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chippi&tetu

「築地市場」

2016.08.13 02:01



「河岸ン中じゃもっとひどくて、『今日はネズが安いなぁ』なんて『ッポ』を略しちゃう。本体を見てみると、浦安にいるネズミのお化けの何とかマウスよりは、よっぽどかわいいよ。だから俺はこいつの姿のかわいさとうまさに敬意を込めて、メゴチって呼んでやってる。」

「鮮度がよけりゃ、刺身でもいけるんだけど、天ぷらにすると独特のクセがいい風味に変わり、衣といっしょにフワッと口の中に広がる。」

「あまり一般的ではないけど、サクサクと軽〜い中にも、しっかりとしたコクと風味があるんだ。一度食っときゃなきゃダメだよ。」

(「日本一うまい魚の食べ方」(中経出版)築地魚河岸鈴与三代目 生田與克著)




人は他の生き物たちを殺し食らって生きる、

そうして生きながらも、やがてやってくるみずからの死に怯える、

みずからの死に怯えながら人は他の生き物たちを殺して食する。


この「ありのまま」を人は受け入れることができない。


人はこの「ありのまま」からできるだけ遠ざかろうと計る、

せめてみずから他の生き物を殺さなくて済むよう、他の人にこれを委ねようと計る、

人が食する、死した他の生き物には人に殺された痕跡を残さないよう計る。


人は「ありのまま」から眼を背けて「浦安にいるネズミのお化けの何とかマウス」をひたすら愛玩する。





「市場」は、殺された他の生き物たちと、「ありのまま」を受け入れられない人々の共同の祭祀を空間している。



江戸前の、粋で鯔背な「築地魚河岸市場」三代目がこの共同祭祀を司る。


「あまり一般的ではないけど、サクサクと軽〜い中にも、しっかりとしたコクと風味があるんだ。一度食っときゃなきゃダメだよ。」




時節は立秋の次候、

メゴチ(ネズミゴチ)の旬か、




「一度食っときゃなきゃ!」