学会ML『できた!』から『できそう!!』へ

2020.10.23 13:00

日本授業UD学会では、正会員用メールマガジンで

『Happy Friday News』と題し、先生方の心温まるエピソードを

紹介しています。

10月にUD体育事務局の山下敦先生のエピソードが

配信されましたので、ご紹介します。


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以前に担任した6年生の女の子のことです。

彼女はどこか自信がなさそうで

何かにつけて「えー、無理。」と

口癖のように言う子でした。

授業中の課題や、宿題などにも消極的で

「できない」「わかんない」と

すぐあきらめ、避けてしまいがちでした。

体育の跳び箱の授業中のことでした。

彼女は開脚跳びが跳べず、

いつものように

「えー、無理」「できない」が

始まっていました。

そこで私は彼女の側へ行き、

補助のやり方を説明して

一緒にやろうと声をかけました。

ところが、返ってきた答えは

「えー、無理!」の一点張り。

私は戸惑ってしまいましたが、

無理強いするわけにもいかず

他の子の補助や指導にあたりました。

そのうち、跳べなかった子が

1人、また1人跳べるようになり

いよいよ残ったのは

彼女を含め数人となった時のことです。

「先生、やっぱり補助してください。」と

彼女の方から声をかけてきました。

補助を数回繰り返し、ついに彼女も

1人で開脚跳びが跳べたのです!

私は思わず

「やったー!!◯◯ちゃんが跳べたー!!」と

叫ぶと、はにかむ彼女を中心に

歓喜の輪が広がりました。

その後も、跳ぶごとに上達し、

まるで別人のように腰が高く上がった

美しい跳躍になっていったのです。

あまりに嬉しかったので、放課後に

保護者に電話をかけ

「初めて跳び箱が跳べて、クラスみんなで

大喜びしました。お家でも、思いっきり

褒めてあげてください!」

と伝えると、

「そういうことだったんですね。

家に帰ってきたと思ったら

急に自分から宿題をやり出したので

驚いていたところです。

後で思い切り褒めておきます。」と

保護者の方も嬉しそうに話してくれました。

次の日、彼女に宿題のことを尋ねると

「跳び箱が跳べるようになったから

宿題もできるんじゃないかと思って。」と

笑顔で話してくれました。

それから彼女は卒業まで、

毎日欠かさず宿題を出し

授業にも見違えるように積極的になり

とびきりの笑顔で卒業していきました。

ひとつの『できた!』が

色々な『できそう!!』に変わった

忘れられないエピソードです。

それでは、この辺で。Happy Friday