話せる嬉しさ
久しぶりの雨が、また紅葉を一層鮮やかにするでしょうね。
それにしても、ここ数日は戸惑うような暖かさでした。また寒さが戻るときに気をつけないといけませんね。コロナもまた増えてきました。正しく恐れて、気を引き締め直して、守れることを守って、どうか無事に過ごしましょうね。
さてさて、今週は京響の出番がひとつお休みで、月末のエルガーを練習しながら、23日のモーツァルト五重奏の会のリハーサルを弦カルの皆さんとしたり、来年のとあるコンサートのためのプログラムを編むのに頭を痛めていたり、大学に出勤したり、だんだん近づいてきたレッスン(自分が受けるほうの)の準備に慌て始めていたり、夜更けにちょいちょいマスクを縫ったりしていました。
エルガー2番、うーん、やったことあったかなぁ〜忘れたなぁ〜と話していましたが、やったことありました笑。
そして前回勉強した時のコピー譜が残っていたので助かりました。上出来上出来。だけど馴染みの薄いことに変わりなく、また、地味に難所がたくさんで、一生懸命練習中です。
自動車学校のほうは、決死の覚悟で路上教習!京都の街を走っていますよ〜!!(汗)
運転免許を取ることにして、良かったなぁと思うことがいくつかあるんですが、とても嬉しいなぁと感じているのは、大抵の人と話のできる共通の話題をついに持てたこと、です。
そうなんです。高校で音楽のほうへ進学すると決めた時点で、(普通科だったので)私は学校のほとんど誰とも共通項のない超マイノリティとなりました。音大に進学したらしたで、今度は普通科出身の自分や自分の考えをとても異端に感じました。そのまま音楽を仕事にして、おまけに私は結婚も出産もしそびれ、お酒も飲めず、コーヒーも飲まず、ファッションにも美容にもさしたる興味がないので、もう、普通の大人がする話題に、ほとんど入れないまま、だから相手の話は聞くし世間話ならいくらでもできるけど自分の話はあんまりしないことに慣れた大人、に、いつの間にかなりました。
それが!うんてんめんきょの話は、ほとんど誰にでも出来る話なのです!(今の若い世代では運転免許取得は決して多数派でないかもしれませんね。私たちの世代とそれより上の世代では、圧倒的多数だと感じています)
「実は…、今、自動車学校に通ってるんです〜笑〜!」
と話せば、みんな(なぜ今??と笑)身を乗り出して聞いてくれ、話してくれる。相手にわかる話を、私も出来る。久しぶりに会った親戚のおっちゃんとも話題にこと欠かないし、子育て中の友人相手にもアチラの話を聞くだけで終わらずに済むし、タクシーに乗れば運転手さんの滑らかな運転技術にどれだけ感動しているか伝え、そして身を乗り出してアドバイスを仰ぐ(個人タクシーのおとうさんに聞くのが、味があってとても楽しく気に入っています)。掃除のアルバイトのおかあさんにも励ましてもらったり、病院の待合では慰めてもらったり、みんな優しくて、大騒ぎ笑。あぁ、私はようやく普通の大人が普通にする話題と経験のひとつを手に入れ、マジョリティに仲間入りできたんだ…と、変な話ですけど笑、静かに深く感激しています。
あと、自動車学校ではさすがに誰も私を知る人がいないらしいのも、とても気持ちが楽です。かつて、語学学校に通っていた時には居たんですよね、音楽学生が。
「クラリネットの、小谷口さんですよね??」
と話しかけられてしまって(もうねーほんとにねー苗字が目立つんですよね、ほんとに…)、その日から、また、何となくおりこうさんにしていないといけない気持ちでした。だけど、今回はそんなこともなく、学科の授業で
「では、小谷口さん!」
と当てられても、
「ハィ分かりませんすいません忘れました〜!」
と、ただの賑やかなおばさん生徒でいられる。これはとても最高です。
そんなわけで、運転は難しくて死にそうですが、全体的にはとても楽しく過ごしています。