Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

青沼愛 フルート&アレクサンダーテクニーク

音楽と、心と体と、

2020.11.03 16:47

音楽で伝えたいことは

音量の変化とか音の繊細さのような技術ではなく、

もっと別のもの。


でもそれを表現するために、技術が伴う必要があります。



アレクサンダーテクニークは一つの道具、

手段であって、学ぶことが目的ではなく、

しなやかさを育てるための教育とも言えるのでは、と最近考えています。


わたしの持つ、「しなやか」というイメージは

いろいろなことに対応できるけど、

芯や軸があるということ。


草のような木のような、そんなイメージ。



習慣や考え方の根強さ


小さな頃、

身近な家族や友人から繰り返し言われてきたこと、

学校の先生のちょっとした言葉や、

楽器の先生から教わった姿勢や呼吸の方法。


また、今までの自分が実際にやってきたことや体験してきたこと。


長年培われてきた考え方や体の習慣(癖)は、

とにかく根強いです。

悪い意味ではなく、

それが今の自分なのだから、

それはそれでよし。



でも歳を重ねるにつれて、

いろんな人やモノ、本、考え方、思想、メソッドなどに出会って、


いいなぁと思ったことを自分に取り入れたくても、

それがなかなか難しい。



どんなに情報が入ってきても

頭の中で「自分」というフィルターを通して情報を整理するからかなと思います。



また、「自分の体」も、

産まれたときは癖がないかもしれないけど、

大人になるにつれて、

外からの影響や、

自分自身の内側から来る使い方の習慣で、

誰にでも良くも悪くも癖がついています。



例えば、喋り方や歩き方、後ろ姿、佇まいからでも、

顔を見なくても誰か分かることって多い気がします。





演奏も同じ。

人それぞれの奏法や音色がすでにあります。



もっと思い通りに表現したいとか、

緊張しても自分のやりたいように演奏したいとか…

そのために何か奏法を変えてみようと思っても、変えるのって結構大変。



それは、そもそも自己流の体の使い方をしているので、

体本来のデザインやバランスが上手く働く方法と少しずれがあるかもしれません。


新しい奏法や考え方を取り入れられる、

しなやかさやスペースが体に十分にないから、かもしれません。



矛盾に気付くこと


中学生の頃に部活でフルートを始めた私は、

先輩から教わった良さそうな練習を信じ、

がんばれば何とかなるという気持ちで

ただひたすら練習をしてきました。


余計な力が入った状態のまま、

柔らかく響きのある音を出すために努力する

という、矛盾した練習を繰り返していた気がします。



それが無駄だったとは思っていないけど、 

音大に進んでも音色や音量の変化をつけるのが苦手だったり、

周りの人や環境、その場の雰囲気に左右されたりと悩んできました。




それに真っ正面から向き合ったのは、音大を出てから。

(科目等履修というレッスンだけのコースに通っていた時です)



中音のソの音だけで1時間が終わるレッスンに、

ある期間、このまま私はどうなるのだろうと、

かなり不安になりました。


音色や奏法を根本的に改善するためで、

そのレッスンがなかったら今の私はない、

と今なら思えるけど、辛かった…(笑)



がむしゃらに力づくでやってきた奏法を「やめる」ことは、

相当な時間がかかりました。


でも、やめないと新しい奏法は取り入れられないし、

中途半端になってしまう。



(根気強く付き合ってくださった先生には感謝しかありません!)



この時にアレクサンダーテクニークをすでに学んでいたら、

もうちょっと回り道せずに先生の仰っていることを理解できたかも、と今となっては思います。


頭では分かるけど、体がついていかない(アンブシュアや指の力が抜けない)と、

長い期間、悩みました。



体がシンプルに使えていて、思考もクリアなら

自分にとって良い奏法と思ったものが

試しやすく、取り入れやすくなります。






表面的な呼吸や指の練習じゃなくて、

自分の感情や思考、体がどう動いているか、

じっくり考えてみるのはおもしろいし、役立つはず、

というのが私がアレクサンダーテクニークを学び始めたきっかけです。




音楽と、心と体が統合したような瞬間に、


演奏しているとき特有の良い感覚を味わえるのかなと今は思っています。





長くなりましたが、

恐れ多いことに、銀座山野楽器さんで

11月28日(土)にアレクサンダーテクニークの講座をさせて頂くことになりました。



フルートで失敗や消えてしまいたいくらいの経験をしてきた(!)私だからこそ、

何かできることをお伝えし、

一緒に探究できたらと思っています。


フルートのレベルは問いません。


その場で何かが劇的に変わることは少ないかもしれないけど、

今後の演奏に少しでも生かせるような内容にできるよう努めたいと思います。



ご興味ある方、お会いできるのを楽しみにしております。




詳しくは下記をご覧ください。




青沼愛