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星を繋ぐ猫達 第5章 《カルカナル磁場の歪み》

2016.08.19 05:00

暑い日が続きますね。今年始めに仕込んだ、手作り味噌を、お味噌汁にしてみましたら、とても美味しくて、発酵食品って凄い!と思いました。


では、続きをお楽しみ下さい。


画像は、2015年個展作品です。物語上では、今回登場した、門田さん(テラビトサンプル2号)が、描いた作品と言う設定です。



《第5章 カルカナル磁場の歪み…》


「随分待たせたな。カルカナル磁場の影響で、時空の歪み、私達の覚醒に支障が出たと思える…」


寅次郎博士は、そう言いながら、真顔でお茶をすすりました。


「そうか…この星でのカルカナルの影響は、相当なものだな…本来なら、この星に来て、二十年を過ぎた時点で、覚醒し、落ち合う計画だったが…その頃に会いたかったわい…見てみろ、この皺を、すっかりじぃさんだぁ!」


門田さんは、カカカカと、笑いながら、深く刻まれた皺を指差し、出た腹を、ぽよんと叩きました。


「ははははは、私もだよ。今年で70だ。この星のホログラムボディの耐久年数は、驚くほど短くて脆い、通常の倍の速度で劣化していくんだ。気がついたら、この姿さ!」


寅次郎博士も、すっかり白くなった、自分の髪の毛をワシワシと掴みました。


「みちたろさ…いや、カミオンは、覚醒していたのか?」


「いや…」


「じゃあ、これは?」


門田さんは、不思議な顔で、日記を指差します。


「完全覚醒ではないよ。無意識下で書いた物だ。神楽師匠は、生前、私に、妙な言葉や文字が浮かぶと言って、よく見せられた口だ。その当時の私も覚醒してないもんだから、すっかりちんぷんかんぷんだった…」


「ぷぷ…私と同じだな…」


「どう言う意味だ?」


「私は、文字や言葉ではなく、イメージとして浮かんできていたんだよ」


「ほう?」


「頭の中に、映画のシーンのようなものが浮かぶのさ、私達の星の場面、他の星でミッションをこなしていた場面、地球でのミッションのミーティング風景…その時の会話や出来事が、イメージとしてね…私は、これは単なる妄想か夢だと思っていた…」


「成る程…いいところまで思い出していたのか…私は、どうだったろうか…?3歳くらいまで、以前の記憶があって、周りに[変な宇宙の話する変な子]と言われていたが、ある日ピタリと言わなくなった…周りに[やめろ]と言われ続けて、だんだん話せなくなっていたんだな…」


寅次郎博士は、当時の自分を振り返っていました。確かにその時までは、鮮明に覚えていたのです…


「そうだったのか…私の場合は、飯の種になった…この記憶の欠片を再現してSF画家として、仕事していたさ。本も何冊か出した」


そう言うと、門田さんは、押し入れからファイルを出してきました。


今まで手掛けた本の挿し絵や映画看板、それはそれは、胸踊る見事な宇宙ロマンを描いた作品から、息をのむような美しい女性の絵が、数冊のファイルに保存されていたのです。


「これは…見た事ある!これ、門田さんが描いたのか!?この絵、何かの雑誌に載っていたな…」


寅次郎は、まるで子供のような眼差しで、懐かしみ、ふと、数枚の作品に目が止まりました。


「あ…」


「懐かしいだろ、私達の故郷さ…私は、この作品で、賞を貰ったんだが…当時、何人かに「理由は分からないが、涙が出て仕方ない。懐かしい」と、言われた事が何度もある。彼等も、同志だったんだろうか…?あの時の彼らは…今、どうしているだろう?」


門田さんは、作品の前で、花束を抱え、満面の笑みで写る、自分の姿を眺めていました。年の頃は、30才位でしょうか。 


「これ門田さんかい?男前じゃないか。それにこの作品…無意識下で描いたとは思えない正確さだな…」


鮮明に思い出した二人は、懐かしんでいました。


「そうか、私の中から出てきた作品は…私の記憶そのものだったのだな…」


「門田さんは、いつしかそれを、現実には、ありもしない空想物語を描いている。と、思い込んでいた…」



「これが、地球でのカルカナル磁場の影響か…どれだけ対策を練っても、我々の宇宙意識や覚醒時期が歪められてしまう…」


門田さんは、悔しそうに言うと、煎餅を噛み締めました。


「先輩が言っていたな…[地球が一番、覚醒が難しい、なめてかかるな]と…こう言う事だったのか…」


ファイルを眺める寅次郎博士の視線に、黄ばんでいない、真新しい絵が飛び込んできました。


そして、吹き出した。


「どうした、風天(かざま)さん?」


「か、門田さん?こ、この猫の絵!?」


「あぁ!それか、そりゃ、1年前に遭遇した宇宙人だよ!」


「カンタスカラーナ星人だな?」


寅次郎博士は、ケラケラと笑っています。


「よく知ってるな。彼らは、とても紳士的な生命体だったよ。あの時、誰かを探していたらしいが、見つかったんだろうか?」


「見つかったよ」


「へ???」


門田さんは、寅次郎博士に、はてなマークをぶつけた。


[つづく]


 2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺、猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。


また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しました󾬄よろしくお願いいたします󾠓


(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。


東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型で、お楽しみいただけます。



猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)


※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)


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