学会ML『できた!』から『できそう!!』へ
日本授業UD学会では、正会員用メールマガジンで
『Happy Friday News』と題し、先生方の心温まるエピソードを
紹介しています。
10月にUD体育事務局の山下敦先生のエピソードが
配信されましたので、ご紹介します。
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以前に担任した6年生の女の子のことです。
彼女はどこか自信がなさそうで
何かにつけて「えー、無理。」と
口癖のように言う子でした。
授業中の課題や、宿題などにも消極的で
「できない」「わかんない」と
すぐあきらめ、避けてしまいがちでした。
体育の跳び箱の授業中のことでした。
彼女は開脚跳びが跳べず、
いつものように
「えー、無理」「できない」が
始まっていました。
そこで私は彼女の側へ行き、
補助のやり方を説明して
一緒にやろうと声をかけました。
ところが、返ってきた答えは
「えー、無理!」の一点張り。
私は戸惑ってしまいましたが、
無理強いするわけにもいかず
他の子の補助や指導にあたりました。
そのうち、跳べなかった子が
1人、また1人跳べるようになり
いよいよ残ったのは
彼女を含め数人となった時のことです。
「先生、やっぱり補助してください。」と
彼女の方から声をかけてきました。
補助を数回繰り返し、ついに彼女も
1人で開脚跳びが跳べたのです!
私は思わず
「やったー!!◯◯ちゃんが跳べたー!!」と
叫ぶと、はにかむ彼女を中心に
歓喜の輪が広がりました。
その後も、跳ぶごとに上達し、
まるで別人のように腰が高く上がった
美しい跳躍になっていったのです。
あまりに嬉しかったので、放課後に
保護者に電話をかけ
「初めて跳び箱が跳べて、クラスみんなで
大喜びしました。お家でも、思いっきり
褒めてあげてください!」
と伝えると、
「そういうことだったんですね。
家に帰ってきたと思ったら
急に自分から宿題をやり出したので
驚いていたところです。
後で思い切り褒めておきます。」と
保護者の方も嬉しそうに話してくれました。
次の日、彼女に宿題のことを尋ねると
「跳び箱が跳べるようになったから
宿題もできるんじゃないかと思って。」と
笑顔で話してくれました。
それから彼女は卒業まで、
毎日欠かさず宿題を出し
授業にも見違えるように積極的になり
とびきりの笑顔で卒業していきました。
ひとつの『できた!』が
色々な『できそう!!』に変わった
忘れられないエピソードです。
それでは、この辺で。Happy Friday