「本業」のこと。
演技できる20代男性って、世の中にたくさんいるし
楽器が弾ける人も歌が歌える人も曲作れる人も、たくさんいるから
僕がやってきたこととか、やってることの、ほとんどが僕じゃなくてもできることだと思う
自分にしかできないことってなんだろうってことを考えてきたけれど
それよりも、
自分じゃなくてもできることが、
自分にもきちんとできるってことのほうが大事なのではないかと、
思い始めたこの頃。
自分じゃなくてもできることを、自分にやらせてもらえるって有難いことだし
だからこそ、やらせて頂けてるということに対して、感謝の気持ちだし
そういう部分においては、素直でいたいなと思うわけでございます。
この間、田中みな実さんのNHKのプロフェッショナルを観ながら、そんなことを思いました。笑
と、いうのも、
ドラマ「M〜愛すべきひとがいて〜」を撮影しているところも、放送されていたのですが
田中みな実さんの怪演が、現場でも好評だったことに対して
「あれは誰がやっても、ああなるんです。そういう台本になってるんですから。別に私じゃなくても」
と、いうようなことを仰っていたことがとても印象的だったのです。
もしも
僕だったら
自分の演技が現場で好評だったら
「もうありがたいです。ほんとにとてもうれしいです。」ってなっちゃう。笑
もうひとつ、
その番組の中で「私は何のプロフェッショナルでもない。すべてが中途半端。」とご本人が語られていたのですが
僕の場合は
「結局何が本業なの?」
「そんなんじゃ何者にもなれないよ?」
「ぜんぶが中途半端」
みたいなことを、人から耳にイカができるくらい言われてきました。
僕も、
自分が何がメインなのか、自分は何においてプロフェッショナルなのか、
決めなければいけないような気持ちにも何度もなりました。
でも、
「このイベントで歌ってほしいです」
「今度のわたしのライブでピアノ伴奏してもらえませんか」
「こっちではギターを弾いてほしいです」
「このドラマのこのシーンのこの役をお願いしたいです」
「ダンスを踊るシーンの撮影なので、踊ってもらいたいです」
「歌や楽器を教えてもらえませんか」
「広告のモデルをお願いしたいです」
「こういう感じのインストの曲を作ってほしいです」
など、本当に様々な種類の"お願い事"を頂くたびに
自分はこれが本業だから。と決めることが、失礼になってしまうような気がしてしまうし
ましてや、
自分のポリシーに反するから、とか、
やりたいことではないから、とか、
メインではないから、とかいう理由でお断りするようなことは
僕の理想としているプロの姿ではないし
もしかしたら、
客観的に見たら、何がやりたいのかよくわからない一貫性のない人間に見えるかもしれないけれど
それでもいいから、
少なくとも、その瞬間その瞬間、プロフェッショナルで在りたい、と思っています。
もし僕が本業を変に決めてしまうと
自分はミュージシャンだから、演技はサブでやっているだけなので、できなくても仕方がない
とか
役者としての活動があるから、音楽でうまくいかなくても別にいいや
とか
自分は教えるプロではないから、結果が出なくても仕方がない
っていうような逃げがどっかで出てきてしまうような気がしてきてしまうのです
そうではなくて
すべてにおいて、そういう種類の"逃げ"をしないマインドでいることのほうが、自分が憧れる人間像に近いし
実際お金は必要だし、
生きていくためにも、活きていくためにも
いろんなことをやらなくてはいけないから
そうでなきゃいけないと思っているわけでございます。
っていうか、
っていうか、だけど
僕は専門学校時代に
「とにかく幅は広げていったほうがいい
そしたら、業界の人は君はここが向いているねとチョイスしてくれる」
と何度も言われてきたのだけど
結局、業界のひとも人によって言うこともバラバラだし
広げた幅を狭めてくれるひとは、未だに現れていないし
もし既に現れているのだとするならば
色々な面で色々な方々が見出してくださることに対して、一生懸命やることしか、答えはないのだと思うわけでございます。
もしかしたら、
このまま、何のプロにもなりきれず、何にもなれず、全部が中途半端な人間になってしまうかもしれないけれど
そのときはそのときなのです。
もうそれくらいの覚悟はできているし
大事なことは
色んなことをやりながらでも、幸せに生きていることだとおもうし
いま、懸命に生きて、いろんなことを極めていけば、そんな中途半端には、ならないんじゃないかなあと信じているし
仕事となれば、
やっぱり自分のやりたいことかどうか、は関係なくなってくるものだと思います。
でも、それでいいんだと思ってます。
本当にやりたいことは趣味でやればいいんだし。
今は
お願いされたことの中で、自分にできることは全部やるし
今自分がやっていることに関しては、本業も副業もないのです。