Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

ZIPANG-4 TOKIO 2020 表日本とは日本海側だったこと知っていますか?(その1)・・・【寄稿文】日原もとこ

2020.10.19 14:40


表日本と裏日本とは

日本海 冬の海(石川県)
北陸の冬といえば、 どんよりした雲に覆われた灰色の空や景色をイメージされる方が多いのでは・・・ 確かに全国的にも雨が降る確率は高く、さっきまで晴れていたのにいきなり豪雨になることも多々ある。また、冬は雷が鳴り響く日も多く、そんな日は日本海の荒波を見ることができる。それは迫力があり自然の脅威さえ感じる。


江津市黒松海岸の夕日(島根県)
夕凪、海風から陸風に切り替わる、まさにその瞬間・・・夕陽が一直線に波の上を渡り砂浜に消えていった。雲一つない空に連れられ到着した先は、江津市の黒松海岸。風車の連なる浅利富士の方向にゆっくりと日が沈み、それを見つめながら穏やかな時を過ごす・・・


我が国の、日本海側に分布する地域は、太平洋側地域と比べて何となく寂れたイメージが付きまとうのでは…?


表か裏か?
これは、列車で列島を走って見ると一目瞭然ですよね。どちらが先か?後か分かりませんが、先ず目につくものと言えば、人やモノの交流を活性化させるインフラ整備でありましょう。新幹線や高速道が最初に着手された所は、狙い通り、大企業が張り付き、人口も増えるし、大都市圏となりました。


‘のぞみの‘ 停車駅(東京ー新大阪間)
東京⇋品川⇋新横浜⇋静岡⇋名古屋⇋京都⇋新大阪  


先ずは東海道新幹線をみてみましよう。たとえばJR東海の新幹線“のぞみ“の停車駅名を見ますと、東京始発から終着新大阪迄、その距離にして…550.4km 所要時間は2時間27分。


東海道新幹線の開通は1969年に対して、裏日本のイメージの残る山形新幹線の開通は 1992年、走行距離360km 所要時間は今尚、東京ー山形間2時間40分※。


※東京―山形間の所要時間は2020年現在、山形新幹線開業 ❲1992,7.1)から二十数年間でわずか1分短縮されただけで、ほぼ変わりません。

この間、東京―山形間(360キロを2時間40分)の2倍近い距離(714キロ)がある東京―青森間は1時間56分短縮されて2時間59分となりました。

東京で同時に出発した青森行と山形行の乗客は昔ならば、ほぼ19分遅れの誤差範囲で到着するのです。・・・やはり、“裏日本“のイメージは払拭し難いものがありますね〜


 今は八大都市圏と呼ばれるそうですが、これらは殆ど太平洋側に位置しています。


人口、面積及び人口密度等

※上記、クリックすると拡大できます。


その訳は、明治維新以降に250年間に亘る鎖国が解かれ、西欧諸国に対して文明の遅れを痛感した日本は外交の主軸をアジア諸国から欧米諸国へと移しました。


それは太平洋の遥か彼方にある西洋文明の吸収にありました。つまり、日本の表玄関が太平洋側となったのです。


歴史を辿れば、我が国の対外交流は記紀に見る古代の大量の渡来人(秦、や高句麗、渤海、新羅、百済etc,)等は、ほぼ東アジアに限られていた為、日本海側沿岸部に設けられていた主要港が国内外の玄関口であり、海運・物流拠点でした。


すなわち、明治維新までは長い歴史を通じて日本海側こそが我が国の表日本だったと言えましょう。


そもそも、太平洋側が何故に表日本となった由来を考えますと、歴史的には時の権力者聖徳太子が古代中国、隋の煬帝に向けて使者(遣隋使小野妹子)を派遣し、国書を携え朝貢しましたが、使者によれば次のように記述されていたのです。


倭王のタリシヒコ(用明天皇説が有力とも…)が「海西の菩薩天子(隋の煬帝?)に宛てた? ➡「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す 恙無きや…云々」


この意味は、ー真っ先に朝日が登る国の天子から日が沈む国の天子へ。ご安泰ご隆盛をお慶び申し上げる。ーという感じでしょうか?


これは、あまりにも大国に対して小国日本が胸を張ったとする、無礼極まる有名なお話(勿論、随国の煬帝は激怒したとか…しないとか…?兎に角収まった)。しかし、この時代に日本はすでに「日の本」の国であることを自ら明言していますね?


とは言え、日本海に面した日本海沿岸部は、恐らく長い歴史(氷河期から?)を通じて、日本の表玄関とはアジア大陸との外交関係からみても、れっきとした日本海側地域でした。


ところがつい最近まで私達の記憶にあるのは日本海側こそが「裏日本」。
そう呼ばれて来たのは明治以降の話なんです。たった100年足らずの間だけ。何故でしょう?  


それは1960年頃、新潟県から一種の差別用語として苦情が出た為に禁句となり、メディアからもその言葉は一斉に消え去ったのです。

城崎温泉の中央を流れる大谿川。川沿いの柳が何と風情の漂うこと・・・


日向が恋しくなり始めた、初秋の出石城下町と中央の奥にみえる辰鼓楼
明治4年、旧三の丸大手門脇の櫓台に建設された鼓楼である。当時は、1時間ごとに太鼓で時(辰)を告げていた。今では、出石のシンボルの時計台として時を刻んでいる。
 

ある女性会合で、自己紹介の折に、こんなことがありました。団塊の世代に生まれた方の番となり…「私は兵庫出身でして…」「あっ!神戸とか…姫路!お洒落〜素敵!!」という声があちこちから飛び交います。

当のご本人は肩をすぼめて「いえ、いえ、私、裏日本側に住んでおりまして…」と申し訳なさそうに仰有るのですが、早速、私メが引き取りまして、「あ〜お忍びで行く評判の城崎温泉とか、辰鼓楼(シンコロウ)のある出石の方面ですね?歴史的な重みと情緒豊かでもっとカッコイイわ〜」…といえば、何何?しんころうってなぁに?お忍びって〜?聞き捨てならないわね〜…ガヤガヤ…すっかり座が盛り上がる運びとなりました。


北前船は「米を1千石(150トンの米)積むことができる大きさ」という意味から千石船ともよばれ、北前船史上最大の船は、2400石も積むことができ、巨大な帆1枚で逆風でも進むことができる、すぐれた帆走性能の船である。
北前船の国内最大1/2スケールの模型船が日和山公園で見ることができる!


日本海を表日本にした北前船の活躍

江戸時代半ばから明治の半ばにかけて、大阪と北海道を結び物流専門の輸送手段が北前船てした。



酒田港と紅花は切っても切れない仲

「最上紅花」は日本一の産地となった山形県花の呼称です。
その酒田港、最盛期には日本の真ん中とされたほど、脚光を浴びた北前船の本領を発揮したところでした。


のこぎり商法の由来

江戸時代から明治にかけて日本海の海運で活躍した、主に買積みの北国廻船(かいせん)です。この買積み廻船とは商品を預かって輸送するのではなく、その船自体が寄港地でその土地の商品を買い、それを他の寄港地で売買して、利益を上げるシステムなのです。


このアイディアは当初、近江商人たちの発想で、当然彼らが主導権を握っていましたが、こんな美味い汁を彼らだけに吸わせて放っておく手はありません。(独禁法なんてなかったのでしょうね)後に船主が主体となって交易するようになりました。


暖流の對馬海流は北航路を早く走り、上りではリマン海流に抗いながら、北陸以北の日本海沿岸諸港から下関を経由して瀬戸内海の大坂に向かうのです。


次回へ続く・・・



【寄稿文】 日原もとこ(色紐子)
東北芸術工科大学 名誉教授 /風土・色彩文化研究所 主宰/まんだら塾 塾長
日本デザイン学会名誉会員/日本インテリア学会名誉会員/


※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。



近江商人関連情報です。下記リンク記事をご覧ください。


ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~ 日野・五個荘・近江八幡 ~ 近江商人のふるさと「売り手よし・買い手よし・世間よしの『三方よし』の理念とは」

https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/6479273/


ZIPANG-3 TOKIO 2020「千数百年の歴史を誇る伝統の お祭り 近江八幡の『八幡まつり』」

https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/5814368/



協力(順不同・敬称略)

一般社団法人 大田市観光協会(大田市役所仁摩支所内)
〒699-2301 島根県大田市仁摩町仁万 562-3 電話:0854-88-9950

一般社団法人 加賀市観光交流機構
〒922-8622 石川県加賀市大聖寺南町二41 加賀市役所 別館4階 TEL 0761-72-0600

加賀市観光情報センター
〒922-0423 石川県加賀市作見町ヲ6-2 JR加賀温泉駅内 電話:0761-72-6678

豊岡市役所 〒668-8666 兵庫県豊岡市中央町2番4号 電話:0796-23-1111

出石観光協会(NPO法人 但馬國出石観光協会)
〒668-0214 兵庫県豊岡市出石町内町104-7 TEL 0796-52-4806 

一般社団法人 酒田観光物産協会 〒998‐0838 山形県酒田市山居町1-1-20
TEL:0234-24-2233

公益社団法人 山形県観光物産協会
〒990-0827山形県山形市城南町1丁目1番1号 霞城セントラル内 TEL/023-647-2333

鎹八咫烏


※現在、2250件余の記事掲載、下記のサイトからご覧ください。


ZIPANG-8 TOKIO 2020 (VOL-8)
https://tokyo2020-8.themedia.jp/


ZIPANG-7 TOKIO 2020 (VOL-7)
https://tokyo2020-7.themedia.jp/


ZIPANG-6 TOKIO 2020 (VOL-6)
https://tokyo2020-6.themedia.jp/


ZIPANG-5 TOKIO 2020 (VOL-5)
https://tokyo2020-5.themedia.jp/


ZIPANG-4 TOKIO 2020 (VOL-4)
https://tokyo2020-4.themedia.jp/


ZIPANG-3 TOKIO 2020 (VOL-3)
https://tokyo2020-3.themedia.jp/


ZIPANG-2 TOKIO 2020(VOL-2)
https://tokyo2020-2.themedia.jp/


ZIPANG TOKIO 2020 (VOL-1)
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/