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ZIPANG-5 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その23)木曽義仲と姥神「乳なくば我を信ぜよ人の母 我は此地にくち果つるとも」・・・【寄稿文】廣谷知行

2020.10.31 14:05

姥尊像


燕温泉から妙高山を望む


新潟県の妙高山

新潟県妙高市に日本百名山のひとつ、妙高山があります。標高2,454mで妙高戸隠連山国立公園の最高峰となり、越後富士とも呼ばれます。約1,300年前、和銅年間に開山したとされます。


この山の麓には有名な赤倉温泉など多数の温泉街があり、それぞれ違った泉質を楽しむことができます。


関温泉街


燕温泉街


特に登山道入り口にある燕温泉、その手前の関温泉はそれこそ秘湯といった趣であり、燕温泉は白、関温泉は赤い泉質となっており、この二つの温泉だけでも異なった温泉を楽しむことができます。


燕温泉河原の湯

燕温泉には無料で入浴できる露天風呂の黄金の湯と河原の湯があり、どちらも山道をしばらく歩いた先にあり、黄金の湯は見晴らしが良く、山々を見ながら、河原の湯は大自然に囲まれ、川や小さな滝の景色やせせらぎを楽しみながらそれぞれ入浴することができます。


関温泉にある姥堂

その関温泉を抜けたところ、燕温泉に向かう手前に姥堂があり、姥尊像が祀られています。
この堂にある姥尊像は、木曽義仲の姥の像とされています。


木曽義仲は源義仲のことであり、源頼朝、義経兄弟の従兄弟です。平家物語にも登場し、北陸に勢力を広め平家と戦いました。以前妙高山頂にあったとされる金の仏像は、この義仲が祀ったものだと言われています。


姥堂内にある由来書き


伝説によると、寿永年間(1182~1184年)に平家討伐のため京都に向かう途中、祈願のため姥を伴って妙高山に登ることとしましたが、女人禁制のため途中までしか姥を連れていけず、泣く泣く関温泉に残して登ったところ、姥はそこで命を落としてしまったとのこと。


この姥、乳母だったのかそれとも実の母親だったのかどうかはわかりませんが、他界するときに、「乳なくば我を信ぜよ人の母 我は此地にくち果つるとも」との言葉を残しています。この言葉からか母乳に霊験があったようです。


その場所が姥堂のある場所であり、その姥の像を姥堂に祀っています。メインは姥の像であり、中心に置かれていますが、隣奥には義仲の像も祀られています。


姥堂内部


姥尊像は姥神?

姥尊像の像容をみると、目を見開き、口を空け、立ち膝で胸をはだけて乳房をあらわにしており、これまで紹介してきた一般の姥神像と同じような姿をしています。


義仲の母親は平家物語には登場せず、一説には遊女とも言われ、名前も一つに定まらないなど、母に伝わる伝承を残している寺はあるものの、それほど有名ではありません。


母だとしても、また、乳母だとしても、主役の義仲に乳をやっている頃ならともかく、義仲も大人になってからの老後の女性を祀っていますので、胸をはだけているのも疑問が残ります。


姥堂という堂の名前から想像すると、もともと姥神として祀られていた姥堂を木曽義仲と結びつけた、若しくは、母親の像として祀ったとしても、姥神像または奪衣婆像を使ったと考える方が自然ではないかと思われます。



続く・・・



寄稿文
廣谷知行(ひろたに ともゆき)
姥神信仰研究家



※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。

発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)



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