細胞工学 -細胞をみるー
2020.10.30 11:21
教授 滝沢 達也
脂肪由来幹細胞の神経様細胞への分化に関する制御機構を研究しています。幹細胞とは、複数種類の細胞に分化しうる多分化能を維持しながら、自己と同じ細胞を産生する自己複製能を有するという性質を併せ持つ細胞です。私たちは、 成体の脂肪組織に含まれる間葉系幹細胞(ADSC)に着目して、神経様細胞への分化機構を研究しています。細胞は、主にラット、イヌ、ウマ由来のものを用いています。
クリーンベンチで、細胞培養の準備作業をしている学生
ラットの腎臓周囲の脂肪組織から分離培養したADSC(上段A-IとA-II)
神経細胞への分化を誘導する化学物質(dbcAMPとIBMX)および、ヒストンの脱アセチル化阻害剤(VPA)を培養液に添加した細胞(下段B-IとB-II)。細胞が神経細胞に類似した形体に変化していることが見て取れます。青色は核を示し、Iの赤色蛍光は、未分化な状態の神経幹細胞などで高い発現を示すNSEに対する抗体,IIの緑色蛍光は、成熟した神経細胞で高発現すβⅢtubulinに対する抗体による染色を表しています。写真の中の白い線は、100μmの大きさを表します。