DI:#3 査察でのデータインテグリティ関連指摘状況②
皆さん、こんにちは。パースペクティブの德原です。
前回は、「DI:#2 査察でのデータインテグリティ関連指摘状況①」というタイトルで、FDA査察での指摘状況を確認しました。今回は、日本の行政による査察での指摘状況を調査し、傾向に違いはあるのか確認してみたいと思います。
日本の行政によるデータインテグリティに関する指摘数は?
日本では、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)又は都道府県がGMP適合性調査を行っています*。PMDAによる調査結果について、2017年の「GMP事例研究会」の中で報告されていたので、その資料のデータ(下記リンクの6ページ目)を引用したいと思います 。
https://www.jpma.or.jp/information/quality/jirei/pdf/pdf_170915_01.pdf
この資料によると、2016年のPMDAによるGMP適合性調査の中で発見された「中程度以上の不備」のうち「文書管理や記録に関する不備」が41件であり、その年の一番多い指摘であったことが報告されています。2位の「製品の汚染防止」の件数18件と比べても2倍以上の件数となっています。2014年や2015年の指摘でも「文書管理や記録に関する不備」が2番目に多い指摘となっていました。
このようにPMDAによるGMP適合性調査においてもデータインテグリティに関する不備が多数発見されており、改善や再発防止が求められています。
前回(#2)と今回(#3)でFDA並びにPMDAによる査察での指摘状況をみてきました。
データインテグリティは「患者の安全」を守るために必要な考え方で遵守されるべきことです。それにも関わらず、海外でも日本でもデータインテグリティに関する不備が多数見つかっているという事実が明確に数字として表れています。
ではデータインテグリティを遵守せず、不備をそのままにしておくとどうなってしまうのでしょうか? 次回に続きます。
*参考:https://www.pmda.go.jp/review-services/gmp-qms-gctp/0001.html