「宇田川源流」 立憲民主党において参議院幹事長を外された蓮舫議員の「今後の使い道」
「宇田川源流」 立憲民主党において参議院幹事長を外された蓮舫議員の「今後の使い道」
共産主義というのは、過去に何回か書いているが、単一の直線型のヒエラルヒーによって構成されている。上位の人間から徐々に下に向かって一直線上になっていて、上の権力者を排除しなければ、下の者は上がれない仕組みになっている。
中国共産党などは良い例で、「共産党」でなければ出世できないのである。もちろん、共産党員ではない人であっても、企業人として活躍できる人はいるが、しかし、共産党員と必ずつながっているか、少なくとも共産党を否定するなどのことはない。
これは、日本のように「与党と野党」というような多様性がある政治体型をしていないので、一つの権力構造の枠からはみ出してしまった場合は、その国の権力構造に二度と組みできないということになる。
日本では、「何かの犯罪で有罪になった人でも刑期が終われば再度立候補して政治権力の王増の中に入ることができる」というような状況であるのに対して、中国共産党支配下に置いて一度失脚した人は、基本的に二度と権力構造の中に戻れない(唯一の例外が習近平の父習仲勲であろうか)。現在の与野党の中において、そのような日本の与野党の仕組みの恩恵を受けて議員をしている人は何人いるのであろうか。
さて、そのような共産主義の場合、共産主義の中で対立派閥が出た場合は、「内ゲバ」が始まる。共産主義の場合は「相手を倒さないと自分が倒される」ということになる。そのために、外部の情報をスパイするのと同じくらい、内部の人々の監視体制が厳しく設定されているのである。逆に言えば「失脚した人の再登板」はほとんどないということが言える。これが「左翼的な政治思想」である。
上層部の覚えめでたい人が、上層部の人のコネで引き揚げられ、一度はしごを外された人は、そのまま下に下がってゆくしかないということになる。逆に上層部のおぼえをめでたくするためには、過激なことを声高に言い「目立つ」ことが必要になる。そのために舌鋒鋭く目立った人が、何かの瞬間にはしごを外されて急に失脚するというようなことが起きるのである。
「蓮舫」幹事長がポストを外された理由 自民参院幹事長との“蜜月”に横槍が入り…
参議院に地殻変動である。
今月1日、立憲民主党の人事で、蓮舫参院議員(52)が就いていた参院幹事長のポストが羽田雄一郎氏に挿(す)げ替えられることになった。
「さらに、蓮舫氏は重要ポストの予算委員会筆頭理事も交代させられる見通しです」(政治部記者)
実は、これに遡る9月、参院自民党でも地崩れが起こっていた。
「かつての参院のドンこと青木幹雄元参院会長の長男・一彦氏が予算委員会の筆頭理事に就任することになり、石井準一参院幹事長代理(62)が筆頭理事から降りることに。あくまでも竹下派同士での交代ですが、細田派など他派閥が石井氏と蓮舫氏の“近さ”を問題視したという裏事情があったのです」
同じ時に筆頭理事を務めた蓮舫氏と石井氏だが、
「石井氏には、蓮舫氏との信頼関係がある自分にしか、吉田博美元参院幹事長亡き後の参院は仕切れないという自負があった。それで、国対とは別のラインで参院予算委員会の審議を主導しようとしたんです。今年の1月に世耕弘成参院幹事長が蓮舫氏のことを揶揄するツイートをした際にも、ものすごい剣幕で石井氏が怒鳴り込んできたといいます」
二人の関係は、周囲に「異様」と映り始めた。
「蜜月ぶりを見かねた森喜朗元総理が参院竹下派に苦言を呈し、筆頭理事の交代という事態になった。もっとも、石井氏からすれば一彦氏は後輩議員なので、影響力は残せそうですが」
一方の蓮舫氏は哀れだ。
「彼女は、石井氏とのコンビで参院の立憲は存在感が高まったとばかりに、与党に振り回される衆院側を見下し、反感を買っていた。石井氏が筆頭理事を外れる以上、蓮舫氏に用はないと切られてしまったのです」
人事に深い事情アリ。
「週刊新潮」2020年10月15日号 掲載
2020年10月17日 05時56分 デイリー新潮
https://news.nifty.com/article/domestic/government/12280-828773/
さて、蓮舫議員が失脚している。立憲民主党の参議院幹事長を外されて羽田孜元総理の息子である羽田雄一郎氏が参議院幹事長に就任した。
もちろん立憲民主党の中の人事であって別段国政に何か大きな影響があるとは思えない。
記事によれば予算委員会筆頭幹事も外されるということであり、まあ、「看板がすべて外された」形になる。小沢一郎ではないが「一兵卒」に下がったということになる。
その事情がなかなか楽しい。自民党の石井準一氏との関係が深かったが、その石井氏が交代したので蓮舫も外されたというのである。
ではその石井準一氏とはどんな人物であろうか。石井準一氏は、もともと浜田幸一氏の自宅に11年も住み込んでいた秘書で、その後1987年、29歳で千葉県議会議員選挙に出馬し、初当選した。以後、5期20年にわたり千葉県議を務め、2004年から自由民主党千葉県連総務会長。2007年、引退する倉田寛之参議院議長から後継指名を受け、第21回参議院議員通常選挙に千葉県選挙区(定数3)から自民党公認で出馬し、当選。当選後は平成研究会に入会という経歴である。
実際に、2018年の総裁選では当時の平成研究会の吉田参議院幹事長(当時)と調整して平成研の票を石破茂投票でまとめ上げ、また委員会の最中、与野党がもめるたびに、石井議員が立ち上がって出てきて、安倍晋三総理や麻生太郎財務大臣に「このように直してほしい」などと要求をしていることが言われている。平成研究所内では「なかなかよくやっている」という評価であるが、その要求内容が蓮舫と調整しての内容であったというような感じである。
つまり、ある意味で与党側における蓮舫のスパイともいえるし、ある意味では与党側の意向を野党に飲ませる調整役ともいえる。
だいたいの場合このような人物は「裏方」とか「寝業師」といわれ、その調整能力を高く買われるものであるが、その相手が蓮舫であれば、「調整後にもマスコミを使って平気でクレームをつけるモラルのなさが問題であり、その蓮舫のクレームをコントロールできない」ということが石井氏の問題であった。
つまり「国会内は調整できてもマスコミや世論を気遣うことまではできない」というような評価になり、当然に石井氏は更迭される。
上記には「近さを問題にした」とあるが、実際は「近いのにコントロールできないのは、逆に蓮舫に使われているのではないか」というような感覚になったということであろう。これに対応して蓮舫も失脚する。
この「蓮舫の失脚」は、「彼女は、石井氏とのコンビで参院の立憲は存在感が高まったとばかりに、与党に振り回される衆院側を見下し、反感を買っていた。石井氏が筆頭理事を外れる以上、蓮舫氏に用はないと切られてしまったのです」<上記より抜粋>ということであり、まあ、自分ではうまくやっていたのに、相手が青木一彦筆頭幹事では全くうまくゆかないということを見越されているということである。
さて、この問題と蓮舫の離婚をなんとなく結びつけることもできるのであるが、まあ、その辺まで考えるのかは考えすぎであろうか。
しかし、すでに立憲民主党の中では、そのようなうわさもたっており、執行部は蓮舫を外すということになる。この蓮舫が「内ゲバ」を起こすのか、あるいは、立憲民主党をやめて国民民主党あたりに鞍替えするのか、あるいは、思い切って自民党にでも行くのか。今後は楽しみである。