Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

「ルーシーのしあわせ」エドワード・アーディゾーニ

2020.11.23 08:51

今日も爽やかな天気でしたが、風の中にははっきりと、冬の匂いを感じる日でした。

外に出るのも、家の中で本を読むのも、どちらにしても楽しい季節ですね。

本日もオンラインストアに新着商品を更新しております。

本日の更新分の中の一冊、エドワード・アーディゾーニの「ルーシーのしあわせ」は珍しい一冊ですね。

1976年刷で、もう絶版になって随分と経つ本です。

アーディゾーニの絵本で「ルーシー」と聞くと、チムシリーズの「ルーシー」を思い浮かべる事が出来ると思うのですが(その「チムとルーシーとかいぞく」は本日フランス語版を更新しております)、この絵本の主人公のルーシーは勿論、そのルーシー、ルーシー・ブラウンです。

そもそも、アーディゾーニのチムの絵本はアーディゾーニの息子、フィリップのためにつくられたもので(最初のチムの絵本「チムとゆうかんなせんちょうさん」は1936年)娘のクリスティアナのためにつくられたのがこの「ルーシーのしあわせ」(1937年)なんですね。(チムとルーシーが出会う「チムとルーシーとかいぞく」は1938年です)

お話は、両親のいない子ども、ルーシー・ブラウンと、こどもの好きなおじいさん、グライムズさんの心の交流のお話です。

おばさんと一緒に暮らすルーシーはいつも一人ぼっち。

おばさんはいつも忙しくて相手にしてくれず、公園にいる子どもたちには皆お父さんかお母さんがいて、ルーシーとは友達になってくれそうもありません。

そんな時に出会った、グライムズさん。

二人はすぐに仲良くなって毎日が楽しくなるのですが、そんな折にグライムズさんが病気になってしまい…。

お話の結末はぜひ手にとって読んでみて下さい。

絵本の中でルーシーが洋服を買う場面があるのですが、女の子はこういうのすごく好きなんじゃないかな?と思えるような面白い描き方がされていて、子どもから大人まで楽しめる絵本だと思います。

大人が読むと、この絵本の隠された影の部分も見ることが出来ると思うのですが、そうした奥深さを感じられるのも、この絵本の優れた部分だと思います。

例えば、ルーシーと一緒に暮らす「おばさん」の異様なまでのルーシーへの無関心(普通に読むとそこまでは感じないかもしれませんが、注意深く読めば、その部分を強く感じます)。

また、お話の最後、しあわせな結末へと向かう部分があまりにも「しあわせ」に溢れていて、これは「ほんとうのこと」なのだろうか?と少しだけ、不安な感じを持ってしまいます。それはマッチ売りの少女の、幻のようにも思えてしまうのです。

最後の、少し前の文章「ながいあいだ たびをして、きれいな しろいいえに つきました」という言葉も、自分は何処か寂しい色を感じてしまいます。ルーシーのこれまでの不幸な人生を暗に示しているようなんですよね。

それでも、この文章、言葉は自分はとても好きです。

「ながいあいだ たびをして、きれいな しろいいえに つきました」

時間の奥行きと、切なさがあって、いつもポケットに入れて、持っておきたいような言葉です。

そして、この日本語版にはなんと、日本語版の刊行に寄せたアーディゾーニの言葉が一番初めに掲載されています。これも嬉しいですね。

ぜひオンラインストアの方でも御覧ください。


当店のエドワード・アーディゾーニの絵本はこちらです。



ちなみにこの絵本はお客様から買い取らせて頂いた絵本です。

当店では本の買い取りをさせて頂いておりますので、ご整理される本があるときには是非当店HPの買い取り申し込みフォームにてお問い合わせ下さい。

どうぞよろしくお願いいたします。