伊邪那岐命・伊邪那美命から誕生した神さま ①
伊邪那岐命と伊邪那美命の国産みのあと、神産みが始まりました。
大きく分けて、三つに系統付けられます。
①住居関連
②自然現象
③生産関係
です。
①は実は誕生はしていますが、その後あまり出てこない神さまです。なのでここでは割愛します。
大事なのは②③です。
今回は②の神さまをご紹介します。
大綿津見神(おほわたつみのかみ)
別名=綿津見神
海の神さまです。
実は、この後に出てくる、「海幸彦・山幸彦」の火遠理命(山幸彦)と結婚する豊玉毘売命と玉依毘売命姉妹の父親です。
これはまた、その話のところで詳しく書きますが、山幸彦がなくした釣り針を魚たちを使って探させたり、その後、兄の海幸彦との関係に知恵を授けたのがこの神様です。
ちなみに玉依毘売命は、山幸彦の子、鵜葺草葺不合命と婚姻し、四男子をもうけ、その第4子が神倭伊波礼毘古命、つまり後の神武天皇です。
速秋津日子神、速秋津比売神(はやあきつひこのかみ、はやあきつひめのかみ)
別名= 速秋津日命/水戸神、
大綿津見神の次に誕生した2柱で、海の水を司る神さまです(古事記のみ、速秋津日子神、速秋津比売神と男女の別がある)。
二神の間には以下の四対八柱の神が産まれたと記しています。いずれも水に関係のある神です。
・沫那藝神(あはなぎのかみ)・沫那美神(あはなみのかみ)=水の泡を表す男女神
・頬那藝神(つらなぎのかみ)・頬那美神(つらなみのかみ)=水面を司る男女神
・天之水分神(あめのみくまりのかみ)・国之水分神(くにのみくまりのかみ)=農業用水を司る男女神
・天之久比奢母智神(あめのくひざもちのかみ)・国之久比奢母智神(くにのくひざもちのかみ) =灌漑に関わる男女神
また、「水戸神」とは「港の神」の意味で、古代の港は河口に作られたことから、水戸神は河口の神さまです。川に穢を流す意味から、祓除の神様ともされています。
志那都比古神(しなつひこのかみ)
別名=級長津彦命
風の神さまです。
神名の「しな」は、息が長いという意味で、古代人は風は「神の息」だと考えていました。風はときとして台風・暴風で人間に多大な被害をもたらすために、その風を防ぐために風に神が祀られるようになりました。
伊勢神宮には内宮の別宮に風日祈宮、外宮の別宮に風宮があり、どちらも級長津彦命を祀っています。風日祈宮は元々「風神社」と呼ばれておりましたが、元寇の際に神風を吹かせたのは風神社の神であるとされたことから、「風日祈宮」の宮号が宣下されました。
風の神であることから、航海安全の神ともされ、さらに、「風」と同音・同根である「風邪」を治す神さまともされています。
久久能智神(くくのちのかみ)
別名=句句廼馳
木の神さまです。
古事記においては、山の神さまである大山津見神、野の神さまである鹿屋野比売よりも先に産まれているのは、山を緑で覆う木が重要であり、生命力が満ちることを象徴する神であるからだと考えられています。
また、日本には木や森を祀った神社が多くありますが、昔から木は天上に住む神が地上に降臨する際の拠り所と考えられてきました。それが神社のご神木であり、その生命力を司るのも 久久能智神でした。
大山津見神(おほやまつみのかみ)
別名=大山祇神/酒解神
山の神さまです。
その後、草と野の神である鹿屋野比売神(野椎神)との間に以下の四対八柱の神を生んでいます。
・天之狭土神・国之狭土神
・天之狭霧神・国之狭霧神
・天之闇戸神・国之闇戸神
・大戸惑子神・大戸惑女神
大山津見神自身の事は古事記にはあまり書かれておりませんが、実は、天孫降臨の後、邇邇芸命が出会ったのが 大山津見の娘である木花之開耶姫であり、邇邇芸命が結婚を申し入れたことを喜んで奉じ、さらに孫が生まれると神々に酒をふるまったことから酒解神とも呼ばれています。
『日本書紀』では、イザナギさまがカグツチさまを斬った際に生まれたとされています。
鹿屋野比売神(かやのひめのかみ)
別名=草祖草野姫/野椎神
野の神さまです。上記のように、大山津見神との間に四対八柱の神を生んでいます。
神名の「カヤ」は萱のことです。萱は屋根を葺くのに使われるなど、人間にとって身近な草であり、家の屋根の葺く草の霊として草の神の名前となったと考えられます。また、別名の「ノヅチ(野槌)」は「野の精霊(野つ霊)」の意味です。
以上が、イザナキさま、イザナミさまからお生まれになった、自然現象に関わる七柱の神さまです。