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【88番】掛詞・縁語を駆使して遊女の心情を詠んだ!!皇嘉門院別当!! 

2020.11.06 23:59

ジャンル:恋
時代:鎌倉時代 
超要約:旅行先の恋

歌の意味(子ども向け):たった一夜を、私は一生思い続けるのでしょうか。
歌の意味:難波の入り江の芦を刈った根っこ(刈り根)の一節(ひとよ)ではないが、たった一夜(ひとよ)だけの仮寝(かりね)のために、澪標(みおつくし)のように身を尽くして生涯をかけて恋いこがれ続けなくてはならないのでしょうか。
☟この首に関するクイズ

Q この歌は、作者が長年思い続けた恋心を歌ったものである。〇か✖か?

A ✖
 旅先での出会いを歌った恋の歌である。

👇語呂合わせ(覚え方)


 この歌は、ある歌合で、「旅宿逢恋(りょじゅくあうこい)」という題詠で、遊女と思われる女性の立場で詠まれた歌です。一夜限りのかりそめのちぎりが、一生を費やすほどの恋となったことを、もの悲しくあわれに表現しています。「かりね」が「刈り根(刈り取った根)」と「仮寝(旅先での仮の宿)」、「ひとよ」が「一節(ひとよ)(節と節の間)」と「一夜(ひとよ)」を、「みをつくし」が「澪標(みおつくし)(船の航路の目印となる杭)」と「身をつくし(生涯を尽くすこと)」の掛詞になっています。また、「アシ」「刈り根」「一節」「澪標」は、全部「難波江(なにわえ)」と意味の関係のある縁語(※)です。以上のことからわかるように、技巧の点でも優れた一首です。

 「難波江」は、摂津国難波(現在の大阪府大阪市)の入り江で、芦が群生する低湿地のことです。

※歌に、イメージの広がりを持たせるために用いる、意味の上での関連の深い言葉。

 作者の皇嘉門院別当は、源俊隆(みなもとのとしたか)の娘です。崇徳天皇(すとくてんのう)(77番)の皇后・皇嘉門院(こうかもんいん)に仕え、「別当(べっとう)」という役職についていたことから、こう呼ばれていました。「別当」とは、正式な官職とは別に職を担当することです。生没年は不詳ですが、1181年に出家して尼になったことが記録に残されています。