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海のアクティビティはSUPで決まり! 西麻布の「ELIMA」店長と行く体験記

2016.08.30 08:00

ここ数年注目を集めている「SUP(サップ)」。「スタンドアップパドルボード」の略で、ボードの上に立ち、パドルを漕ぎながら波に乗ったり水の上を散歩するマリンスポーツだ。

1960年代のハワイが発祥で、もともとはハワイのビーチでマリンスポーツを楽しんでいる観光客向けに、カメラマンがロングボードでパドルしていたことがはじまりらしい。ハードボードが定番だったが、川で遊ぶ際に岩にあたるとすぐ壊れることから、空気で膨らませるインフレータブルSUPが増えているようだ。


SUPのボードは一般的なサーフボードよりもサイズも大きく、浮力も高いため安定しやすい。海だけではなく、川、湖などウォーターフィールドであればどこでも使用可能。サーフィンであれば、いい波のあるサーフスポットは限られてしまうのだが、SUPならまったく波がない穏やかな海でも遊ぶことができてしまう。

SUPクルージングに挑戦!

今回、昨年8月にオープンした西麻布にあるSUP専門店「ELIMA」がSUP体験ツアーを普段から行っているということで、店長の福井五大さんと一緒にSUPクルージングに行ってきた。


「ELIMA」は、夏はSUPやサーフィン、冬はスノーボードを楽しむためのギアが揃うセレクトショップだ。「都会から大自然へ」というコンセプトで、週末のアクティブライフを提案している。

今回使用したのは「ELIMA」がオリジナルで作っている「PEAKS5」というインフレータブルSUP。

こんなにコンパクトなのだが、空気を入れることで3mほどのボードになる。これなら都会でマンションに住む人たちも所有しやすく、持ち運びも簡単に出来てしまう。

いよいよはじめてのSUPクルージングに挑戦!

五大さんに教わりながら、まずはSUPの真ん中に膝をつけ、肩幅程度足を広げて乗る。パドルの先端から片腕を伸ばした長さくらいの位置を右手で持ち、左手はパドルの先端を握るように持つ。しっかり両手を伸ばすようにパドルの長さを調整することで、少ない力でスイスイと漕げてしまうのだ。

スピードが出ている間はボードが安定しているので、ある程度パドリングしたところで立ち上がってみた。すると、バランスを保とうと内股や膝がぷるぷると震えた。SUPはフィットネスとしても注目されていると聞いていたが、実際に下半身や腹筋を使っているのが分かる。体幹の筋肉が鍛えられそうだ。

海岸沿いを2周するころには何となく感覚が掴めてスピードを出したり方向を変えてみたりと、すぐにコツを掴むことが出来た。運動に自信がない人でも、すぐに水上を散歩できてしまうのがSUPの人気の理由なのだ。

私自身はマリンスポーツをまったくというほどやっていなかったので、海の上に浮いている状況に最初は緊張したが、慣れてくると気持ちがどんどん高揚していった。海の上から眺める景色の開放感は今まで見たことがないものだったし、スピードを出したときの風はとても気持ちがいいものだった。一回この体験をしたらハマってしまうのがよくわかる。


「日本のフィールドで楽しめるSUPをつくりたい」

「ELIMA」では、「MSR」というUSA発のブランドも取り扱っており、コンパクトで荷物の少ない簡単なキャンプギアなどが揃う。

SUP以外にもカリフォルニアのシェイパーKodai Nishijimaのサーフボードや、フリーライド用のスノーボードを取り扱っているため、1年中通してアウトドアシーンを楽しめる品揃えとなっている。SUP体験を終えた後「ELIMA」に戻り、お店を構えることになったきっかけを伺った。

「お店を立ち上げる前『ELIMA』のオーナーの清水さんと、『PEAKS5』をデザインしているGREEN FIELDの河野健児さんと、友人が持っていたSUPで川下りをしに行ったんです。実際にやってみたら楽しくて。自分たちで日本のフィールドに適したSUPをつくりたいね、という話で盛り上がったんです。『店も出して、メーカーとしてもやろう』と」

五大さんは子どもの時からスキーをやっていたそうで、世界選手権に出場したこともある根っからのスポーツマン。

28歳の頃に怪我をしてスキーをやめ、五大さんの弟である福井雄大さんと清水淳さんが立ち上げたピストバイク専門店「BROTURES」原宿店のマネージャーを勤めることとなったのだ。

清水さんとの交友関係は、清水さんが「BROTURES」を離れた後も続き、GREEN FIELDの河野さんを加えて1年前に「ELIMA」をOPENしたというわけ。

それにしても、海もない東京の西麻布にサーフショップを開いたのはなんでだろう。

「開店するにあたってお店を海辺に出そうか都会に出そうか迷ったんです。でも海沿いにはもうすでにサーフショップはいっぱいあるし、そこに住んでいる人たちはマリンスポーツをもう体験していると思って。

だったら都会に住んでいて、アクティビティをやらない人やアウトドアに興味がない人にアプローチする方がいいんじゃないかって思ったんです。今までそういう遊びをしてこなかった人や、これからやってみたいと思っている都内にいる人を自然に連れて行きたいなと」

「なかなかみんなが気軽にマリンスポーツをはじめられない理由の一つに、みんなどこでどういう風にSUPをやったらいいか分からなくて怖いと思っているじゃないかな、と。そこで使い方とか注意点とかをレッスンすれば、その後は自分たちで行けるんじゃないかなと思っているんです。

それに都内に住んでる人って忙しいし、なかなかきっかけがないと休日に海に行ったりしないですよね。だから、合間にバーベキューを入れたり、海の近くのおいしい料理屋さんに休憩しに行ってみたり、SUPを含めたライフスタイルの提案もしていて。

海に行くきっかけになって、おいしいご飯とかきれいな景色とかを知ってもらって、休日をより充実したものにするアイテムとしてはSUPって最適なんだってことをツアーを通して気づいてもらえたらいいなと思っています」

休みの日でもなかなか足が重くて外にでかけない、という人に楽しい休暇を過ごし方を体験させる。SUPのやり方だけじゃなく「遊び方」を教えてくれるというのだ。

「関東近郊じゃなくても『全国各地にガイドさんがいるので、うちのSUPを使って教えるよ』という案内もしています。風の強さや波の高さ、海岸の地形などを知っていないと波に流されてしまう可能性もあるし、マリンスポーツを安全に楽しむために、勉強しておくのもいいんじゃないかな」


自分たちの経験が商品開発にも活きている

開店から1年経って、お店での販売や商品開発に手応えを感じているようだ。

「SUPをはじめたいという都心の人がいっぱいきて買ってくれて、やりたい形にはなってきてると思います。僕らが作っている『PEAKS5』というSUPは、自分たちで実際にクルージングして改良を重ねて更新しているので、クオリティもどんどん高くなっているし、用途に合わせたバリエーションも増やせている。

それに他で販売している海外のSUPと比べてとても安いんです。自分たちでデザインして工場と直接やり取りしてつくっているので、いい物を他のメーカーよりもみんなが買いやすい値段で出せていて。

もちろん通販で安く販売してるところもあるんだけど、それだけ買っても初心者であれば自分に合うかどうか分からないですよね。だからここで買って体験ツアーにまず行って。それからはじめて自分だけで海に行くという段階を踏める安心感はあると思うんですよ。だからうまくいっているんじゃないかな」

仕事でもプライベートでもSUPをする機会が多いという五大さん。キャンプにSUPを持っていくことをおすすめしているという。

「今、原宿の『THE NORTH FACE3』のディスプレイに『PEAKS5』を展示していて、SUPキャンプも提案していきたいなと思っているんです。キャンプって料理以外の時間が暇だったりしますよね。

そういう時に、みんなで遊べるアクティビティを一個持っていれば、より楽しくなるんじゃないかなと思って。実際に湖のあるキャンプ場に持っていってるんですけど、朝早いと気温が低くて風が無いので、水面が穏やかな状態のところに、景色がはっきり映るんです。山とか森の緑がそのまま映ってる水面を静かに進むのがすごく気持ちがいいんですよね。それに、人気のキャンプ場だとサイドバイサイドで人がいっぱいいたりするので、自然の中、人ごみを抜けて一人になれる『貸し切り感覚』があったりして。

海って実は、普通の船だと行けないけど、SUPだったら行ける穴場って結構あるんです。岩がごつごつしてる洞窟とかをクルーズしてかえってくるとか。三浦とか館山のきれいな海だったら、シュノーケルを持って沖までパドリングして海の中をのぞいてみると、透明度がすごいから全部海の中丸見えで。魚とかタコとかウニとか見えるんですよ。そういった、今まで見れなかった景色が見れるっていうのは特権ですよね」

ちなみにSUPのシーズンは今からが本番。「8月末から10月がSUPのピークなので、遊びにきて欲しいですね」と五大さんが言う通り、水温が暖かくて、気温がちょっと涼しいくらいが一番気持ちがいいのだそう。

まずは五大さんと一緒にツアーからはじめてはどうだろう。