[新旧比較] Mama bear chair
Mama bear chairは1954年にHans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)によりデザインされ、AP Stolen(APストーレン)により製造されていました。
2020年にCarl Hansen & Son(カールハンセン)により復刻生産が開始されましたが、復刻にあたり変更された点について検証していきます。
まず内部構造が大きく異なります。AP Stolenはパパベアチェアなどと同様に馬毛や綿、パームヤシなどの天然素材を使用しています。Carl Hansen & Sonは全てウレタンで成形しています。
背もたれのくぼんでいる箇所は単なるデザインではなく、意味があります。AP Stolenはくぼみのステッチに沿って木のフレームが通っており、そこから腰部分に麻のベルトが入っています。
Carl Hansen & Sonはウレタンを成形してこの形を作り出している為、木のフレームや麻のベルトは入っていません。その内部構造の違いは座り心地に大きく影響しますので、全く別のチェアのようなクッション性の違いがあります。
木部につきましてAP Stolenはチーク材やオーク材を使用しておりましたが、Carl Hansen & Sonはウォールナット材やオーク材を使用しています。2つを比べるとアームのフォルムについて大きな違いはありませんが、AP Stolenの方がシャープでCarl Hansen & Sonのほうが甘い印象があります。
AP Stolenに比べCarl Hansen & Sonのネックピローは厚みがあり、バランスの悪さを感じます。このように2点を比べるとAP StolenのMama bear chairのほうが座り心地とフォルムについて優れているように感じます。
それでもCarl Hansen & Sonのママベアチェアは480,000円、AP Stolenのママベアチェアはヴィンテージ市場で1,000,000円前後で取引をされています。その価格は魅力的でCarl Hansen & Sonの企業努力を感じます。