するという整理になります。
この事件は、輸出免税に該当するかどうかの争いではなく、取引が国内か国外かの争いです。納税者はカーレースはほとんどアメリカで行われているので、日本国外での役務提供ということになるので、課税対象外だと主張しました。
これに対し、国は、このスポンサーからの収入は、国外でのレースに関する売上だけでなく、国内での広告料なども含まれているのに、一括契約になっていて国外と国内の区分ができないため、結局原告の事務所がある日本において行った取引、つまり国内取引として全部課税されると主張しました。
裁判所は国の主張を認め、原告法人の敗訴となりました。どうやら原告はスポンサー契約金収入に消費税(当時5%)を転嫁して受取っていたようで、消費税を受け取っているのに、課税対象外として申告しなかったことも、裁判官の心証に影響したんじゃないかということでした。それはそうかもしれないと思います。
しかし、僕としてはこの件について、全部を国内取引として課税するのは、合理的でないと感じました。なぜなら、広告料は日本国内での役務提供と言えるとしても、カーレース自体は国外で開催されているので、少なくともそのレースのセッティングという役務に関する売上部分は、国外取引とみることができるからです。
収入の内容を、国内での広告料等と、国外でのレース売上部分に合理的にわけて、国内部分だけを課税対象と考え、レース部分は課税対象外という論理で主張して控訴すれば面白かったのではないかと思いました。
ポートインク近くの神社でお祭りをやっていて、ポートインク玄関にも提灯が下がってました。