「リエンゲージメント広告」の効果を最大限に高めるための3つのポイント
CyberZ(サイバーゼット)の侯明昊(コウ・ミンハオ)です。
前回「休眠ユーザー呼び戻しとアクティブユーザー離脱防止に『リエンゲージメント広告』のススメ」では、アプリをインストールし、起動したことのあるユーザーに何らかのアクションがある度に広告を配信する「リエンゲージメント広告」の基礎概念と、その効用についてお話ししました。今回は実践編として、リエンゲージメント広告を配信する上で事前に押さえておきたいポイントについて説明します。
押さえておきたい3つのポイント
リエンゲージメント広告を配信する上で事前に押さえておきたいポイントは3点あります。
1. アプリ内において個別の成果地点を計測できる環境を整えておく
1つ目は、あらかじめアプリ内において個別の成果地点を計測できる環境を整えておくことです。
成果地点とはアプリ内におけるユーザーアクションのことで、例えばECアプリであれば商品ページの閲覧や購入、ゲームアプリであればチュートリアル突破や課金などが挙げられます。
環境を整えるとは、計測が問題なくできることと、計測地点の設定が適切な箇所にあることです。
気を付けておきたいのは、アプリのローンチ時から計測SDKを導入しておらず、現在までのデータ蓄積がない場合です。また、計測SDKを導入していても計測地点がバラバラだったり計測地点の粒度が粗く、細かなターゲティングができない状況もあります。
リエンゲージメント広告では、自社アプリの行動履歴データ量が多いほど精度が高い配信が可能となりますが、成果地点の計測ができていないと呼び戻したいセグメントのユーザー定義ができません。自社で運用するDMP(データマネジメントプラットフォーム)へ成果地点ごとにユーザーのCookie情報を、あるいはAppleのiOSであればIDFA(※1)情報を保持しておくか、アプリに計測SDKを搭載し、成果地点の計測が取れる状態にしておくことが必要です。
※1: IDFA (Identifier For Advertising) AppleがiOSにて提供している広告識別子
例えばF.O.Xであれば、アクセス解析機能を用いた細かい成果地点の計測が可能になります。新規獲得広告と切り分けてリエンゲージメント広告単体での、継続率や回収率といったアプリインストールから先の指標を切り分けて計測することが可能です。これにより、広告主様のKPIに合わせてリエンゲージメント広告の成果を正しく評価することができます。
2. 効果を最大限発揮できる対象ユーザーを最初に押さえておく
2つ目は、リエンゲージメント広告の効果が最大限発揮できる対象ユーザーを最初に押さえておくことです。「リエンゲージメント」という言葉には、長い期間アプリを使用しなくなってしまった休眠ユーザーを呼び戻すイメージが強く、もちろんそれも目的の1つではあるのですが、現実的にはアプリから離れている期間が長いほどユーザーの興味関心は薄れていることが多く、呼び戻しができたとしてもその行動はほぼ新規の流入ユーザーに近いのが一般的です。
一方で、前回述べた通り、アクティブなユーザーの接触頻度を高め、さらにアクションを促進させ他アプリへの流出を防ぐこともリエンゲージメント広告の重要な目的です。そこで、最初の1カ月間は、過去にアプリをインストールしたユーザー全てを対象に広告配信を行い、全体の傾向値を見ながら効果の良いセグメントを見極めて配信の比重を調整し、運用するケースも多いのです。従って、何を目的にどういうセグメントのユーザーに動いてもらいたいのか、設計をすることが非常に重要です。
3. 対象ユーザーのこれまでのアクションを把握しておく
3つ目は、対象ユーザーがこれまでどんなアクションをしていたのか、アプリのどの階層にまで到達していたのかを踏まえることが重要になります。
例えばゲームであればユーザーごとにそのサービスへの興味関心度合いは、以下のように異なります。
- アプリを起動したばかりで離脱してしまったユーザー
- チュートリアルを突破したユーザー
- 課金しているユーザー
1よりは2、2よりは3というように、より深い階層まで到達したことがあるユーザーほど、休眠復帰後も課金や購入などの行動に移りやすい傾向にあります。
EC系のサービスに関してもこの傾向は同様で、商品検索する前の階層で離れてしまったユーザーと、実際に商品購入まで至っているユーザーを比べると、後者の方が休眠復活後に商品を購入しやすくなります。
ただし、ユーザーボリュームは階層が深いほど減ってしまうため、アプリごとにボリュームと効果を鑑みてユーザーのターゲティングを行うことが重要になります。
まとめ
リエンゲージメント広告を配信するうえで事前におさえておきたいポイントをまとめると、以下のようになります。
- 各アクション地点に計測可能な環境を用意しておくこと
- 休眠後どれだけ経過しているユーザーを狙うのかという時間軸を考える
- どこまでアクションしたユーザーを狙うのかというアクション軸を考える
最終回となる次回は、上記のポイントを踏まえた上で、リエンゲージメント広告の配信設計について説明します。
この記事はIT Mediaに掲載した記事を一部流用して掲載しています。
よろしければそちらもご覧いただければと思います。
http://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/1604/28/news057.html
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