バッド・ブラッド―ツール・ド・フランスの秘められた生活

によって ジェレミー ホイットル

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ペーパーバック : 316ページ ページ
作者 : ジェレミー ホイットル
出版社 : 未知谷 (2014/5/1)
コレクション : 本
ISBN-10 : 4896424425
フォーマット : 単行本
発行日 : 2014/5/1
平均的な顧客フィードバック : 3.8 5つ星のうち（3人の読者)
ファイル名 : バッド-ブラッド-ツール-ド-フランスの秘められた生活.pdf (サーバー速度22.88 Mbps)
ファイルサイズ : 29.23 MB

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著者はプロサイクリング誌の代表として行動しているようですが、自分が自転車に乗るせいもあり特定の選手に肩入れしてしまう傾向があります。それが魅力と言えば魅力です。意思疎通が容易な英語圏の選手はメディア対策するのが有利ですね。キメイジ、ウォルシュなどを筆頭に有名な報道関係者が登場し、プロサイクル誕生時から問題になっていたドーピング、チーティングの歴史が2007年ころまで語られます。ドーピングを認めオメルタの掟を破ったシメオーニに対する、周りの非情な扱いは、読むのがいやになります。子供の時からいじめっ子だったランスは、イジメる相手を見つけると情け容赦なく攻撃しますし、ランスに同調した選手も沢山いました。ドーピングの蔓延は、効くとなったら家畜用の薬でさえも使用する選手もいて、もう人体実験場、いつかは弾に当たるロシアンルーレット状態です。選手たちの健康や命はとても軽くあつかわれていますが、貧しい選手、移民出身の選手がどんどん出てくるでしょうから、このような状態はこの先も続くでしょう。答えの無い問題なので、本書を読んでも納得感が得られないのですが、現場で働いている著者の話はいろいろ興味深いです。ドーピングの問題は、(1)なにを禁止するか、(2)どういう風に禁止するか、(3)禁止薬物が検出された時の公平な取り扱いの担保、に絞られます。(2)でマイクロドーピングと言われる微量摂取は、選手を長期間高性能の分析器で調査しないとしっぽを掴むことができません。バイオパスポートシステムが今のところ有効でないのも当たり前です。東京オリンピックの時には、日本の優秀な分析器メーカーが、簡便でサンプル量も少なくて済む微量分析を可能にするドーピング検知器を開発してくれないだろうか、と夢見てしまいます。スカイ疑惑が今も残されている(3)が一番問題で、サイクリング業界は、政治力や資金力が強く、メディアに発信する声が大きい団体の思いどおりに動いているように思います。公的な目的で設立されたはずのUCIは、私企業ASOなどが主催する大会の秩序をコントロールするべきですが、UCI自体も力が無いし、自らを守る私企業として動いているようにしか見えません。ASOは巨大なテレビ放映利権を独占して甘い汁を吸っている一方、自転車プロチームの経営は苦しいママです。Brexitの影響でskyの将来が注目されますが、どの道skyではなくても別のチームがゲームもゲーム外もコントロールする可能性は高く、選手、チーム関係者、ファンがその動きに左右されてフラストレーションをためるのは目に見えています。せっかく自転車文化が盛り上がっているのに、ファン離れを放置するなんてもったいないことです。