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都営新宿線について考える

2020.10.19 01:50

1.はじめに

 はじめまして。今回初めて研究を書かせていただく、**です。まだまだ、未熟なところもありますがよろしくお願いします。今回は都営新宿線について書きました。このテーマを選んだ理由としては、都営新宿線の時刻表を見ていたときに急行の停車駅が不思議に思ったからです。拙い文章ですが、最後まで読んでいただけると幸いです。

2.都営新宿線について

 都営新宿線は東京都の新宿駅から千葉県の本八幡駅を結ぶ路線で、京王線・京王新線などと直通運転しています。神保町駅や九段下駅、市ヶ谷駅などの乗り換え駅を多く持ちます。京王線新宿駅の列車集中を防ぐことや、付近の総武線や地下鉄東西線の混雑緩和をするなどの役割があります。都営新宿線には急行と各停があり、急行は他の都営線との乗り換え駅全てに停車し、連続停車はありません。この急行は地下鉄東西線や総武線と速達性について競合しています。

都営新宿線の10-300形

都営新宿線に直通する京王の9000形

3.都営新宿線の問題点

➀急行の停車駅が不便であるという点

参考:東京都交通局(平成29年度)

 都営新宿線の急行は、利用客数が10万人を超える九段下駅や、丸ノ内線や副都心線との乗換駅である新宿三丁目駅、住宅の多い西大島駅から本八幡駅間で3番目に利用客数の多い瑞江駅などを通過し、速達化に特化しています。その影響で平日日中の乗車率は低く、座席が埋まらないことや各駅停車のほうが混んでいることもあり、急行列車の停車駅見直しが必要です。また、朝の通勤時間帯には優等列車が運行されていません。東西線には通勤時間帯に運行する通勤快速があり遠距離客へのサービスを行っており、サービスに差が出ているともいえます。

②沿線路線が非常に混雑している点

参考:国土交通省(平成29年)

 このように朝ラッシュ時の混雑も比較的低くなっています。しかし、付近の東京メトロ東西線は全国ワースト1位の199%で、JR総武緩行線も2位の197%と全国でも有数の混雑区間です。沿線路線の混雑を緩和するには都営新宿線への利用を促す必要があります。また、定期券で都営新宿線を経由するものを持っていた場合、通勤通学以外の用途でも都営新宿線を利用してもらえる可能性があり日中の乗車率をよくできます。

4.優等停車駅の変更

 先述したとおり急行停車駅を変更する必要があると思います。しかし、停車駅を多くすると速達性が失われてしまい、停車駅を少なくすると本数の多いラッシュ時間帯に先行列車に詰まってしまいます。詰まらないようにするために、ラッシュ時間帯のみに運転する停車駅を増やした通勤急行を運転すればいいと思います。停車駅変更を考察する駅のみ書きます。

S2 新宿三丁目駅

 丸ノ内線や副都心線との乗り換え駅で、現在は急行通過駅です。急行が通過する理由として、新宿まで乗りとおす人が多いこと、新宿駅に近いこと、連続停車を避けるためだと考えられます。しかし、副都心線開業により渋谷・池袋方面への利便性が上がったことなどがあるので、列車間隔の短い朝ラッシュ時での新宿駅でのつまり防止のため、通勤急行のみの停車で良いと思います。

S5 九段下駅

 急行通過駅で、東西線と半蔵門線との乗り換え駅です。10万人以上の利用客数があり、半蔵門線との対面乗り換えが可能なので、全列車停車させるべきだと思います。

九段下駅周辺の様子

S7 小川町駅

 急行通過駅で、千代田線新御茶ノ水駅や丸ノ内線淡路町駅と乗り換えができます。利用客は7万2千人と乗り換え駅の中では中核的駅です。千代田線から霞ヶ関方面に向かうことができるので、通勤急行のみ停車で良いと思います。

S8 岩本町駅

 急行通過駅で、JR山手線や総武緩行線、地下鉄日比谷線秋葉原駅との乗り換え駅ですが、地上乗り換えが必要となりやや不便です。待避線があり、日中は各停が急行を待避しています。利用客数はあまり多くなく、ラッシュ時間帯は総武緩行線のバイパス路線としての役割があるので、通勤急行のみ停車させるといいと思います。

岩本町駅周辺の様子

S13 住吉駅

 急行通過駅で、半蔵門線との乗り換え駅です。利用客数は都営新宿線の乗り換え駅の中で最も低く4万4千人です。半蔵門線は九段下駅で対面乗り換えができ、清澄白河駅や水天宮前駅には他の都営地下鉄線を使ってでも行くことができます。そのため、多くの利用客のいる朝ラッシュ時の通勤急行のみの停車でよいと思います。

S15 大島駅

 急行停車駅で、車庫や待避線があり営業上重要な駅です。しかし利用客数は多くなく3万3千人と急行通過駅の篠崎駅や一之江駅よりも少なくなっています。そのため、急行、通勤急行ともに通過してもいいと思いますが、沿線住民などからの反発が起きる恐れがあり、退避可能駅なので臨機応変に対応すべきだと思います。ここでは、通過とさせていただきます。

S19 瑞江駅

 急行通過駅で、利用客数は5万7千人と住宅の多い西大島から本八幡の間で3番目に利用客数が多いです。通過線があり、日中の各停は急行の通過待ちをしています。利用客数も多く、駅前も発展しているので急行停車で良いと思います。

瑞江駅周辺の様子

 まとめるとこのようになります。また、状況により臨機応変に停車駅の変更を行うことも必要だと思います。

5.今後の運行形態

 なお、ここでは車両使用料を考慮しない場合、または今回考察しない他の時間帯でバランスの調整を行う場合について、改善をおこないます。車両使用料とは、他の会社に車両を貸し出したときに発生する料金のことです。多くの会社が貸し出す車両の走行距離の合計を同じにして車両使用料を相殺しています。

① 日中時間帯

現在の日中ダイヤ(一部の駅は省略しています)

参考:えきから時刻表

岩本町駅の配線図(一部省略)

参考:都営交通の世界(交通新聞社)

 現在の京王線内区間急行の各駅停車が上下線ともに岩本町駅で退避を行っていますが、岩本町駅は2面3線という非常にダイヤ乱れに弱い構造になっています。このような配線ですと、ダイヤ乱れが起きる場合にさらなる遅延が発生する恐れがあります。これを防ぐために、下り列車の退避を大島駅にすることとします。現在の下り京王線直通の各駅停車に新宿駅にて数分の余裕があることと、急行の九段下駅停車による所要時間微増により、各駅停車が大島駅まで逃げ切れるようになっています。

日中の改正案


② 朝ラッシュ時間帯

現在の朝ラッシュピーク前時間帯ダイヤ

  

参考:えきから時刻表

ラッシュピーク前の1時間の本数

参考:東京時刻表(交通新聞社)

以上の図のようにピーク前の時間帯の本数が比較的少なくなっています。朝ラッシュ時間帯は最短3分間隔で運転されていますが、ピーク時間帯前は5から10分間隔と、比較的余裕があります。しかし、そのためピーク前でも他路線と比べて混雑しています。これでは、オフピーク通勤の推進など、他路線で行っている混雑緩和対策を行うことができません。オフピーク通勤とは、通常より早い時間帯に通勤することで、混雑の平準化などを図るものです。改善策として、始業時刻の変更を行います。一部列車の車庫から出る時刻を早め、オフピーク時間帯の増発を行います。

朝ラッシュピーク前時間帯改善案

参考:えきから時刻表

 新宿駅折り返しとしたのは、できる限り遅い時間に増発を行うためです。笹塚駅に直通せず京王線への乗り換えが不便になる可能性もありますが、新宿駅では改札内乗り換えができ、笹塚駅への直通列車の本数は変わっていないので問題ないと考えます。また、朝ラッシュピーク時間帯にも各駅停車の間隔を短くして増発を行います。

③夕ラッシュ時間帯

夕ラッシュ時間帯は各駅停車の本数が4分~7分間隔と優等列車を入れることが難しく、運転したとしても退避により各駅停車の所要時間増大や優等列車への乗客の集中が考えられるため、夕ラッシュ時間帯については、ここでは改善案の提案はしないこととします。改善案を考える場合では、朝ラッシュ時間帯のみの運用で夕ラッシュ時間帯の運用についていない列車を運用につかせて、各駅停車の運転間隔を短くします。

6.その他の改善策

平行路線の乗客が都営新宿線に乗り換えないのには理由があると考えます。1つは都営地下鉄であるからです。都営地下鉄は路線数が少なく、東京メトロやJRへ乗り換えるのであれば、はじめから東京メトロやJRを使ったほうが安く、早く目的地に着くことができるからです。これをなくすためには会社の統合が必要です。しかし、運営の統合には様々な問題があり簡単にはできません。料金を安くするための料金形態に関しては、どちらの会社にも収益がある必要があるので安くすることは難しいです。

東京メトロ線・都営地下鉄線別に、実際に乗車する区間の経路によって計算した定期運賃を下記により計算して合算した額となります。

1か月…大人1か月の定期運賃を1割5分引きして、10円未満の端数を切り上げた額

3か月…同区間の1か月の割引後の定期運賃を3倍し、これを5分引きして、10円未満の端数を切り上げた額

6か月…同区間の1か月の割引後の定期運賃を6倍し、これを1割引きして、10円未満の端数を切り上げた額 

東京メトロホームページ 定期券の基本より引用

都営地下鉄には、東京メトロとの連絡定期券があります。この、連絡定期券を大きく宣伝することによって少しでも料金が高いというイメージを和らげられると思います。

2つ目は、全体的に本数が少なく速達性にも欠けるからです。

主な区間の所要時間比較

※乗り換え時間を含む

参考:東京時刻表(交通新聞社)

 本八幡駅から新宿駅への所要時間では都営新宿線の急行が勝っているものの、本数が20分に1本しかなく、各駅停車では退避のない列車でも所要時間が多くかかっています。これには、前項で急行停車駅変更によるできる限りの利便性向上と、朝ラッシュ時を中心とした増発で対応しています。また、本八幡駅などでは始発列車で座れることをよりアピールすることで、遅くても快適に座って行きたいという人に対して、都営新宿線を利用してもらえるようにします。

7.総括

・急行の停車駅変更や通勤急行の新設など、優等種別の利便性向上をおこなうべきです。また、停車駅に関しては状況に応じて臨機応変に対応する必要があると考えます。

・朝ラッシュピーク時間前に優等種別を増発し、混雑緩和や他路線からの乗客流入に対応できるようにする必要があると考えます。

・連絡定期や始発列車により座って通勤ができることをよりアピールする必要があると考えます。

8.おわりに

 いかがでしょうか。都営新宿線は混雑路線のバイパス路線として改良を行い、より都営地下鉄の基盤となる路線になってほしいと思いなす。初めての執筆であり、まだまだ未熟なので、たくさんの経験を積んでよい研究を書けるようになりたいと思います。校閲や編集、印刷をしてくださった先輩方や先生方、拙い文章を最後まで読んでくださった読者の皆様ありがとうございました。

9.参考文献

・国土交通省「最混雑区間における混雑率」

http://www.mlit.go.jp/common/001245349.pdf

・国土交通省「首都圏における主要区間等の混雑の見える化」

http://www.mlit.go.jp/common/001245351.pdf

・東京都交通局ホームページ

https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/subway/kanren/passengers.html

・えきから時刻表

http://ekikara.jp/newdata/line/1311031.htm

・東京メトロホームページ

https://www.tokyometro.jp/support/startguide/pdf/startguide2011_10.pdf

・都営交通の世界(交通新聞社)

・東京時刻表(交通新聞社)

※おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました