カレーライスはインドから来た?
カレーといえばインド。これは常識ですよね。でも、インド料理のカレーって、日本のカレーよりもサラサラしていて、日本のカレーはドロッとしています。何故「インド料理屋さんのカレー」と「日本人の食べるカレー」は異なるのでしょうか?
明治時代初頭、日本各地に続々と港が開港、西洋から様々な文化が流入してきました。その西洋文化の一つとして、多くの西洋料理が日本へ流入して来ました。その一つとして登場したのが現代のカレーの原型です。
1872年(明治5年)出版の『西洋料理指南』のレシピでは「ネギ・ショウガ・ニンニク・バター・エビ・タイ・カキ・鶏・アカガエル・小麦粉・カレー粉」という材料で作られており、魚介類と肉類、更にはカエルまで入っており、現代のカレーとは異なるものでした。同年発刊された『西洋料理通』では、「牛肉・鶏肉・ネギ・リンゴ・小麦粉・ユズ・カレー粉」と、こちらは日本のカレーに大分近づいていますが、既に此の時点で、インドのカレーと大きく異なりますね。
実は、この時点で日本に入ってきた「ドロッとしたカレー」は「インド」ではなく「イギリス」から入ってきたものです。また、当時日本に入ってきたカレー粉は、イギリスのC&B(クロス・アンド・ブラックウェル)という会社のカレー粉でした。
此の様に、カレーはインドからイギリスへ渡り、ここで肉と野菜の煮込み料理(シチュー)と融合して日本へ渡ってきました。イギリス流はカレーに小麦粉のルウを合わせたシチューとインドカレーの融合した料理で米に合わせて食されていましたから、米文化の日本には浸透しやすかったのでしょう。なお、現代のイギリスでもカレーは人気があり、「チキンティッカマサラ」や「コロネーション」、「ケジャリー」などが受け継がれて人気があります。
インターネットもない時代ですから、原型を知る術もなく、この「ドロッとしたカレー」が日本式カレーの原型となったのは至極当然です。
そして、日本の外食でのカレーライスは、1877年(明治10年)、当時フランス料理店として営業していた、東京の
「米津凮月堂(現・風月堂)」
がオムレツやビフテキ等の洋食と共に、カレーライスを8銭で提供したのが始まりと言われています。他には帝国ホテルなどで供され、現代とは異なり、高級洋食店で襟を正して食する料理でした。
此の時点でフランス料理店である筈の「米津凮月堂」で、インド発イギリス経由のカレーライスが提供されている訳ですから、これが現代の洋食文化の「洋食はどこの国の料理なの?」という疑問の答えでしょうね。
その後、日本では「欧風カレー」「純印度式カリー」が産まれますが、こちらはまたの機会に。
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現在C&Bのカレー粉はネスレより販売されている。