GDP:#3 コンピュータ化システムに対する要件②
こんにちは、パースペクティブの田中です。
今回も前回に引き続き、GDPガイドラインにおいてコンピュータ化システムに対してどのようなことが求められているのかをみていきます。前回の記事では、GDPに限定せず製薬業界共通で通用するCSVの基本的な考え方を確認できたかなと思っています。今回ご紹介する要求事項もGDP特有の要件ではなく、規制領域で使用するコンピュータ化システムに対して共通で求められる要件となりますので、CSVの理解を深めるためにこのブログをご覧いただいている方にもぜひ参考にしてもらえると幸いです。
さて、今回の本題となります厚生労働省「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」の3.5.2章では、下記の要件が述べられています。
3.5.2 文書による詳細なシステムの記述(必要に応じて図を含む)を利用可能とすること。記述内容は最新の状態を維持すること。 文書には、原則、目的、セキュリティ対策、システムの範囲及び主な特徴、コンピュータ化システムの使用法、並びに他のシステムとの相互関係を記述すること。
この章では、システムの概要を説明する文書を用意し、それを最新の状態で更新し続けることが求められています。GAMP5では「システム記述書」と呼ばれているものですね。システム記述書では、そのシステムがどのような構成でどのようなことを実現しているのかをまとめることが求められています。システム記述書を作成しておくと、当局による査察や委託者による監査等において調査担当者に対してシステムの概要を説明する際にも活用できるようになります。
最近ではデータインテグリティ(詳しくはこちらの記事でご紹介しています)が注目されているため、システムの機能や構成という観点のみならずデータの観点から、例えば、どのようなデータを生成し、どのように処理(転送、保存、バックアップ等)するのかもここで整理しておくと良いでしょう。
システム記述書をどのように作成すればよいかイメージできていない方は、後任者に業務を引き継ぐ際に用意する資料をイメージして内容や記載レベルを考えてみてはいかがでしょうか。なお、単純なシステムであれば、わざわざシステム記述書を作成しなくても、CSVの一環で作成する各種仕様書(ユーザ要求仕様書、機能仕様書、設計仕様書等)やSOP(Standard Operating Procedure*)で代用できる場合もあります。
*:一般的には標準操作手順書、標準作業手順書、標準業務手順書等と呼ばれています。
前回に引き続きCSVにおける重要なポイントのご紹介であるため、説明が盛り上がってしまいなかなか先へと進めておりませんが、今回はここまでとさせていただきたいと思います。
次回のGDPシリーズもよろしくお願いいたします。
CSVにお困りの際は、ぜひお気軽にパースペクティブまでお気軽にご相談ください。ご連絡お待ちしております。