#BusinessJournal - 中高年こそ #TikTok すべき
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2020.10.30 05:50
石徹白未亜「ネット依存社会の実態」【アプリ四季報 2020年7~9月】
なぜTikTokには「検索窓」がないのか?
中高年こそTikTokで動画配信デビューすべき理由
構成=石徹白未亜/ライター
ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。
テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。
本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。
同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に2020年第3四半期(7~9月)のアプリ利用動向をうかがう。
ユーザー層が広がっているTikTok
――7~9月の動向としては、TikTokをめぐる米中の攻防がありましたね。米国事業を売却する際にアルゴリズムをどうするか、などでもめていたようですが……。
なお、2018年にTikTokユーザーの性年代比についてうかがっていて、このときは「10代のサービス」という傾向が見て取れました。
日影耕造氏(以下、日影) 当時からは、ずいぶん状況が変わっています。
「10代のための」感が薄れましたよね。
今はさまざまな性年代の方が、料理のダイジェスト、趣味やビジネス系、短いVlogなどを投稿していますね。
私もTikTokで動画を投稿していますが、スマホひとつでできるし、動画の長さは最長でも1分ですから、YouTubeよりも気楽に気軽にできるんですよね。
――YouTuberのように、TikTokで収益化はできるのですか?
日影 海外では“投げ銭”ができるケースもあるようですが、日本ではまだですね。そのうち導入されるのではないかと思いますが。
現状では、収益化を目指す人はTikTokでダイジェスト版を流し、続きはYouTubeなど他の収益化できるサービスにもっていくケースが多いようです。
――「SHOWROOM」など、ユーザーが演者に投げ銭ができる動画アプリもいくつもある中で、投げ銭なし、収益化なしのTikTokがここまで伸びたというのはすごいですね。
若い世代が起爆剤になったサービスの勢いを感じます。
日影 なお、トランプ大統領まで出てきて米中間でもめたTikTokですが、米国ではユーザー数はほぼ横ばいで推移する一方、他の短尺の動画アプリが伸びました。
TikTokユーザーの「今後どうなるからわからないから、他も抑えておこう」という動きが読み取れます。
なお、日本では特にこのような動きは見られませんでした。
9月にオラクルの提携が決まり、事業の方向性が見えてからは、米国でも再びユーザーが増加傾向にあります。
検索窓がないTikTok独自のアルゴリズム
日影 TikTokとYouTubeはアルゴリズムが異なっていて、TikTokはトップ画面に動画を検索する「検索窓」がないんですよ。
トップ画面には、閲覧履歴に基づくおすすめや、TikTokからのおすすめ動画が出てきます。
――YouTubeや、そもそもそれ以前のネット文化の大前提的でもある「検索窓」がトップにないって、けっこう大胆な設計ですね。
日影 YouTubeでも検索履歴などに基づくおすすめ動画は出てきますが、それまでのネットサービスと同様に、ユーザーの「検索」を起点にした能動的な視聴スタイルです。
一方、TikTokは反対に受動的な視聴スタイルともいえるかもしれません。
見たい動画を見にいくというより、「何かおもしろい動画があるかもな」と思って見る感覚です。
TikTokのアルゴリズムでは、ユーザーの嗜好性やリアルタイムの社会情勢なども含めて、タイムラインがつくられていくようですね。
動画の視聴体験としては、YouTubeとは全然違うと思いました。
スワイプしているうちに自分の見たい動画ばかりになってきて、その中にニュースなど自分の関心の幅が広がりそうなものがあるという感じです。
――依存性という観点で見ると、なかなか怖くもありますね。米中間では、アルゴリズムを渡すか渡さないかでもめたようですが。
日影 このアルゴリズムが、TikTokの一番の財産だと思いますね。
YouTubeとまったく違う独自のものだからこそ、あれだけもめたのかもしれません。
中高年こそTikTokで動画デビューすべき?
日影 一方、動画配信者にとっては、TikTokはYouTubeよりも視聴者の「おすすめ」に自分の動画が出てきやすい傾向があると思います。
自分自身の動画の解析を見ると、8割以上の方がおすすめから入ってきていました。
そのため、今から動画配信を始めたい人は、YouTuberを目指すよりもTikTokの方がやりやすいと思いますよ。
短尺でつくりやすいですし、「いいね」をされたり、バズったりする機会には恵まれています。
ツイッターなどのSNSも含めて、どのプラットフォームを使うかというのは、あくまで手段です。音楽を聴いてもらいたい、ビジネスを知ってほしい、といった自分の目的を叶える場所として、最適なものを選べばいいのです。
それぞれに適したコンテンツの内容やボリュームがありますから、うまいユーザーは的確に使い分けていますよね。
――それこそ「インスタ映え」という言葉の通り、それぞれのプラットフォームで「映え」がちな傾向は少し異なったりもしますもんね。
日影 ひとつのプラットフォームでは収まらない、マルチプラットフォームの流れは感じますね。
本当にあらゆる方位で全体最適を図っている途中に思えます。
――これは、発信したい側にとってはなかなか大変な状況ですね。
日影 最初から全部に手を出して中途半端になってはもったいないので、ひとつのプラットフォームで成功してから他のプラットフォームに広げていくというのが、一種の勝ちパターンかなとは思いますね。
その点で、TikTokはYouTubeに比べて短尺動画ですから、ハードルが低いのが魅力といえます。
――YouTubeに乗り遅れてしまったという人には、チャンスなのかもしれないですね。
日影 App Apeのデータを見ると「若者のサービス」とも言い切れなくなってきたTikTokですが、依然として10代の利用は多いです。
逆にいえば、TikTokは10代の発信者にとっては同世代の動画があふれているレッドオーシャンですが、上の世代の人にとっては、YouTubeよりも可能性が秘められたブルーオーシャンなのかもしれませんね。
(構成=石徹白未亜/ライター)