「椿落とし」-令堂、心中の和歌-
2020.10.21 23:00
2020/10/16 公開
歌詞
茜色の空の下で
賭けられたのは純潔
揺れる提灯が映す
影を踏む花人
さぁさぁ入って入ってごらん
可哀想なのはこの子でござい
奇々怪々
見世物小屋
親の因果が子に報い生まれいでたるこの姿は蛇女
私の自由は売られた
貧しさ故の悪食は
私を化け物に変えた
名は母の源氏名であり
憎き娼婦の名
白痴に育った子供を騙し
金得た女は男に貢ぐ
恨めしや
恨めしや
蛇喰らう度に吐き気が襲い
震え泣きもがき苦しみ戻す
出来損ないと殴られて
痛みが声上げる
「愛されたい」と願い
「死にたい」と何度も叫んだ
この涙が落ちたら
振り向いてくれそうな気がして
ねぇ、お母さん
鏡の中をごらん?
綺麗でしょ?
貴女と良く似た娘の姿よ
覗き穴から差し込む
好奇な視線の中で
初売り少女の膜は
無残に破られる
散り行く姿が美しいと
愚鈍な大人は皆そう言った
悔しきかな
殺してやる
花は咲くから美しいのでしょう?
私にはその権利さえ無いの?
絶望に血を流しても
痛みは増すばかり
「愛されたい」と願い
「死にたい」と何度も叫んだ
もう疲れた眠ろう
この子が悪夢を見ぬように
令堂、心中の和歌
天に昇るは線香花火
この大好きな花の様に
最期は首をポタリと落とす
ねぇ、お母さん
私をよく見てごらん?
綺麗でしょ?
貴女が産み捨てた娘は
今
椿の花と成りて
首吊り
咲いているわ