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心臓が悪くなってしまったペットのためにできること

2020.10.27 09:00

心臓病は動物で比較的よく見られる病気です。特に、高齢の小型犬のほとんどが「僧帽弁閉鎖不全症」という心臓病になっているともいわれています。もし、歳をとったペットに心臓病が見つかってしまったら、飼い主さんはどのようなことに気をつけて、ケアをしてあげればよいのでしょうか。


完治しない心臓病

人間は心臓の弁膜が正常に働かなくなる病気になると、心臓自体にメスを入れたり、人工の弁と取り替える手術などが行われます。これらはとても大変な手術のため、体の小さなペットにはとても負担が大きく、人間と同じような治療法は確立されていません。また心臓という臓器は、歳をとってから異常が起きてしまうと完治する可能性は限りなく低いといわれています。

では、ペットに心臓病が見つかったら、何もせずにただ病状が悪化していくのを見守るしかできないのでしょうか?

病気を早期に発見することができれば、心臓に負担をかけないような生活を心がけることで、病状の進行を遅くすることは可能です。

今回は、心臓に負担をかけない生活を送るために注意する点をお話します。


生活面での注意点

食事管理

心臓の管理には、“ナトリウム”が重要なキーワードです。

ナトリウムとは食事の中に含まれているミネラルの1つです。分かりやすくいえば塩のことで、ほとんどのペットフードの中に含まれています。体内のナトリウム(塩分)の濃度が上がると、それを薄めようと余分な水分も一緒に蓄えようとします。水分が溜まることにより体液(血液)も増加し、その結果、心臓は余計に多くの血液を循環させようと負担が増えてしまいます。弱った心臓にこれ以上負担をかけないように、ナトリウムの量には気をつける必要があります。低ナトリウムの心臓病用処方食もあるため、普段与えている食事に関して不安があるという方は、獣医師に相談してみましょう。

また、肥満も心臓に負担をかけてしまいます。肥満を改善するためにも、食事の量やカロリーにも注意が必要です。


運動

ペットは人と違って自らジョギングをしようとは思いません。心臓疾患によって呼吸が苦しいと、じっとしたままでお散歩に行きたがらないでしょう。しかし、安静にしていればそれほど症状が現れず、お散歩に行かないとトイレをしないという癖がついている子の場合、多少苦しくてもお散歩に行きたがるかもしれません。お散歩に行く場合は犬のペースでゆっくりと歩かせましょう。階段や坂などはなるべく避けるようにし、ほかの犬が多いお散歩コースや、大きな音がする場所など、前もって興奮することがわかっている場所はできるだけ避けましょう。トイレのためのお散歩であれば、いつも排泄をする場所まで飼い主さんが抱っこをしていくのもよいかもしれません。

心臓の働き以上に体を動かしてしまうと、チアノーゼという舌の粘膜が紫色に変色する症状が見られるため、そのような場合は直ちに安静にさせて獣医師に相談しましょう。


温度管理

心臓病のペットがいる環境でもっとも注意しなければいけないのは、温度管理です。

冬の寒さが心臓に負担をかけることはよく知られていますが、ペットの場合は夏も注意が必要です。特に犬は全身が毛に覆われているため暑さに弱く、体から汗をかくことができないため、暑くなると激しく呼吸をして口から熱を逃がそうとしますが、これにより心臓に大きな負担をかけてしまいます。だからといって冷房を効かせすぎてしまうと、外との温度差で血圧が上がってしまうこともあります。夏は風や日陰を利用して、自然の状態に近いひんやりとした空間を作る工夫をしてあげましょう。

また、温度管理でもう1つ気をつけなければならないのは、シャンプーをする時です。シャンプーはペットにとってストレスをかけて体力を消耗するだけではなく、シャンプーの後のドライヤーがさらに心臓に大きな負担をかけてしまいます。


精神面での注意点

心臓にもっとも負担をかけるのは興奮とストレスです。チャイムが鳴るたびに興奮して吠えてしまう場合は、チャイムを切ってノックをしてもらったり、家族以外の人が苦手であれば来客を控えてもらったり、ほかのペットと喧嘩ばかりするようなら部屋を分けたり、ペットの精神が平穏でいられる環境を整えるように、家族全員で協力しましょう。また、ペットは家族の精神面にも非常に敏感なため、やさしい気持ちでペットと接してあげることがとても大切です。


心臓病、特に高齢で発症する弁膜症はできるだけ早く発見し、その状態を悪化させないように生活することがもっとも重要です。早期発見のために定期的に健康診断を受けて、もしも心臓病になってしまった場合は家族全員で病気と付き合っていくということを忘れないでください。

完治しないからといって諦めるのではなく、ゆっくり、のんびりとした生活を長く送れるように、飼い主さんがサポートしてあげましょう。