矢沢永吉と横浜とミーハー精神。
矢沢永吉が好きです。その理由は、すごく単純です。
コピーライター界の大先輩である糸井重里さんが編集した
矢沢永吉の自伝『成りあがり』を興味本位で読み、
めちゃくちゃかっこいいと思ったから。
そして、ミュージシャンとしてのサクセスストーリーの第一歩が
僕の大好きな港町・横浜から始まったからというのが大きいです。
広島から上京した際に夜行列車で東京へ向かうはずが、横浜で途中下車して、横浜に住み、
横浜でバイトをして、横浜のライブハウスで歌っていたという話はあまりにも有名ですよね。
そんな矢沢永吉、メディア露出は少ないですが、
テレビに出た時には必ずチェックするようにしています。
何ていうか、インタビューに答える時の返答というか、言葉がすごく面白いですよね。
借り物の言葉ではない、自分オリジナルの言葉、いわゆる矢沢語に魅了されまくっています。
先日もアルバムのリリースに合わせたPR活動の一環で、
テレ朝の音楽バラエティ『関ジャム』に出ているのを、もちろんチェックしました。
「憧れからいろんなものを吸収してる。
たぶんすごく、いい意味でミーハーなんじゃないかな。」
番組で矢沢永吉の音楽制作について、インタビュー形式でさまざま質問が寄せられる中、
曲のアレンジについて問われた際に発した言葉でした。うん、痺れました。
当時、キャロルのボーカルとして絶頂の矢沢は、ロックンロールは突っ込んでいこう、
真っ直ぐでいこうの精神でアレンジなんかに全く興味がなかったそう。
ただ、ある時ツアーを一緒にライブをしたサディスティック・ミカ・バンドの曲を聴いて、
メロディーがアレンジ次第でどうとでも変われることに衝撃を受けたというのです。
矢沢永吉から“ミーハー”という言葉が出たのには驚きました。
僕個人もそうですけど、パブリックイメージから想像しても
我が道を行く孤高の天才みたいなイメージがあるのではないかと思います。
ただ、考えてみれば、自身最大のヒット曲である『時間よ、止まれ』の
レコーディングの際には高橋幸宏(キーボード)、後藤次利(ベース)、
坂本龍一(キーボード)らの自分より若い才能をバンドメンバーに起用したり、
最近では「ヨコハマ Uō・Uō・Uō」の作詞にいしわたり淳治さんを起用したり、
昔から今に至る活動において、新しいモノをどんどん取り入れていこうという
動きや精神が随所に感じられるんですよね。
いつだって、ちょっと違う矢沢永吉を見せてくれるというか。
突っ張ってたロックンローラーが時間の流れと共に丸くなったんじゃない、
ミーハーになったんだって、考えるとなんか最高ですよね。
年を重ねるに連れて、どうしても人って、新しいものに興味が持てなくなったり、
周りの意見やアドバイスに意固地になってしまったりするものだと思います。
ただ、やっぱりトップランナーというか、進化し続ける人って、
いつでもいろんなものに対して柔軟で、面白がれる人なんですよね。
僕の大尊敬しているコピーライターの先輩もそんな人だったりします。
うん、仕事も私生活もミーハー全開で行くぞ、と改めて思ったのでした。
では、今夜は、この曲でお別れです。チャイナタウン。