日本国内の臨床ガイドラインの開発・公開状況
EBPの"evidence"を入手するリソースの1つに臨床ガイドラインがあります.臨床ガイドラインの公開方法は「書籍として販売」「ウエブサイトで無料公開」など、発行元によって様々です.このような中、日本の学会が発表する臨床ガイドラインがウエブサイトでどのように公開されているかを調査した結果が発表されました.
SATOら(2020)が発表した2017年の調査結果によると、次のことがわかりました.
・臨床系の355学会のうち、108学会が臨床ガイドラインを開発している
・Mindsガイドラインライブラリに掲載されているのは61学会、非掲載は47学会
・PDFで閲覧できるのは全体の約75%
リサーチエビデンスへのアクセスの問題は、EBPの阻害要因の1つとされています.臨床ガイドラインを探したいときには、日本ではMindsガイドラインライブラリが代表的ですが、この調査結果から、Mindsに登録されていない臨床ガイドラインが一定数あるものの、多くの臨床ガイドラインは全文PDFで閲覧できるようになっていることが明らかになったといえます.
一方で、Mindsに登録されていない臨床ガイドラインについては、学会名がわかるときは学会のウエブサイトにアクセスすることで、ますまは探すことができそうです.
もし発行元の学会名がわからないとき、臨床ガイドラインがあるかどうかも不明である場合は、一般の検索エンジンで「〇〇(←調べたいこと) 学会 ガイドライン」のような検索も試してみるとよいでしょう.
今回の調査結果は、臨床ガイドラインの普及を考えるうえで重要な基礎資料であり、今後の経時的な変化、動向にも注目です.
References.
・Sato Y, et al. How Clinical Practice Guidelines are Published on the Websites of Academic Societies of Clinical Medicine in Japan : A Review of the Present State. 医療情報学. 2020;40(5):239-246. https://www.jami.jp/document/magIndex.php
・公益財団法人日本医療機能評価機構. 厚生労働省委託事業 Mindsガイドラインライブラリ. https://minds.jcqhc.or.jp/
※Mindsに登録される臨床ガイドラインの新着情報は、Mindsに登録(無料)>メール配信の登録で、入手することもできます.