小動物の繁殖について②
繁殖をしていると、ぶち当たるのは血の入れ替えと言う壁です。
日本の小動物は大半が輸入されてきますから、一部の血統証付き個体でない限りは両親さえもわかりません。特に、比較的安い価格で流通するモルモットは、品種名さえも認知されておらず、《巻き毛》《短毛》などと呼ばれる事も珍らしくありません。
その背景には、輸入個体の大半が雑種と言う事実が隠されているからかもしれません。
【サッちゃん'ち】では現在14品種のモルモットを繁殖しています。
系統やカラーに分けて全て個体管理をしていますが、血の入れ替えが必要になるたびに悩みます。
初めのうちは、品種管理をしている仲間たちとトレードする事で血の入れ替えをしていましたが、やがて両者の血が同じになる事は想像できますよね。
そこで今回、雑種かもしれない事や、血統が未知である事などのリスクを犯す事を承知で、【サッちゃん'ち】で生まれた純粋なテディー♀と輸入個体のテディー♂を交配しました。
産まれたのは1匹、巨大児でした。
通常なら、産道を通る時に圧死してしまってもおかしくないサイズですが、元気な声を響き渡らせています。
お母さんも子供の身体を必死に舐めていたので、しばしお母さんに子供を託していました。
しばらくして、子供の様子を見ると・・・。
お母さんと離れた場所で横たわっています。近ずいてよく見ると、転がっている感じにも見えます。
お母さんを子供の方に促しましたが、育てる意志はないように見えました。
それでも可能性に期待して数時間待ちました。
気付けば子供は隅に追いやられ、完全に拒絶されてしまっていました。
子供を手に取ってみると・・・
両前脚は奇形で指がありません。
ですが、自分で動かす事も出来、異常はそれだけに見えました。
ところが、横たわったまま自力では起き上がれません。
お腹を下にして置いてみても、右を下に転がってしまいます。
右側に壁を作り倒れないよう置いても、気付けば右を下に転がっています。
産道を通る時に神経を傷つけてしまったのでしょうか。
血の入れ替えのための輸入個体だったはずなのに、産まれてきた個体は重度の障害を持って生まれてきてしまったのです。
命の選択と言う大きな問題を抱える事になりました。
ですが、曇りのない真っ直ぐな瞳で元気に生きようとしているその子をみていると、手を貸さずにはいられませんでした。
この判断が正しかったのかどうかは分かりませんが、24時間体制の育児の日々の幕開けです。
=続=