Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

きらい

2020.11.22 07:01



「君のその目が嫌い」

「目?」

「そう、全てを見透かすようなその目」

「へえ」

「気味が悪い」

「非道いこと言うなあ」

「君のその口が嫌い」

「くち、ねえ」

「いつだって何者をも欺こうとする」

「僕は至って正直者だよ」

「真実を語ってるつもりなの?」

「真実かはともかく在るのは事実だけさ」

「君のその手が嫌い」

「何の変哲もない手だよ」

「すごく掻き乱される」

「指一本触れていないよ、まだ」

「そうやって態と巫山戯るところも嫌い」

「ああ、そう」

「君は寝込みを襲っても殺せなさそう」

「僕のこと何だと思ってるの?」

「何だと、思われたいの」

「紛れもなく人間だけれど」

「そうやって飄々と定義付けるところも嫌い」

「言ったでしょう?在るのは事実だけだと」

「君は人間として許されないことをしている」

「許す?許さない?許されないとどうなるんだい?」

「罰を受ける」

「そうすると人間ではなくなる?」

「…ほんとうに、嫌い」

「嫌いで結構、僕は君に許しは乞わないよ」

「乞われたところで許したりしない」

「悲しいなあ、僕はそんなに嫌われているんだ」

「すごくすごく嫌いだよ」

「ああ、そうかい」

「幾度罰を受けても何事もなく戻ってくる」

「そりゃあ、受けるだけならね」

「本当に気味が悪い」

「僕は君にどういう風に映ってるのかな」

「人間」

「へえ」

「でも人間じゃない」

「矛盾しているね」

「放棄してるでしょう、人間を」

「少し違うかな」

「どういうこと?」


「僕は人間を放棄は出来ないよ」

「僕が人間で居たいから人間なのではなく」

「人間として産まれついた僕が」

「行き着く先は全て人間の可動域なんだ」

「罪を犯す?罰を受ける?」

「罰が生じてる時点で想定内でしかない」

「僕らは皆、過去の劣化品であり」

「過去を糧にした最高傑作でもある」

「独創性を自惚れちゃいけないよ」

「居るとするならばそれを決めるのは神の役割だ」

「僕は人間でしかない」

「僕は人間にしかなれない」

「僕は人間以外の何者でもない」


「理解したなら早くおやすみ、

   君はもっと倖せに生きていいんだよ」