MBA受験体験記 T.S (Full-Time MBA 2021, 金融, 私費)
投稿者プロフィール
Q. 投稿者(ペンネームorイニシャル)
TS
Q. 進学予定校
HKUSTビジネススクール(香港科技大学 The Hong Kong University of Science and Technology)
Q. 進学予定校のカテゴリ
Full-Time MBA
Q. 進学予定校の地域
アジア
Q. 受験校
HKUST,CEIBS, Babson College, Cornell University, Hult International Business School
Q. インタビュー実施校
HKUST, CEIBS(WL⇒辞退), Babson College, Hult International Business School
Q. 合格校
HKUST, Babson College(奨学金付), Hult International Business School(奨学金付)
Q. 性別
男性
Q. 出願時年齢
26歳~30歳
Q. 海外経験と期間 (例: 旅行程度の経験以外無し、学生時に1年間米国に留学、入社後2年間シンガポール赴任、etc.)
旅行程度の経験以外無し
Q. 費用
私費
Q. 奨学金
未取得
Q. 最終学歴 (国内/海外・国立/私立・大学/大学院・文系/理系)
慶應義塾大学環境情報学部
Q. GPA
2.6
Q. 受験した試験と出願スコア (GMAT:点数(V/Q/IR/AWA)/GRE:点数(V/Q/AW)/TOEFL:点数(R/L/S/W)/IELTS:点数(R/L/S/W))
GRE:316(V150/Q166)/IELTS:7.0(R7.0/L6.5/S7.5/W6.5)
Q. 塾
Agos/Affinity
Q. カウンセラー
Ivy League Consulting/Interface
Introduction
Q. バックグラウンドや職務経験などについて、教えてください。
新卒から6年間、野村證券の営業店でセールスをしていました。生え抜きは都内の新店で4年4か月、その後地方支店で1年8カ月、主に新規開拓を行っていました。後半は2度インストラクター(新入社員育成担当)を務めました。
偉そうに書いていますが、どの支店にもいるフツーのセールスでした。
Why MBA?
Q. なぜ、留学に行こうと思ったのですか。(そのきっかけや理由を教えてください。)
「MBA留学に行きたいと思ったから」ただそれだけです。
合格体験記や周囲の受験生の練られたキャリアプラン、崇高な使命感や専攻分野への拘りを聞くと「今、それが無い自分には受験資格が無いんじゃないか」って思うかもしれません。でも、そんなことは無いと思います。実は多くの他の合格者も、起点は案外emotionalな部分だったと感じています。その想いさえあれば、後からそれを正当化するロジックはついて来るんじゃないかなと思います。
Q. 留学後のビジョンを教えてください。
30代のうちに経営をしたいという想いがあります。前職では、6年間最前線の営業部隊で実行を担いました。卒業後は、少し頭でっかちでも戦略を立てる仕事を一度経験したいと考えています。将来は、前線での指揮実行力、上流での戦略立案能力の双方を併せ持った経営者となりたいです。MBA取得を通してその為の最適なキャリアチェンジを実現することが留学中の目標です。
加えて、業界で言えばいつか一度はサービス業に関わりたいという気持ちを持っています。(やっぱお客さんが喜んでくれる姿が見えるのが一番!) 留学中の活動予定としては、HKUSTでアジアの顧客を知り、Japan Trekで実践し、Cornellへの交換留学を通してHospitality Businessを学ぶというのが受験時の計画でした。ただし、変わるかも。
Preparation for MBA application
<概論>
留学を考え始めてから、実際に受験するまではどのようなスケジュールで準備をしましたか。
2017年8月:NY観光旅行 海外MBAを本格的に選択肢として持つ
2017年9月:現状認識の為、TOEICを受験 595点
2017年10月:1カ月程度の集中リサーチの末、受験を決断
2017年12月:次席、支店長に受験と3月末での退職の意向を伝える
2018年3月:退職 実家にて子供部屋おじさんになる 以後1日平均11時間勉強
2018年5月:IELTS 初回受験Overall5.5
2018年8月:MBAフェア参加 偶然Hult International Business Schoolの審査官と接触
2018年9月:1stにてHultに出願
2018年10月:Hult奨学金付合格確保。米国東海岸へキャンパスビジット HKUSTからの交換留学生とも面談。CEIBSの説明会に参加しアジアのビジネススクールへの関心が高まる
2018年11月:初回のGRE受験 V143/Q150=GMAT換算430点
2018年12月:8回目のIELTS受験 Overall7.0クリア
2019年3月: 3回目のGRE受験 V150/Q161=GMAT換算590点
2019年4月:3rdでHKUST、CEIBS、Babson College、Cornell Universityの4校に出願。スコアアップデート、GRE最終スコアはV150/Q166=GMAT換算640点。HKUST、CEIBS現地面接、Babsonスカイプ面接、Cornell不合格通知
2019年5月:各校合否結果受け取り HKUST進学を決める
Q. 大学院や受験方法についての情報収集はどのようにして行いましたか。(Info session, OB/OG訪問、Campus Visitなど)
人、本、インターネットです。もしも「MBA面白そうかも?」という選択肢を持ったら、受験決断までの情報収集は期限を決めて行うことがお勧めです。何かに挑戦するという選択肢が思い浮かんでから、調査、決断、実行までの時間って短い方が楽しい!
何かに挑戦する決断をする時に必要な情報って
・挑戦する対象について知っていること
・自分自身について知っていること
の二つが合わさってゴーサインだと思っています。
対象についての情報って取り続けるとキリがないです。少し質問項目とずれますが、受験情報と併せて自分の本当の気持ちという情報(今の仕事?遊び?海外留学?何が大事なんだっけ?)ともしっかり向き合うことが受験を戦い抜く上では、大切だと思います。
Q. 受験準備にかかった費用について、教えてください。
野村の社員の典型的投資先である外車にも高級スーツにもギャンブルにもブルベア投信にも投じなかった資金、今こそ自分自身に全額フルベット!でした。
- IELTS対策費用:約80万円
- GRE対策費用:約80万円
- 出願書類、インタビュー対策費用:約80万円
- 試験受験費用:約50万円(IELTS8回、GRE5回、GMAT1回、5校出願)
- 学費デポジット:約40万円
- ビジット、現地面接費用:約70万円(米国、香港、上海)
- 合計約400万円程度
ビジット、現地面接無し、合格校への進学権確保の為のデポジット無しで済ませば、300万円程度で抑えることは可能かと思います。受験を終え、手元に目に見える物は何も残っていません。でもお金の使い方には今の所満足しています。あとはロングタームで、金融商品や高級品よりも自分自身に投資した方が利益になったと胸を張れるよう留学中、留学後も引き続き頑張るだけです。
Q. 留学にあたって、必要費用(受験費用や、進学後の授業料・生活費等)はどのようにして調達しましたか。
受験費用の全てと留学費用の一部については、幸い退職金、前年度ボーナス、貯蓄で賄うことが可能でした。当時の相場に感謝。留学費用については、香港では1200万円程度かかります。自身の貯蓄と、日本政策金融公庫から上限の450万円借り入れ、奥の手はカードローンを考えています。ハイパーインフレにならないかなぁ。
<スコアメイク>
Q. TOEFL/IELTSについて、準備方法、苦労した点、工夫した点などを教えてください。 (科目別(R/L/S/W)の勉強法、使用した塾や教材に対する感想、受験履歴など)
大前提として、この手の合格体験記上の「私は~をしたら出来るようになったので、あなたもそれをやれば出来るはずだ」論には一定の注意が必要です。例えば長文読解問題は、単語、構文把握、速読、パラグラフ把握、解法等様々な要素で構成されています。その中でどの要素がボトルネックとなっているかは人によって異なります。常に最新の自分の弱点を把握して、そこを的確に向上させる必要があります。
私自身は、AGOSでの対策で、初回受験の5.5(R6.5/L5.5/W5.0/S5.0)から約7カ月間でOverall7.0(R7.0/L6.5/W6.5/S7.5)という最終スコアでの出願でした。
所で、IELTSについては近年メジャーな選択肢となり、テクニカルな部分は予備校や他ブログ等でも情報が豊富なので、ここでは特に私費受験生の方に向けてモチベーションについて少し。前職時代から、「どーやったら何かを頑張れるのか」って考えていました。
結論、人はどこかを目指すとき、
「正しい目的地に、正しい道のりで、正しいペースで」
進んでいる実感があると、力強く歩を進めることが出来るんだと思います。
逆に言えば、足が止まるのは上のどれかに不安がある時だと思っています。
1, 正しい目的地:「本当に目指すべきはMBAなんだっけ?」
このホームページを見ている時点で、きっと目指すべきなんだと思います。海外留学って半ば病気みたいなもんで、一度この選択肢を持つと、実現するまで心のどこかで想いがくすぶるみたいです。現に、周囲の合格者の中でも一度諦めたり、年単位で受験中断時期を挟んでやっぱり諦めきれず再挑戦した人がなんと多いことか!
時間ってなんとなく過ぎちゃうし、それも生き方だと思います。でもそんな中で、何であれ目標の選択肢を持つことが出来るだけで特別なことだと思います。あと一歩踏み出して、もう少しだけ自分を信じてみるだけ!
2, 正しい道のり:「本当にこの勉強法を続けてスコアが良くなるの?」
素人が悩んでも仕方ありません。ここは専門家である塾屋にアウトソースするべき分野です。Affinityの飯島先生の学習カウンセリングは有用だと思います。
3, 正しいペース:これについては更に3つに分類できます
・「自分の英語力って向上しているのかな?」
語学はすぐに点数が上がらない為、前に進んでいる実感が持ちにくいです。私は、せめて昨日の自分より、〇問多く問題を解き、×時間多くの時間勉強したんだということを毎日記録していました。科目別総勉強時間や、多読の「日付/本や章のタイトル/当日読んだ文字数/累積の読んだ文字数」を記録することによって、前に進んでいる実感を持つことが出来たと思います。努力の可視化は、習慣作りと受験直前期の自信という面でも有効でした。
・「これ、余裕で受かるんじゃね?」/「もう今年の出願は無理かもしれない、、」
誰だって、良いスコアが出れば油断が生まれますし、悪いスコアが出れば落ち込みます。私は受験開始時にA4用紙を一枚用意しました。表面には「今までの人生でうまくった経験3つとその理由」を、裏面には「今までの人生でうまくいかなかった経験3つとその理由」を書いて、机の引き出しの一番上に入れていました。悪いスコアに落ち込んだ時には表面を見て自分を励まし、好スコアに気が緩んだ時には裏面を見て気を引き締め、気持ちをニュートラルに保つように努めていました。
やっぱりどんな人だって、モチベーションが下がることはあると思います。その時に、自分はその程度の意志だったんだって落ち込まずに。モチベーションが下がることもある前提で、具体的対応策を準備するべきだと思います。
Q. GMAT・GREについて、準備方法、苦労した点、工夫した点などを教えてください。 (科目別の勉強法、使用した塾や教材に対する感想、受験履歴など)
数学への苦手意識から、受験当初よりGREを選択しました。予備校はAffinityのRC講座が中心です。まだ受験者が少ない試験なので、少し細かいことについても触れてみます。
【Verbal】
初回の143から150へ改善しました。その過程で、問題演習は10月以降の週1回のAffinityの授業参加と復習程度でした。私の場合は、英語での思考能力=速読力が不足していた為、読解については簡単な文章の多読を学習のメインに据えました。意外ですが、GREのような複雑な難文読解に対して、児童書レベルの簡単な英文の多読(合計80万語、70冊読破)が効果を発揮しました。
所で、GREといえば単語問題。私はIELTS4400単語に加えて、延べ400時間以上をかけてGRE用に追加の3000単語を暗記しましたが、それでもなお本番での正答率は8/20と、結果的に最も非効率的な分野になりました。単語だけでなく、そもそも構文や文脈がとれていないケースが多々あったことが敗因です。単語にどれだけの時間を割くかについては、試しに電子辞書を使いながらオンラインの無料模試等(オフィシャルガイドの単語問題は本番より簡単なので)を受けてみると良いかもしれません。得点効率が悪そうであればGRE用単語の暗記は1000語程度で止めておいても良かったかもしれません。
【Quantitative】
初回の150から166へ改善しました。ほぼ全ての合格体験記で「満点も可能」、「特別な対策は不要」とあります。所が、MBA受験全体を通して、私の場合ここが最大の誤算点でした。キーポイントは「中学受験経験の有無」です。GREにおける中学受験算数の経験の有無は、TOEFLにおける留学経験の有無に匹敵する差を生みます。中学受験経験無しor模試等で150点台を出してしまったことのある方は、相当な危機感を持つべきです。私は、まず19chという中学生向け無料数学授業を1周して中学数学の復習を行った上で、4000問以上の問題演習、間違えた問題についてはA4一枚に解法の解説を書くという復習を300枚以上行い、延べ300時間かけてしまいました。「二次方程式なんて社会に出たら使わない」と豪語していた中学生の自分を殴り倒したい。
【直前期】
Affinityには、今までの受験者がどの問題で何問正解した結果、何点を取ったのかというデータがあり、それを元に明確に~点の為には1stセクションの単語で〇問、RCで×問とる、というような得点イメージを持って勉強しました。
直前期は、自分の苦手トピックや正答率の悪い問題タイプを把握した上で、綿密にパターン想定をした受験戦略を立てました。(長文のトピックが苦手の化学分野の場合はCRに取り組む、そうでなければ時間対効果の悪いCRは捨てる等)
<Essay & interview>
Q. 上述のカウンセラーに決めた理由、及び当該カウンセラーに対する感想を教えてください
まず、私費、無職、海外経験無し、GPA2.6等のバックグラウンドでカウンセラーに引き受けてもらうことが出来るかどうかという不安がありました。事実、オープンであるという前評判のEdとRound Oneには当時のスコアを理由にやんわり断られてしまいました。受験者は、契約前にスコアを確認されることは意識するべきです。
受験を通して最も高価な支出になりましたが、個人的には一番不安があった部分なので、万全を期すべく最終的には2名のカウンセラーと相談しました。
その中で、まずはマイナーではありますが、5月からIvy League ConsultingのMatthewと契約しました。エッセーカウンセリングの中では比較的安く、メールや対面で答えた内容を元に、出願校に合わせてBooth MBA出身のMr. Matthewが全て書いて仕上げてくれるというスタイルです。受験序盤は省エネでスコアメイクに集中することが出来ました。レジュメ、推薦状の草稿、職務経験のエッセーについては最後までこの時に作ったものがベースになりました。レスポンスも非常に早く、締切の直前でも頼れました。
Hult合格後に改めてトップスクール出願に向けて、ある程度のスコアも揃えて有名カウンセラーのセカンドオピニオンを乞おうと、10月頃にInterfaceに相談しました。ここで一度完成したはずのゴールエッセイについて強烈にボコされました。ルクレア、デバリエの両名とも真剣かつ辛辣です。ドラフトへの返信にはかなり厳しい言葉が続き、恐らく同じ内容を日本語で言われていたら、詰められパンチドランカーの野村マンでも心が折れていたと思いますが、お蔭で満足いくものが仕上がりました。
相性やスタイル等がありますので、何人かのカウンセラーと候補と初回の無料セッションみたいなものをやってみて決めるのが良いかもしれません。
Q. 推薦状について、準備方法、苦労した点、工夫した点などを教えてください。
私費生にとっては、記載内容の前に、引き受けて頂くという点も関門かもしれません。快く引き受けて頂いた上席と先輩には今でも感謝しています。推薦状を引き受けて頂くには、結局、目の前の業務に一生懸命取り組むことなんじゃないかと思います。
退職しての私費留学という形になってしまったものの、野村の社員も、仕事も好きでした。不器用ですが、その周囲に隠れてコッソリ勉強、受かってアバヨなんて出来ませんでした。そこで、退職4か月前(出願締切1年前)という早目のタイミングで上席に相談しました。併せて、当時、支店のインストラクターを務めていた為、責任期間である3月末までは、セールスとしても、インストラクターとしても全力で働きたいという旨を伝え、幸いにも受け入れて頂きました。以後3月末の退職直前まで受験を忘れて業務に集中しました。結果的に、推薦状については「そこまで腹を括ってやるのならば」と上席、前任地の先輩から快く引き受けて頂きました。本当に感謝です。
Q. インタビューについて、準備方法、苦労した点、工夫した点などを教えてください。
私の場合、他受験生と圧倒的に異なるのは直近1年間受験勉強の為に無職であったという点です。数年に1人の特異なケースである為、こちらにフォーカスして述べます。後進の誰かのチャレンジを後押し出来ればと思います。
まず、面接ではやっぱりレジュメを見て「え、1年無職ってどーゆーこと笑?」って話にはなります。取り敢えず会社を設立して起業準備の体にするとか色々策はあるのかもしれませんが、私の場合は嘘もつけず、「これで落とされるならこちらから願い下げだ」位の気持ちで正面から自分の仕事観をぶつけました。
1, 仕事への愛
「業務外の時間も含めて、後輩の育成にコミットしていた。毎日さっさと早帰りして一人で英語の勉強をする生活も可能だったかもしれない。ただ、人生を変える社会人一年目を預かる以上、早朝の新聞読み合わせ、寮での打ち合わせ、週末の資料投函まで含めて、業務時間外も出来る限りの力を懸けたかった。退職後、当時指導していた後輩が自走出来るようになり、開拓事例や成績上位になったという報告を聞くと、自分の時間の使い方は正しかったと今でも確信している」
2, リスクを取る決断の価値
「貴校でもEntrepreneurshipには力を入れているが、座学をしてビジネスコンテストで机上のモデルを組むことだけが起業家精神ではないと思う。最も肝心な部分はリスクをとる決断をして、実際に行動をする所にあるはずだ。今年1年間を通して、人はどんな時にリスクを取ることが出来、どのように実行すれば良いのか、ということを深く考える機会となった。その体験をもって他の学生に貢献したい。自分自身も、今回の決断と行動が、将来のより大きなチャレンジを後押ししてくれるとわくわくしている」
3, バックアップ策
「無謀にリスクを取った訳ではなく、新規開拓力というスキルのバックアップを持っている。もしもこの受験に失敗して、どこかの金融機関に引継ぎ顧客が0の状態で再就職しても、自力で新しいお客さんを開拓出来るし、そのスキルはこの1年間で変わるものではない」
上記のような話に併せて、受験期間中の申し訳程度のボランティア経験の話を状況に合わせてしていました。論理的には詭弁だらけなんですが、心から信じて語った想いは伝わるんじゃないでしょうか。1人位こーゆー学生がいても良いんじゃない的な感じかもしれません。結果的に3校に合格しているので、オールオッケーです。
Q. エッセー及びインタビューを通じて、自己PRとして、どのような内容をアピールしましたか。
証券リテール営業というバックグラウンドでしたので、選択肢は1,インベストメントバンカーぶる(海外の人はノムーラ=Wow! Investment Banking! って思うらしいです)or 2,リテールセールスで押し通すです。私は後者を選びました。コンサル等、頭脳労働系の出願者が多い中で、フロントラインでの戦闘能力が差別化出来る部分だと考えたからです。
新設支店で、顧客も預かり資産も無い状態の中ひたすら飛び込み営業をした話、その中で幾つかあったホームランの話、当時8人しかいない支店だったので早いうちから特定商品の支店月次目標に対してマネジメントを担う機会があった話、二カ店目でのインストラクターとしての育成経験の話をしました。
<学校選択>
Q. 受験校はどのように選択しましたか。
元々Hospitality産業に関心を持っていたのでThe Hotel Schoolを併設するCornell UniversityをDream Schoolとして据えた上で出願ポートフォリオを組みました。当初アジア校については「スコアが足りない人が受ける」というイメージがありました。アジア校を選択肢に入れたきっかけは、Cornellとのダブルディグリー制度のある中国のCEIBSの説明会に出席したことです。その後、米国東海岸へのキャンパスビジットでHKUSTからNYUへ交換留学中だった友人の話等も聞く中で、アジアで学ぶことへの気持ちが高まりました。帰国後、再度エッセーを書いてみると、アジアという言葉抜きに自分のエッセーが書けないことを再度認識、CEIBS、HKUSTへの出願を決めました。ただし、同時に「スコアが足りないからアジアの人にはなりたくない」という意地がありました。米国基準の語学要件を満たし、米国の選択肢も持った状態で、「それでもやっぱりアジアなんだ」と腹を括りたいと考えていました。
Q. 進学校の決め手は何でしたか。
米国とアジアの5校に出願して3校の合格、1校のwaitlistという結果でしたが、私費留学の為、やはり学費と就職活動への影響(ランキング)は、最後は無視できない要素でした。CEIBSについてはwaitlistが続き、ヤキモキしましたが、その間企業壮行会に出席する度に、HKUSTは私費留学に十分値するアジアのトップスクールであること、卒業生のキャリアも多様であることを認識しました。連夜の飲み会でMBA同期間でも香港のS君と認知され、またHKUST同期との連携も深める中で、HKUSTに決めました。
最後に、HKUST卒業生から聞いた話で印象に残っている話を。「MBA生は皆supportiveだ。それは、将来閉じたJob Marketで働き、再び顔を合わせることになる可能性の高い仲間とのnetworkingを大切にするという面もある。アジアのビジネススクールには、将来に亘って同じアジアのマーケットで事を成すと腹を括った学生が集まる。そういった意味で、帰国後離れ離れになる欧米校のInternational生と比べてもアジア校の学生間の絆は強い」とのこと。
<その他>
Q. キャンパスビジットを行った場合、実施時期や内容について教えてください。(ビジット実施校、実施時期、実施内容、訪問した人、選考においてどのような効果があったか、など)
1stで一校の合格を押さえることが出来た為、急遽11月に行いました。Columbia University, New York University, Cornell University, Babson Collegeを訪問しました。友人、野村の先輩の助けもあり、滞在5日間で在校生アポ6件、入学審査官アポ3件、キャンパス内イベント3件、クラスビジット1件、卒業生アポ1件、合計14件の予定を組むことが出来、充実でした。
現地ではBabson在校生の、「ビジット時、事前準備として入学審査官面談用に質問を合計100個用意した」という話を聞き、自分はまだまだであると痛感。そこまでやるかは別として、しっかりとしたアポイントと質問事項は勿論、その学校用のエッセーの草稿を作ってから行くと、在校生に相談等も出来てより出願上効果的かもしれません。
もしも、ビジットの余裕が無い場合でも、在校生とのskypeだけでも出来ると、現地でしか知ることが出来ない固有名詞等も入ってWhy this school?のエッセーやインタビューに熱意がこもると思います。アジア2校については、事前ビジットをしていない分、現地面談を行いました。
Advice and Messages
Q. 失敗談や後悔していること、もっと早く知っておきたかったことなど、今後受験する方々へのアドバイスがあれば教えてください。
やっぱり終盤はプレッシャーの中でそれなりに体調やメンタルにきます。周囲の受験生もだいたい一度は体調を崩していました。もしも受験直前に体調を崩した時には、「あぁ来た来た、これが合格体験記にあったやつだな。自分も頑張ってるんだな。あと一歩だ」位の気持ちで乗り越えて下さい。
Q. 一言メッセージ
今回のMBA受験において一番のターニングポイントはやはり「退職してフルタイムで受験勉強をする」という決断です。
1カ月程度期間を決めて、費用、目安所要勉強時間、過去のフルタイム受験からの合格例、予備校や志望校等の調査を行いました。労働環境、自分自身の性分を勘案して、やるならフルタイムでの受験勉強以外にないという認識と、最悪受験に失敗したとしても、もう一度どこかの証券会社で0から新規開拓をすれば良いという開き直りがありました。
勿論、業務と両立して勉強するのが一番。でも、どうしてもそれが適わない業界や語学レベルの人もいると思います。予備校等では強く反対されるやり方ではありますが、覚悟さえあれば1年程度の職歴のブランクは上述の通り乗り越えることが可能です。
最後に創業者野村徳七翁の言葉を。「企業家は七割の科学的確実性を握ったならば、それをもって、あとの三割の不確実を突飛し、飛躍するだけの勇気がなければならぬ」だそうです。