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「HARRISON LOVED HIS UMBRELLA」Rhoda Levine Karla Kuskin

2020.11.11 06:30

こどもって、傘の魅力を見つけるのが本当に上手ですよね。雨の日、晴れの日、雪の日だけじゃもったいない!だって傘は隠れ家にも、盾にもなるし、独楽のように回したり、ひっくり返せばプールにだって。

歯磨き粉は開けられなくなるけど、ピアノも片手でしか弾けなくなるけど、それでもさしていたい男の子、ハリソン。

私自身、秘密基地にしたり、雨を集めるバスケットにしたり、傘にはたくさんの見立て遊びを教えてもらったように思います。親の気も知らないで、と今ならわかりますが、ハリソンの両親も家の中でまで傘をさし続けるハリソンには手を焼いていました。

しかし、通り中を傘が埋め尽くしたある雨の日、大変なことが起きます。こどもたちがみんな傘をたたまないのです。ハリソンのように!

困ったのは親たちです。傘が邪魔でこどもたちの顔が見えず、もう一週間も自分のこどもに会えていないと嘆きます。

しかし傘の魅力を知ったこどもたちはみんないつまでもさし続けます。さてさて、そんな中ひとりだけ、傘をさすのをやめたこどもがいました…

雨が降っていてもいなくても、カラフルに咲くこどもたちの傘の花と、それに比例してどんどん曇っていく大人たちの表情。どちらの気持ちもわかる私ですが、カスキンの美しいバランスのイラストには、傘の下でニンマリ笑っているこどもたちのように、ただただ楽しい気持ちでページを捲ってしまいます。

そして天邪鬼な性分なので、ラストの展開にもまたニンマリ。

カスキンの絵本は、まだあまり紹介してきておりませんが、どの作品も可愛くて、かっこよくて、おしゃれで、面白いんです。

この本でも、正方形の中に見事に収まったイラストが見ているだけで気持ちよく、暖色の組み合わせに胸が弾み、それだけで嬉しくなってしまいます。

今後もたくさん紹介していきたい作家さんです。是非、サイトで過去に入荷した作品もご覧になってみてください。


当店のカーラ・カスキンの本はこちらです。