中国に関する質問回答(一)
【質問】
目下、コロナ禍のもとで中国の個人消費の動向が世界的に注目されていますが、とかく爆買いが話題となるなか、人々は消費と貯蓄のバランスをどう考えているのでしょう?
【回答】
中国人観光客が日本で爆買いする風景はもう遠い昔のようである。今年、中国の消費者は慎重に行動するようになった。 世界中、コロナ感染拡大が続ける中、中国でも安定した収入を今後も確保できる見込みが少なく、節約したほうが良いと多くの人が意識している。
しかも、社会保障制度に強い不信感があり、老後資金のために絶対に貯蓄を崩さない。 最近中国の地方政府は積極的に消費を促している。故郷の友人が一つエピソードを語ってくれた。 給付金を配らないが、政府主導でアリペイ(支付宝)にて商品券・割引券が配られるとのこと。 ネット上の時間限定で、くじを引くような感覚で商品券を当たる。 上手な人は結構頻繁に商品券が当たるそうだ。それを使って実際に買い物もしている。 残念ながら、ネット通販が苦手な高齢者はそういう恩恵をうけられない。
【質問】 中国では、新型コロナに感染された有名人がいますか。
【回答】 中国では最初、湖北省武漢から新型コロナが感染拡大し、医療崩壊が発生した。不幸中の幸い、2か月ほどで大体収まった。4月8日に厳正なロックダウンが解除された。 湖北省以外の地域は、早い段階で外出制限など強制的な措置を取ったので、新型コロナはそんなに広がっていなかった。
特に有名人の感染のニュースは流れていないが、当方がぜひ紹介したいのが1人。
今年の春、武漢で、多くの医者さんが医療現場で新型コロナに感染され、犠牲者になった。 その中の一人は、昨年12月に微信(ウィーチャット)のグループにおいて、原因不明の肺炎に行った注意喚起してから、当局から処罰された李文亮医師である。
李医師は元々有名人ではなかった。彼は入院中、中国メディアの取材をうけ、世界中の人々の心に響く名言を残された。「健全な社会は『一つの声』だけになるべきではない」 。
2月7日、李文亮医師が亡くなった。まだ34歳の若さにもかかわらず…
この半年間、不思議に、中国ソーシャルメディア「微博(ウェイボ)」では、李文亮医師アカウントの最後のツイートに、毎日絶えず大勢の人がコメントをしている。
嬉しいことも悲しいことも天国にいる李医師に打ち明ける。
そのコメントの数は百万を超えている。中国のネット上、「広大な李文亮墓碑」が形成しつつある。
李文亮は多くの中国人の心の支えになった。それはもはや、中国の社会現象とも言える。
2020年、世界に影響を与えた中国人物を言えば、李文亮を語らずにいられない。