三貴子の存在とは?
当ブログのメインラインアップは、カテゴリー「古事記の物語」ですが、いよいよ三貴子(みはしらのうずのみこ)が登場いたしました。
基本的には、メインを読んで頂くのが、もっとも記紀を理解して頂くのに適切かと思いますが、一方で、記紀には表現されていない部分や関連箇所などを他のカテゴリーで補佐させて頂いております。
この三貴子の誕生、そしてその存在は、記紀のみならず、古代史、皇室の歴史、あるいは現在の日本国の成り立ちにまでも多大なる影響を与えています。そんな訳なので、この三貴子に関しては、今後も色々なところで、色々な形で触れると思いますので、その導入部分としてしっかりとこの三神に関して基本的なことを書いておきたいと思います。
まず三貴子とは
①天照大御神
②月読尊
③建速須佐之男命
の三神(三柱)です。
一般的に、アマテラスさまは「太陽神」。
ツクヨミさまは「夜の神」、そしてスサノオさまは「海原の神」
と言われていますが、これは、最初にイザナキさまから与えられた役割です。
アマテラスさまは、ごぞんじの通り、太陽神としてイザナキさまに変わって、この世界を統治なされます。この世のすべての源である太陽の神、そして天孫降臨の後は「皇祖神」として、言わば、日本における最高神であります。女神さまです。
ツクヨミさまは、太陽の照っていない間、所謂、夜の国の支配ということですが、実は、その後、記紀には全く出てこられません。それどころか、実は、男神なのか女神なのかもはっきりしません。このことは何れ、「神話の神様」のところで、詳しく書きます。
更に、スサノオさまほど、不思議で、個人的にもアマテラスさまに継いで興味深く面白い(神さまに面白いなんて申し上げ罰あたりですが、なんと人間的な!という意味です)神さまはいらっしゃいません。スサノオさまの今後の古事記における立ち位置を分析することで、より、日本の古代史、それだけでなく、記紀がなぜこのタイミングで編纂されたかの謎を紐説く大きなヒントになっていると考えます。
そこで、今回は、この三神が果たす「世界における日本古代史」の意味を考えたいと思います。
世界にもたくさんの神話がありますが、とても似ているのがギリシア神話です。なぜなら、神々の誕生と役割が中心に書かれているからです(但し、古事記においては上巻についてのみ)。
そこに登場するのが、太陽神アポロンと月の神アルテミスです。ギリシャ神話では、オリンポス十二神と言って、主神ゼウスの系統が神々ランクの筆頭に君臨しておりました。アポロンとアルテミスはゼウスの子として男女の双子でした。(ゼウスの話をしだすとこれまた大変面白いのですが、このブログは趣旨が違うので残念ですが、ここまでにします... 笑) このふたりが、太陽と月の神となっていますが、ここは、アマテラスさまとツクヨミさまに、双子ではありませんが似ています。
しかし、アポロン同様、アルテミスも月の女神だけでなく、それ以外の活躍や多くの神話を生んでおりますが、ツクヨミさまには、そういう話はありません。寧ろ、そういう神々の話は、アマテラスさまとスサノオさまとの関係の方が、これから出てまいりますがたくさんあります。これには色々「わけがある」のです。
ひとつはアマテラスさまは「皇祖神」となります。
太陽神が皇祖神となることで、「日出る国」を主張し、その象徴となっています。つまり、その兄弟は「夜」として、日なたには出てこないことを示唆していると考えます。まさに「明と暗」、「陽と陰」なのです。
さらにスサノオさまは、アマテラスさまが「高天原」の支配をされる一方で、「葦原国」に於いて活躍され、のちに「国つ神」の筆頭になられます。この意味は、中央支配と地方支配との明確な線引きでもあります。絶対的な中央支配が必要だったために、スサノオさまのキャラクター設定がなされるのです。そしてこの流れは、オオクニヌシさま、そして「国譲り」に繋がっていきます。
同じ様にイザナキさまの禊で誕生された三貴子ですが、日本国の国づくりのために三者三様の道を歩まれるのです。それが、たかが神話ではない、「古事記」の面白さになっていると考えられます。
そう、なんと面白いのでしょうか??