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ピアスの穴をあけると風が私を通り抜けてしまう気がする。

2020.11.16 07:59





"ピアスの穴をあけると

風が私を通り抜けてしまう気がする"







「風よ通るな」




 



私は24歳で未だに

ピアスの穴をあけたことがない。


あけたいと思ったことはある。



大学生になった時、

周りがみんなピアスをつけていたものだから

「私もあけようか」と思った。



思ったまま気づいたら

大学を卒業していて

このとおり、24歳まできてしまった。


ピアスの方がイヤリングよりも

デザインが豊富だし、利便性もあると思う。


それでも私は

ピアスをつけなかった。


いや、ピアスの穴を

あけようとしなかった。







「風よ通るな」







どこか私は、

ピアスの穴をあけると

風が自分を通り抜けてしまう気がしていた。



ピアスの穴なんて

針穴よりも小さくて

風が通る隙間もないくらいなのに。


体感的にそんな気がしたのだ。


それに、穴をあけると

自分が外へ溢れてしまうような気もした。



風船のような自分が

「パンッ」と割れて外界へ漏れだす、

そんなイメージ。







「風よ通るな」







ピアスの穴をあけようとすると

普段は涼しく心地よい風も

こう思って抵抗する自分が居た。


「風よ通るな」、と。







"穴をあける"と言えば煮物、

味を染みらせるための調理法である。


「ピアスの穴をとおして、

自分に味が染み込めばいいのに」と

好奇心を抱く私も実はいる。




では、もしその時が来たとして

何の味が染み込むのだろうか?


それはその時の環境で変わると思う。


その環境、

その場所に漂う雰囲気が

味になると思う。



私が会社員なら

そのオフィスに漂う雰囲気の味が。



私がカフェにいるなら

そこに漂うくつろいだ雰囲気の味が。



私がデートをしているなら

その空間に漂う甘い雰囲気の味が。



そんな味が

ピアスの"穴"を通して

私に染み込んでくるように思う。


「染み込んできたら面白いのにな」と思う。


そうしたらピアスの穴を

あけられるかもしれない。


「でもまだ無理だろうな」と私。


ピアスの穴から

私を通り抜けていく風と

染み込んでいく外界の味を許せるまでは。





24歳の私にはまだない、

外界との境界線を取り払う勇気が。









そんなことを思った11月中旬、





冬が始まろうとしている。










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※この文章は

Lovesick Girls / BLACK PINK」

を聴いているときに浮かんできたものです。