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【同窓生】(仕事場D・A・N通信vol.8)

2020.11.23 01:11

「団は昔話が嫌いやから……」

 それが理由で、久しぶりに幼なじみが集まったときに、声をかけなかったと後日聞かされた。ちょっとショックだった。でも同時に、たしかに今の私は自分の思春期、青年期に格別な思いは少ないなぁと思った。

 高齢期を迎えた友人達に、高校時代にあこがれていた女子や、実はあの時こんな事情が……なんて話が好きな者が多い。同窓会での大盛り上がりの真偽の程もあやしい会話。そんな話になると私は、低い熱量で聞き流しているようにみえているらしい。

 これまで、ことさら内省的に自分の思春期を振り返ったりしたことなどなかったが、最近、五十年程も前に書いていた日記を処分するために見る機会があった。そこに登場する私は、記憶を飛び越えてロクでもない奴だった。今の私には、若い頃の自分がどうしようもない男に思えて仕方ない。

 おそらく当時の男子の平均的な姿だったのだろうが、今振り返ると無残と言うほかない。皆があんなに懐かしそうに思春期を思い出して語れるのは、それなりに評価できる当時の自分を見つけているからなのか、それとも都合良く忘れてしまっているからなのか。

 あらためて考えてみると、あの頃の自分だけではない、相当歳を重ねてからも私はくだらない男のままだったように思えてならない。今の私からみて、少しは評価できるようになるのに三十年以上かかったのではないだろうか?

 友人達は皆、それなりに懐かしく楽しい奴らだ。だから当時の彼等を否定する気持ちは全くない。しかし自分に関してはそうは思えない。だから当時の私しか知らない人達に、今何を言われても、当たらないことばかりに思えるのだろう。それが拡がって、「団は昔話が嫌いだ」という噂になっているのだろうか……。