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2020年6月14日。今後について話し合うための年目ミーティングが開かれた。自分が言うことはひとつだけ。心に決めていたつもりだった。みんなを前にすると言いづらくなると考えて、変な理由をつけて一人だけオンライン出演にしてもらった。
「おれはここで引退する」
その言葉は最後まで喉から出てこなかった。
昨年は下手ながらメンバーにいれてもらい、出場機会も少なからず与えてもらった。しかし、チームの勝利に貢献することができぬまま迎えた最終節。ベンチでアップをしながらただ時間だけが過ぎていった。終了の笛が鳴ったときもおれはベンチにいた。おれを出さない指揮官への怒り、2部降格という絶望、チームの力になれない無力感、多くの感情を一気に抱いた瞬間だった。
試合後、当時4年目との写真など撮る気には全くなれなかった。来年は必ず
「チームの力になり、貢献する」
と一人強く心に誓っていた。
自分が早期引退を決めたのはたしかリーグ昇格が完全になくなったときだった。大臣杯、知事杯などの全国出場の夢も消えていた。
「おれは試合に出る意味があるだろうか」
そんな気持ちが出始めていた。昇格も全国出場もないのに引退間近の4年目の自分が出場することは、チームに貢献することではないと考えた。若く、経験の浅い者が出た方が良い。当時はそれが自分ができるチームに対する最大の貢献であると思っていた。
言い出せなかったのはたぶん4年目のみんなのせいだ。どんな状況になっても彼らのうち誰かは上を向いていた。下を向いている者も上を向かせる。そんな力があるような気がした。その年目ミーティングのときも、たぶんそうだった。
4年目は試合内外で多くのことを後輩に示した。そして2部優勝をしっかりと成し遂げた。最後はとても残念な結果になってしまったが、「試合に出る意味はない」とは誰にも言わせない圧巻のシーズンだったように思う。そして、自分もそれなりにチームにうまく関わることができた。そう思う。
「あのとき引退しなくてよかった」
今はこんな気持ちだ。こう思わせてくれた4年目のみんなに、心からの敬意と感謝の気持ちを述べたい。ありがとう。
最後に、後輩の皆さん、今まで一緒にサッカーをしてくれてありがとうございました。
来年以降の活躍、心より応援しております。
#14 大平泰広