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TWO

治療をしながら生きる人のリアル

2020.11.15 22:10

実際の体験を、主観的に、時に客観要素も含み文書にしたページになります。徐々に更新させていただきます。

治療しながら働く人の姿、少しでも人それぞれの人生の一場面をお伝えできればと思います。

治療をしながら生きる人を心から応援しています。


指輪と、'働く'と


ある男性が相談に来られた

数か月前から腰痛で整形外科等を受診していたが、

どうもおかしいと大学病を紹介され、受診

その結果 若年性のパーキンソン病 であると、診断がなされた

「なぜ自分なんだろう・・」

「朝起きると、これがウソなんじゃないかって、思うんです」

...

現実を受け止められなでいると

打ち震える表情話された

彼の人生に起こった現実を、想像しながらお話しをうかがっていますが、

想像は決して彼の身に起こった現実には届かない

想像でも胸は痛みますが、想像は想像、


しかし、

ある朝、少し手が震えた時があったんですね、

その瞬間、「もしかしたら・・」発症したんじゃないかと、思ったときがあったのですが、

その時、

ものすごく怖かったんです。

しかし、それが、寝ればとれる疲れの一種で起こった一過性の身体症状のそれであることは、自身を俯瞰する医療者の自分が、すぐ冷静に判断できたのですが…

その‘怖さ‘は、現実にはならなかったのですが、

怖かった…

この怖さの何倍もの現実の中にいる患者に対して、外側の社会、その一員として、できることはしたい、という想いが益々強くなる一因でした

その方は、結婚して数か月

新婚で発症

「実はまだ指輪も贈れていないんです・・」

これからどうすればいいのか、病状と、収入源への不安

ストレスはそれぞれ遭遇するライフイベントや出来事により、どのくらいのストレス値か、指標になる項目があるのですが、

病、そして、失業は、ともにストレス指標は高い

それが人生では、ダブルでやってくる瞬間がある

そうしたことを多くの方々がこの国では体験している

そうした‘うまくいかない‘と感じる人生の下降曲線、J曲線の下がり目のようなときは、抑うつにもなるため、ストレスへの耐性も益々低下するため、

さらにストレスへの感受性が高まり、実際に起こっているストレスが大きいのは確かなことですが、さらに‘それ以上に‘に肌感としては当事者には感じられていることだろう

実際、そうしたことは‘気のせい‘ではなく、精神的なストレスは、自律神経系や内分泌系に影響をもたらし、体内の神経伝達物質に影響をもたらし、

心身の‘状態‘を変えていく

意欲…食欲、睡眠に影響が出てきて、

記憶に影響がでる

ミスが増える

(状態化すると、医学的に状態を戻していく過程という手段に結びついていくのですが、

そうした、状態の『疾病性』と、『事例性』が相談支援者によって混同されるケースがあり、

治療と仕事の両立相談の実際の現場に携わる相談の受け手は、

本来は、こうしたメンタル不調や精神疾患、人の病と生活における喪失、ストレスやその心理について理解、一定の教育やトレーニングを積んでいることは、必要条件ではないかとも思えますが、

実際現場に就く相談者は、医療やメンタルケアのトレーニングを必ずしも受けはいない現状があり、難病患者就職サポーターも、元ハローワークに努めていた職員であったり、労働についてよくご存じない医療や、福祉系ソーシャルワーカーであったり、

…支援者の中の情報や知識の両立において、現状では課題がある状況と考えられます。)


Aさんの状態から、障害者手帳の取得の可能性を感じましたので、

医師への相談を再度お伝えしました

しかし、医師は障害者手帳の取得にネガティブなイメージをお持ちのようで、

身体障害者手帳の取得により、障害者求人が利用できることが、パーキンソン病のように、症状が身体化し、周りにも見えるような状態の方々の就労にとって、大きな意義があることまで、理解されていないかのようでした。

Aさんから間接的にうかがっていますので、医師はAさんに何を話したかは、人づての情報になりますが、医師はAさんに、手帳の取得ができるかできないかではなく、賛成か賛成でないかの意思を伝えているような‘意見‘だったとうかがっています

そのため、パーキンソン病の講演会を、患者コミュニティと開催されている医師数名の情報をAさんに提供し、セカンドオピニオン的な意見を他の医師に聞いてみることになりました。

結果として、Aさんは、病院を変わり、社会的な存在としての患者への理解を示す医師の診断により、障害者手帳を取得し、民間のエージェントの求人より、大企業への就職に至ることになるのですが、

その過程までには、30~40社ほどの企業を受け、

最後は、床に頭を受つけてお願いまでしたそうです

床に頭をつけて就職できる世界ではありませんが・・その是非ではなく、

そうした心情や心境に追い込まれる当事者の現状

Aさんには、障害者求人になると、大企業への就職が可能になるため、サービス業の対人サービスを担ってきたAさんでしたが、委託訓練校の3ヶ月ほどのパソコンコースを利用していたく案、オフィスワークへのキャリアチェンジについて話し合いました

ブランク期間があいている場合、就業の再現性を描きにくくなります

そのため、作戦としては、数か月でも事業者が認知できる訓練校に通う

通うことで、朝通学し、午後に帰宅する、そうした通学のポテンシャルが可視化されることにより、「訓練校に3ヶ月行っていた」事実は、再現性を補完する素材として、有効だったりいたします。

就労準備性を見える化する、という表現に言い換えてみます。

ただ、ここには幾分の問題があって、

Aさんが訓練校に通ったときは、まだ、障害者手帳の所得ができませんでした、まだ未知の段階だったので、

障害者の方々に対しての訓練校ではなく、一般雇用の訓練校にいかなくてはならないため、

通学の要件もハードルはあがります。

そこは訓練校にも連絡し、治療と仕事の両立における就業者がいるため、学校としての合理的配慮をご相談させていただきました、

学校側は、Aさんの通学に協力くだり、休憩室を準備くださったり、休んだ分の補講なども組んでくださいました。

それでも、Aさんはほとんど休むことなく通学され、通学されたことで、学校での仲間もでき、そうした過程がAさんの自信にも変わっていくように映りました。

1つ1つ、壁を突破する

その過程は、Aさんにとっても、相談をいただく側にししても忍耐が必要です

ただ、Aさんがあきらめていない以上、こちらはあきらめるわけにはいきません

通常の手段で難しかったら、手段さえ探せばいいのです

もしくは、ほんとうに難しいのか、確認はしたいところです

難しいと感じているのは‘情報‘が不足している可能性も考えられ、

そうした可能性を見出す過程は、ご相談を受ける側の幅も広げ、

相談者の人生の可能性をも広げる要素になるかもしれないからです。

Aさんの就職が決まり、

長きにわたったご相談も、最後になりました

最後の会話が終わり、去っていくAさん、去り際に一度振り返り、お辞儀をされました

そのAさんの後ろ姿は、今もはっきりと思いだせます

その後、Aさんからのご連絡があり、

「結婚指輪を奥さんに贈ることができました」

とうかがいました