Piano Stairs-ピアノの階段!?
ストリートピアノと言えば、駅や街中に設置されたアップライトピアノ、豪華なものであればグランドピアノを思い浮かべると思いますが、世界に目を向けると、もっと大きなストリートピアノに出会えます。
それは・・・Piano Stairs-ピアノの階段。
その名の通り、階段にピアノの黒鍵と白鍵のペイントが施されたもの。
それだけでもピアノ好きにとっては見るだけで嬉しくなるものだと思いますが、中には、人が鍵盤の上に乗ると音を出してくれるものもあります。
ピアノの音階通りの音を出してくれて、自由に演奏できるものもあれば、あらかじめ曲が組み込まれており、リズムさえ合わせればどの段に乗っても曲を演奏できる、というものも。
今回は、音階通りの音を出してくれるピアノの階段をご紹介したいと思います。
1.スウェーデン ストックホルム Odenplan駅 (Odenplan station, Stockholm, Sweden)
Piano Stairsの先駆けとして有名なものが、スウェーデンのストックホルムにあるOdenplan駅に設置されたPiano Stairs。これは、2009年に自動車メーカーのフォルクスワーゲンが音頭を取って始めた"The Fun Theory"というプロジェクトをきっかけとして設置されたもの。このプロジェクトは「楽しい方法で人々の行動をより良い方向に変えられないか?」という目標をもって始められ、その第一弾である「どうしたら人々はエスカレーターではなくもっと階段を使うようになるだろうか?」という問いから、このピアノの階段が生まれました。
その設置から、人々が楽しむ様子、人々の行動の変化の結果を、こちらで見ることができます。
この成果やアイディアに影響を受け(たものばかりではありませんが)、今では世界各地にこのピアノの階段が設置されています。それをいくつかご紹介します。
2. 「有馬炭酸力」有馬温泉(〒651-1401 兵庫県神戸市北区有馬町798 湯本ビル 2階)
まずは国内から。色々探してみたのですが、階段が音階になっているものはなかなか見当たらず。その中で見つけたのがこちら。兵庫県の有馬温泉にある炭酸商品専門店の2階に上がる階段。黒白のペイントではありませんが、ド~次のラまでの音が出る仕掛けがあります。
足湯施設もあるようなので、有馬温泉訪問の際には立ち寄ってみてはいかがでしょう。
3. 韓国 ソウル 地下鉄2号線 乙支路入口駅(Euljiro 1-ga Station)。地下鉄1号線 市庁駅(City Hall Station) 方面改札を出てすぐ。
ソウルの繁華街、明洞エリアにある乙支路入口駅にある階段。下からドレミ~♪の音がなります(黒鍵はペイントのみで、黒鍵の音は出ないようです)。4. 韓国 ソウル 新道林駅(Sindrim Station)直結 D- Cubeデパート地下2階
ソウルの新道林(シンドリム)駅1番出口に直結する、現代のデパートD-Cube。この地下2階から新道林駅に向かう階段が、ピアノになっています。こちらは黒白のペイントではなく、可愛いポップな色使い。健康増進目的で設置されたこのピアノ。以前は、このピアノを使って曲を演奏するコンテストも開催されたそう。
ピアノの様子はこんな感じです。
5. アメリカ サンフランシスコ ピア39 (Pier 39)
アメリカ西海岸、サンフランシスコの海沿いの観光地、フィッシャーマンズワーフ(Fisherman's Wharf)にあるPier39。数多くのレストランや土産物店、メリーゴーランドのようなアトラクションなどが集まる、人気スポット。ここにもピアノの階段があります。
Building Oの1階と2階をつなぐ階段。上から見ると普通の木製の階段ですが、下から見上げると黒と白のペイントが施されていることが分かります。ここもやはり、音が鳴るのは白鍵のみのようです。
現地の様子は、このピアノ階段(ここでは"Musical Stairs"と呼ばれています)を設置したアーティスト、Remo SaraceniさんのYouTubeチャンネルよりこちらをご覧ください。
6. オーストリア ウィーンの博物館 Das Haus der Musik (The House of Music)
音楽の都ウィーンにある歴史ある宮殿が、音楽の博物館「音楽の家」として公開されています。ここにあるのが、 "Stairplay - Music Step by Step"。「階段で楽しみながら音楽を一歩ずつ学びましょう」のような意味合いでしょうか。
階段を上ると、音が出るだけでなく右側の壁で音楽について学べる、というもの。こちら、よく見ると、普通の黒鍵と白鍵の並びではありません。「演奏」して楽しむためではなく、体を使って楽しみながら学ぶことを目的としているようです。
この建物は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の創始者であり初代指揮者であったオットー・ニコライがかつて住んでいたこともあり、ウィーン・フィルの博物館も兼ねています。
余談ですが、館内には「バーチャルコンダクター」(バーチャル指揮者)という展示もあり、スクリーンの前で指揮棒を振ると、それに合わせてスクリーンの中のウィーン・フィルが演奏してくれるそうです。うまく指揮できなかったら、画面の中からダメ出しされるという話も。
<編集後記>
今回、情報収集にかなり苦労しました(笑)。世界にあるピアノの階段を調べてみたわけですが、まずは言語の壁があり、また、写真や動画でピアノの階段を見つけても、そこから確実な情報(正確な場所、どのようなタイプのピアノの階段か、今も使えるのか等)にたどり着くのが非常に難しく。日本から近いところで、中国にもいくつか見つけたのですが、どれも音階ではなく「曲」が鳴るものだったり。パリにもあった!と思ったら、期間限定で既に終了していたり。
音階が鳴るタイプのものでも、おそらく全てが白鍵の音のみなのかな、と思います。狭い黒鍵でも音を出すと、段を踏み外してしまう人も多いでしょうし。
ちなみに、こちらはトルコにあるピアノの階段で、「曲」が鳴るタイプのもの。曲は、トルコを代表するあの曲です。
*時間指定がうまくできないので、40秒あたりからみていただけると嬉しいです。
そんな訳で、思ったより件数を集めることができなかったのですが、正確な情報を伝えることを目標に、なかなか苦労して書きましたので、楽しんでいただけたら幸いです!